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3章 死神が誘う遊園地
夏と夢と信仰と補習 16
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私の意識に飛び込んできたのはラッパの音楽とウェルカムボードを持った女性。
彼女は私に笑顔を向けていていた。動きやすそうなブーツと短い丈の創作着物は黄緑とピンクの明るい配色になっている。
私、ベッドで寝ていた、よね?
戸惑いながらも周囲を見渡す。ラスクサークルのタイルが地面に敷き詰められていて巨大な円の描き、その中心には目を奪われる見事な城があった。
シミひとつも許さない白い外装に青い屋根が鮮やかだった。ファンタジーの映画やアニメの世界だと信じてしまいそうになる。
「初めてのご来園ですか?」
お城に見張られていると女性が話しかけてきて、私の意識は再び彼女に戻る。
「こちらがキャストとから放浪者様へのプレゼントです!」
ポーチやポケットらしきものは見当たらないのに気が付けば女性の手にスマホによく似た端末とポップコーンがあった。そして、掲げていたはずのウェルカムボードがなくなっている。
「キャスト?」
「我々のことです!放浪者様にサービスを提供しております!」
キャストの笑顔が崩れず、ますます混乱する。
私はベッドで寝てしまったの?これは夢?
キャストは説明を続ける。
「園内は5つのエリアに分かれております。現在地はキャッスルタウンのお城前になります。キャッスルタウンは園内の中心になりまして、南西にポートエリア、北西にフォレストエリア、北東にリメインズエリア、南東にナイトエリアがあります。各エリアごとにイベントが催されていますのでぜひご参加ください!またお休みになりたい場合はナイトエリアにありますホテルをご利用ください!」
「えっと」
混乱した頭に園内の説明をされても理解できない。
「端末に園内の地図が表示されます!」
キャストが渡した端末の画面が光る。私は恐るおそる画面を見る。
液晶の画面には「yumezono」とエメラルドグリーンを基調した鮮やかなロゴが表示されていた。次に現れたのは長い鼻を持ったピンクのテディベアでこちらに手を振って話しかる。
「ハァイ☆リメインズエリアでダンサーたちのshowが開演するよ☆みんなで踊って楽しもう☆」
「そちらはパク君です!」
キャストの説明が入る。
「パクくんは園内の案内役となっております!端末でのサービスは他にもありまして、アトラクションの待ち時間、園内のニュース、SNSもご利用できます!」
「SNSも?」
「もちろんです!」
端末のホーム画面に移るとSNSらしきアイコンを探す。黄、紺、赤のアイコンを選択する。
楽しげなツーショットに見映えの良い食事。共感されたハートの数と盛り上がるコメント欄。眺めていたら胸が高鳴ってきた。
「質問はございますか?」
SNSは少しだけ楽しそうに思えた。画面から目の前の風景に目線を戻す。
楽しげな会話をしながら店の商品を眺める友人たち、お城を背景の写真を撮るカップル。ありふれた遊園地の風景。けど、夢にしてはリアルだ。
「質問って言っても」
不満のほうが大きかった。
夢の中なら何でもありと納得できる。ベッドで寝ていたら夢の世界にいたなんて日常的だ。私が抱く不満は独りの私に楽しんでと言っているようなキャストにあった。
突然置かれた状況に混乱しているのに。
「夢の中なら恋人でも出てくればいいのに」
ぽつりと呟いた願望をキャストは聞き逃さなかった。
「お連れ様をお探しでしょうか?」
「え、連れ、というか」
キャストが変な誤解をしてしまった。弁解しようとしても呟きを聞かれたことへの恥ずかしさで顔を俯かせる。
「それでしたらSNSで検索してみてください!中には素敵な出会いもありますよ!」
素敵な、出会い?
キャストが話す単語に仄かな期待が灯った。
「それではお楽しみください!」
意識がはっきりとしている夢の中、期待は少なくともあるけど、戸惑いが強い。
園内のエリアや端末の機能、なかなかの設定が凝っている夢、よね?
情報源と言えばサービスとして貰ったこの端末だけ。
ここは夢ですか?そんなことを質問するのは馬鹿げているとわかっていても漠然とした疑問を解消したかった。
それを問おうと顔を上げると私の前に立っていたキャストはいなくなっていた。賑わう人々の声と楽しいラッパの音楽が不安ばかりの私を孤立させる。
彼女は私に笑顔を向けていていた。動きやすそうなブーツと短い丈の創作着物は黄緑とピンクの明るい配色になっている。
私、ベッドで寝ていた、よね?
戸惑いながらも周囲を見渡す。ラスクサークルのタイルが地面に敷き詰められていて巨大な円の描き、その中心には目を奪われる見事な城があった。
シミひとつも許さない白い外装に青い屋根が鮮やかだった。ファンタジーの映画やアニメの世界だと信じてしまいそうになる。
「初めてのご来園ですか?」
お城に見張られていると女性が話しかけてきて、私の意識は再び彼女に戻る。
「こちらがキャストとから放浪者様へのプレゼントです!」
ポーチやポケットらしきものは見当たらないのに気が付けば女性の手にスマホによく似た端末とポップコーンがあった。そして、掲げていたはずのウェルカムボードがなくなっている。
「キャスト?」
「我々のことです!放浪者様にサービスを提供しております!」
キャストの笑顔が崩れず、ますます混乱する。
私はベッドで寝てしまったの?これは夢?
キャストは説明を続ける。
「園内は5つのエリアに分かれております。現在地はキャッスルタウンのお城前になります。キャッスルタウンは園内の中心になりまして、南西にポートエリア、北西にフォレストエリア、北東にリメインズエリア、南東にナイトエリアがあります。各エリアごとにイベントが催されていますのでぜひご参加ください!またお休みになりたい場合はナイトエリアにありますホテルをご利用ください!」
「えっと」
混乱した頭に園内の説明をされても理解できない。
「端末に園内の地図が表示されます!」
キャストが渡した端末の画面が光る。私は恐るおそる画面を見る。
液晶の画面には「yumezono」とエメラルドグリーンを基調した鮮やかなロゴが表示されていた。次に現れたのは長い鼻を持ったピンクのテディベアでこちらに手を振って話しかる。
「ハァイ☆リメインズエリアでダンサーたちのshowが開演するよ☆みんなで踊って楽しもう☆」
「そちらはパク君です!」
キャストの説明が入る。
「パクくんは園内の案内役となっております!端末でのサービスは他にもありまして、アトラクションの待ち時間、園内のニュース、SNSもご利用できます!」
「SNSも?」
「もちろんです!」
端末のホーム画面に移るとSNSらしきアイコンを探す。黄、紺、赤のアイコンを選択する。
楽しげなツーショットに見映えの良い食事。共感されたハートの数と盛り上がるコメント欄。眺めていたら胸が高鳴ってきた。
「質問はございますか?」
SNSは少しだけ楽しそうに思えた。画面から目の前の風景に目線を戻す。
楽しげな会話をしながら店の商品を眺める友人たち、お城を背景の写真を撮るカップル。ありふれた遊園地の風景。けど、夢にしてはリアルだ。
「質問って言っても」
不満のほうが大きかった。
夢の中なら何でもありと納得できる。ベッドで寝ていたら夢の世界にいたなんて日常的だ。私が抱く不満は独りの私に楽しんでと言っているようなキャストにあった。
突然置かれた状況に混乱しているのに。
「夢の中なら恋人でも出てくればいいのに」
ぽつりと呟いた願望をキャストは聞き逃さなかった。
「お連れ様をお探しでしょうか?」
「え、連れ、というか」
キャストが変な誤解をしてしまった。弁解しようとしても呟きを聞かれたことへの恥ずかしさで顔を俯かせる。
「それでしたらSNSで検索してみてください!中には素敵な出会いもありますよ!」
素敵な、出会い?
キャストが話す単語に仄かな期待が灯った。
「それではお楽しみください!」
意識がはっきりとしている夢の中、期待は少なくともあるけど、戸惑いが強い。
園内のエリアや端末の機能、なかなかの設定が凝っている夢、よね?
情報源と言えばサービスとして貰ったこの端末だけ。
ここは夢ですか?そんなことを質問するのは馬鹿げているとわかっていても漠然とした疑問を解消したかった。
それを問おうと顔を上げると私の前に立っていたキャストはいなくなっていた。賑わう人々の声と楽しいラッパの音楽が不安ばかりの私を孤立させる。
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