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3章 死神が誘う遊園地
夢楽土会 7
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13時過ぎの校内はすでに夏休みの雰囲気に包まれていて日差しが差し込む夏の静寂と窓から吹く風が心地良い。
教室から生徒玄関までカンダタは何も言わなかった。ハクもカンダタに合わせて静かにあたしを見守るも面持ちはどこか気まずそう。
「勧誘女から清音をしゃしゃり出たのにさっきのには口出ししないのね」
「触れてほしいのか?」
「別に、気になっただけ」
「今朝言っていたじゃないか。それと同じだ。聞くも聞かないも俺の勝手だ」
「そう」
無関心を装っていたが、内心は気を遣われていることに腹を立てていた。
アイスへの欲求は生徒玄関を出てからさらに強くなった。例年と変わらない気温はじりじりとあたしの体温を上げる。熱中症対策に水分を摂っても気分は紛れなかった。
それでも痛くなる冷たい雨と比べれば幾分かマシね。
最寄りのコンビニに入るとクーラーの効いた冷気があたしを歓迎する。
さて、夏といえばアイス。けれども、コンビニのフローズンも捨てがたい。新しいフレーバーが追加されている。
これらの難点は種類が豊富で選ぶのに時間がかかることね。フローズンにするかアイスにするか、定番の味にするか新商品にするか。
冷蔵ケースの前でひと頻りに悩んでいるとハクがあたしの肘を小突く。
ハクの目線はフードケースに向けられていて、期待を込めた目であたしに振り返る。
コンビニではいつもフライドキチンを買い与えていたからコンビニはキチンが食べれるところだとハクの頭にインプットされている。
毎日食べて飽きないのかしら?
「控えたら?最近太ってきたわよ」
「ギャアッ!」
ハクはショックを受けたようで牙が並んだ顎をあんぐりと開けて、二の腕と腹と自身の身体を見返す。
もちろん、これは嘘。鬼の生態は知らないけれど、ハクの身体は脂肪どころか筋肉すらない。胸も背中も骨張っていて肥満とは縁のない体躯をしている。
骨と皮しかないのにハクはあたしの嘘を本気で受け止めて、こんがり衣のチキンを諦める。
熱のこもった目線は未だにフードケースに向けられていた。キチンへの未練が捨てきれていない。
あたしはチョコが増量されたチョコミントのフローズンを選ぶ。
「おい!店員!どこに行った!」
平穏そのものであったコンビニを崩す怒声が響く。声の主はサラリーマンで、彼はカウンターに立っていた。レジ側に店員はいなかった。
このコンビニは人手不足だと常連客のあたしですら察していた。稼ぎ時である昼間のコンビニに1人しかいないのだから。
たった1人の店員は棚に商品を並べている最中で、突然の怒声に驚いて床の段ボールに躓く。その時に制服のポケットからボールペンやピルケースが床に散らばり、それらを拾おうとする。
「早くしろよ!」
サラリーマンはそれすらも許さず、店員を急かすばかりだった。店員は物を落としたままカウンターに回る。
「客を待たせんな」
「すいません」
大声で怒鳴らなくてもサラリーマンの威圧的な態度は変わらない。対して、店員は圧されてすっかり怯えている。
「嫌な感じだな」
カンダタが呟く。
「全くね」
フローズンが溶けるじゃない。
一旦、手に取ったフローズンを冷蔵ケースに戻す。あれは長くなる予感があった。
教室から生徒玄関までカンダタは何も言わなかった。ハクもカンダタに合わせて静かにあたしを見守るも面持ちはどこか気まずそう。
「勧誘女から清音をしゃしゃり出たのにさっきのには口出ししないのね」
「触れてほしいのか?」
「別に、気になっただけ」
「今朝言っていたじゃないか。それと同じだ。聞くも聞かないも俺の勝手だ」
「そう」
無関心を装っていたが、内心は気を遣われていることに腹を立てていた。
アイスへの欲求は生徒玄関を出てからさらに強くなった。例年と変わらない気温はじりじりとあたしの体温を上げる。熱中症対策に水分を摂っても気分は紛れなかった。
それでも痛くなる冷たい雨と比べれば幾分かマシね。
最寄りのコンビニに入るとクーラーの効いた冷気があたしを歓迎する。
さて、夏といえばアイス。けれども、コンビニのフローズンも捨てがたい。新しいフレーバーが追加されている。
これらの難点は種類が豊富で選ぶのに時間がかかることね。フローズンにするかアイスにするか、定番の味にするか新商品にするか。
冷蔵ケースの前でひと頻りに悩んでいるとハクがあたしの肘を小突く。
ハクの目線はフードケースに向けられていて、期待を込めた目であたしに振り返る。
コンビニではいつもフライドキチンを買い与えていたからコンビニはキチンが食べれるところだとハクの頭にインプットされている。
毎日食べて飽きないのかしら?
「控えたら?最近太ってきたわよ」
「ギャアッ!」
ハクはショックを受けたようで牙が並んだ顎をあんぐりと開けて、二の腕と腹と自身の身体を見返す。
もちろん、これは嘘。鬼の生態は知らないけれど、ハクの身体は脂肪どころか筋肉すらない。胸も背中も骨張っていて肥満とは縁のない体躯をしている。
骨と皮しかないのにハクはあたしの嘘を本気で受け止めて、こんがり衣のチキンを諦める。
熱のこもった目線は未だにフードケースに向けられていた。キチンへの未練が捨てきれていない。
あたしはチョコが増量されたチョコミントのフローズンを選ぶ。
「おい!店員!どこに行った!」
平穏そのものであったコンビニを崩す怒声が響く。声の主はサラリーマンで、彼はカウンターに立っていた。レジ側に店員はいなかった。
このコンビニは人手不足だと常連客のあたしですら察していた。稼ぎ時である昼間のコンビニに1人しかいないのだから。
たった1人の店員は棚に商品を並べている最中で、突然の怒声に驚いて床の段ボールに躓く。その時に制服のポケットからボールペンやピルケースが床に散らばり、それらを拾おうとする。
「早くしろよ!」
サラリーマンはそれすらも許さず、店員を急かすばかりだった。店員は物を落としたままカウンターに回る。
「客を待たせんな」
「すいません」
大声で怒鳴らなくてもサラリーマンの威圧的な態度は変わらない。対して、店員は圧されてすっかり怯えている。
「嫌な感じだな」
カンダタが呟く。
「全くね」
フローズンが溶けるじゃない。
一旦、手に取ったフローズンを冷蔵ケースに戻す。あれは長くなる予感があった。
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