250 / 644
3章 死神が誘う遊園地
夢楽土会 12
しおりを挟む
ケイの話で度々登場するカゲヒサが白糸・白鋏を隠して、ハザマが長年探し続ける羽目になったというのがあたしの解釈。
「そうなのかなぁ」
光弥もそれしか思い浮かばず、それでいてどこか納得いかない様子だった。
「なぁ、瑠璃の前世に話聞けない?」
身を何を乗り出してくるのかと思えばあたしの前世ですって?
「意味分かんないんだけど」
あたしは呆れて椅子から立ち上がるとグラスにアイスティーを注ぐ。
「だって、瑠璃の一部があの刀なんだぜ?瑠璃はどこかで魂の一部を切り取ってる」
そんな記憶はあるわけがなく、光弥もそれをわかりきっていた。
「身に覚えないだろ?だったらケイと白い刀は瑠璃の前世で何かしらの関わりがあったんだ」
「だったら何?」
「何って気になるだろ?」
光弥と違ってあたしは事実の探求に興味はない。それを知らなくても生活に支障は無いもの。
「そもそも、前世と会うなんて無茶振りじゃない」
「白糸ならできるって」
「なら、そのやり方教えてくれる?」
光弥は黙る。理論では可能だと主張してもやり方が不明なら不可能なのよ。
「ケイが何者でも、あたしの前世がどう関わっていたかも、それらは故人の話でしょ。現代にいるあたしには関係ないわ」
そんなことが6月にあった。
「気をつけてください」
さえりの一言であたしは回想から戻ると適当に遇らう。
あたしはさえりと別れてやっと涼しい自宅に帰れた。光弥に夢楽土会ついて聞きたかったのにあいつは不在だった。
「何考えてる?」
帰宅してすぐクーラーで室内を冷やし、アイスティーで身体を冷やす。そんな私にカンダタが不思議そうに尋ねてくる。
カンダタはスクールバックの中に成績表と補習授業のスケジュールがあるのを知っている。嘘を吐いてまでさえりに渡さなかった。あたしの目論みを聞き出そうとしていた。
「もし、夢楽土会と蝶男が何かしらの関わりがあるとしたら、カンダタの言う通りなのかもしれないって」
冷蔵庫にアイスティーを仕舞う。夏の熱で火照った身体がすっかり冷めて、快適な空間にあたしの苛立ちは少しだけ和らいだ。
「それで、どうするつもりなんだ?」
カンダタが問う。まるで自分が協力する前提の質問ね。そのつもりだったから、いいけれど。
「あとで話す」
あたしはそれだけ言うと自室に戻った。
日中の間、光弥が戻ってくるのを待っていた。どうやら、調査とやらを真面目にやっていらしい。
やることもなかったからスマホでマーマレードのメイキング動画を検索する。
叔母の味を再現してみようと何度も試みても、叔母の味にはならない。レシピも頼んで送ってもらったけれど、どこか違う。
日本とフランスのオレンジではやっぱり違うのかしら?
叔母のマーマレードを再現する為に様々な動画で勉強しているとバルコニーの窓を叩く者がいた。ケイだった。
ここ10階よね?
自分が住む部屋の階数を確認する。ケイは10階の部屋を登ってきたことになる。それが猫の潜在能力なのか、ケイが異常なのか。
「そうなのかなぁ」
光弥もそれしか思い浮かばず、それでいてどこか納得いかない様子だった。
「なぁ、瑠璃の前世に話聞けない?」
身を何を乗り出してくるのかと思えばあたしの前世ですって?
「意味分かんないんだけど」
あたしは呆れて椅子から立ち上がるとグラスにアイスティーを注ぐ。
「だって、瑠璃の一部があの刀なんだぜ?瑠璃はどこかで魂の一部を切り取ってる」
そんな記憶はあるわけがなく、光弥もそれをわかりきっていた。
「身に覚えないだろ?だったらケイと白い刀は瑠璃の前世で何かしらの関わりがあったんだ」
「だったら何?」
「何って気になるだろ?」
光弥と違ってあたしは事実の探求に興味はない。それを知らなくても生活に支障は無いもの。
「そもそも、前世と会うなんて無茶振りじゃない」
「白糸ならできるって」
「なら、そのやり方教えてくれる?」
光弥は黙る。理論では可能だと主張してもやり方が不明なら不可能なのよ。
「ケイが何者でも、あたしの前世がどう関わっていたかも、それらは故人の話でしょ。現代にいるあたしには関係ないわ」
そんなことが6月にあった。
「気をつけてください」
さえりの一言であたしは回想から戻ると適当に遇らう。
あたしはさえりと別れてやっと涼しい自宅に帰れた。光弥に夢楽土会ついて聞きたかったのにあいつは不在だった。
「何考えてる?」
帰宅してすぐクーラーで室内を冷やし、アイスティーで身体を冷やす。そんな私にカンダタが不思議そうに尋ねてくる。
カンダタはスクールバックの中に成績表と補習授業のスケジュールがあるのを知っている。嘘を吐いてまでさえりに渡さなかった。あたしの目論みを聞き出そうとしていた。
「もし、夢楽土会と蝶男が何かしらの関わりがあるとしたら、カンダタの言う通りなのかもしれないって」
冷蔵庫にアイスティーを仕舞う。夏の熱で火照った身体がすっかり冷めて、快適な空間にあたしの苛立ちは少しだけ和らいだ。
「それで、どうするつもりなんだ?」
カンダタが問う。まるで自分が協力する前提の質問ね。そのつもりだったから、いいけれど。
「あとで話す」
あたしはそれだけ言うと自室に戻った。
日中の間、光弥が戻ってくるのを待っていた。どうやら、調査とやらを真面目にやっていらしい。
やることもなかったからスマホでマーマレードのメイキング動画を検索する。
叔母の味を再現してみようと何度も試みても、叔母の味にはならない。レシピも頼んで送ってもらったけれど、どこか違う。
日本とフランスのオレンジではやっぱり違うのかしら?
叔母のマーマレードを再現する為に様々な動画で勉強しているとバルコニーの窓を叩く者がいた。ケイだった。
ここ10階よね?
自分が住む部屋の階数を確認する。ケイは10階の部屋を登ってきたことになる。それが猫の潜在能力なのか、ケイが異常なのか。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる