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3章 死神が誘う遊園地
夏と夢と信仰と補習 8
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カンダタは参って、声を上げた。
1日中、瑠璃の父親の周辺を探っていたわけだが、大した収穫は得られなかった。ただ、中年の社会人をつきまとうだけの1日となってしまった。
17時を過ぎた夕暮れにカンダタがたどり着いたのは大きな古家であった。表札に「笹塚」とある。これが彼の家らしい。
収穫はないと諦めて瑠璃の元へと戻ろうかと考えていた。
だが、古家に行く前の昌次郎は目的地から離れたところで運転手を止めさせ、黒い車から降りた。20分歩いて古家に着いた。
彼が裕福層の人間であり、専用の運転手がいることもこの1日で知った。それ故に、わざわざ遠回りをし、挙動不審になりながらも歩く彼が不自然であった。
着いた古家には家人がなかった。会社にはあれほどの部下がいるのだからこの家にも誰かを雇っているものだと思っていた。
カンダタは静寂が支配する広い家の中に入る。
伝統を重んじる古家の庭にも立派な蔵があった。あれほど立派な蔵ならば、中に仕舞われているものも値打ちがありそうだ。
盗人の邪心が囁くも聞かぬふりでやり過ごし、昌次郎と共に庭を横切る。
廊下を歩いているとその突き当たりから人の気配があった。誰もいないと踏んでいたので少し意外であった。
気配と言うのは人と人が話し合う声であり、廊下の突き当たりにある部屋は大広間になっているようだった。
昌次郎はその部屋には入らず、手前の障子に手をかけるとその中に入る。そこは客間になっており、背の低い卓があった。
そこで何をするわけでもなく、畳の上であぐらをかいて誰かを待っている様子だ。
待つだけではカンダタに得られるものはなさそうだ。
そう判断すると客間を出た。一応この古家も見て回るべきだろう。何より、大広間からする人の気配が気になった。
2、3人の気配じゃない。 10人以上人が集まっている。
障子をすり抜け、廊下の突き当たりにある大広間へと足を進める。すると、大広間の一色から20人ほどの大衆が現れた。老若男女の人々は同じ笑顔を浮かべている。
あの集団の後を尾けてみようか。揃えられた笑顔がどうも気になる。
そういうふうに考えていると大広間から少し遅れて出てくる者がいた。白髪頭で丸みのある笑顔。カンダタはその男と目があった。
白髪頭の男は廊下に立つ亡霊に向け、目を細める。確実にカンダタに向けられた笑みだ。
咄嗟に背後の壁と後退った。あの男の視界が入らない場所へと移動する。壁をすり抜けると外に出てしまう。
古家の裏側にあたる場所で動悸を鎮めようとする。
あの男にはカンダタは見えていた。しかも、カンダタに対して笑っていた。カンダタという存在を認識でき、慣れてもいる。おそらく、あちら側に関わっている者だ。
だとすれば、あの男と昌次郎との関係はなんだろうか?
昼間での昌次郎の言動、ここに来るまでの挙動不審。この古家が公に知られたくないものなら、この場所は夢楽土会の活動拠点なのだろう。
場所を提供し、別の部屋で待機してということは昌次郎は他の信者とは立場が違うようだ。
カンダタは古家の間取りを思い出すと昌次郎が待機する部屋へと戻る。もう一度、彼について探る必要がある。
1日中、瑠璃の父親の周辺を探っていたわけだが、大した収穫は得られなかった。ただ、中年の社会人をつきまとうだけの1日となってしまった。
17時を過ぎた夕暮れにカンダタがたどり着いたのは大きな古家であった。表札に「笹塚」とある。これが彼の家らしい。
収穫はないと諦めて瑠璃の元へと戻ろうかと考えていた。
だが、古家に行く前の昌次郎は目的地から離れたところで運転手を止めさせ、黒い車から降りた。20分歩いて古家に着いた。
彼が裕福層の人間であり、専用の運転手がいることもこの1日で知った。それ故に、わざわざ遠回りをし、挙動不審になりながらも歩く彼が不自然であった。
着いた古家には家人がなかった。会社にはあれほどの部下がいるのだからこの家にも誰かを雇っているものだと思っていた。
カンダタは静寂が支配する広い家の中に入る。
伝統を重んじる古家の庭にも立派な蔵があった。あれほど立派な蔵ならば、中に仕舞われているものも値打ちがありそうだ。
盗人の邪心が囁くも聞かぬふりでやり過ごし、昌次郎と共に庭を横切る。
廊下を歩いているとその突き当たりから人の気配があった。誰もいないと踏んでいたので少し意外であった。
気配と言うのは人と人が話し合う声であり、廊下の突き当たりにある部屋は大広間になっているようだった。
昌次郎はその部屋には入らず、手前の障子に手をかけるとその中に入る。そこは客間になっており、背の低い卓があった。
そこで何をするわけでもなく、畳の上であぐらをかいて誰かを待っている様子だ。
待つだけではカンダタに得られるものはなさそうだ。
そう判断すると客間を出た。一応この古家も見て回るべきだろう。何より、大広間からする人の気配が気になった。
2、3人の気配じゃない。 10人以上人が集まっている。
障子をすり抜け、廊下の突き当たりにある大広間へと足を進める。すると、大広間の一色から20人ほどの大衆が現れた。老若男女の人々は同じ笑顔を浮かべている。
あの集団の後を尾けてみようか。揃えられた笑顔がどうも気になる。
そういうふうに考えていると大広間から少し遅れて出てくる者がいた。白髪頭で丸みのある笑顔。カンダタはその男と目があった。
白髪頭の男は廊下に立つ亡霊に向け、目を細める。確実にカンダタに向けられた笑みだ。
咄嗟に背後の壁と後退った。あの男の視界が入らない場所へと移動する。壁をすり抜けると外に出てしまう。
古家の裏側にあたる場所で動悸を鎮めようとする。
あの男にはカンダタは見えていた。しかも、カンダタに対して笑っていた。カンダタという存在を認識でき、慣れてもいる。おそらく、あちら側に関わっている者だ。
だとすれば、あの男と昌次郎との関係はなんだろうか?
昼間での昌次郎の言動、ここに来るまでの挙動不審。この古家が公に知られたくないものなら、この場所は夢楽土会の活動拠点なのだろう。
場所を提供し、別の部屋で待機してということは昌次郎は他の信者とは立場が違うようだ。
カンダタは古家の間取りを思い出すと昌次郎が待機する部屋へと戻る。もう一度、彼について探る必要がある。
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