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3章 死神が誘う遊園地
遊園地 16
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「ご乗車お願いします!」
手でエレベーターの自動ドアを抑えて空洞の中へと勧める。
あたしとカンダタの思考が止まったのはキャストの理解し難い発言に驚いたからじゃない。
エレベーターの中が空洞だとしたら逃避の先だと決めていた反対側のエレベーターも同じ構図になっているだろう。なら、白鋏で移動したとしてもそこで捕まるだけ。そもそも、あたし自身が言っていたじゃない。夢の世界に逃げ場がないって。
膝をつかされ、手首を掴まされたキャストは反対の手でカンダタの腕を掴み返す。
呆然としていたカンダタは対応に遅れ、一瞬の遅れがキャストを有利にさせた。
笑顔崩さないキャストは小枝を折る感覚でカンダタの腕を折る。
野太い音と鈍痛が体内に響き渡り、高く呻いたカンダタは痛めた腕を庇うように蹲る。
あたしの後ろでは光弥が羽交い締めにされていて、先頭のキャストはあたしへとと手を伸ばす。
逃げないと。
再び動いた思考が導いた答えは結局それだった。追い詰められ、危険だと判断した脳は防衛本能の回答しか出してくれない。
あたしは白鋏を強く握りしめた。空間を割いて、この場所から離れないと。
切迫したあたしをキャストが止める。
彼女は瞬く間にあたしの手を捕まえて、親指を手の平に滑りこませる。捻られて無理矢理開された手は白鋏を落とし、キャストはそれを受け止める。
「返して!」
憎しみに声を上げる。白鋏を奪われた。今も切迫した状況なのに、更に追い詰められる。
白鋏は理不尽な現実を凌ぐのに必要な武器だ。それがなくなると今度こそ逃げ道がなくなる。
「ご安心ください!放浪者様は私どもが案内致します!」
プログラムされた受け答えしかできないキャストは同じ台詞を繰り返す。そして、白鋏を握り締める。
ガラスが割れる綺麗な音がした。静寂の中で反響して、あたしの耳に残る。それは紙を裂くように容易く、ガラス破片が光に反射するように煌めいて、バラバラに砕けた白鋏があたしの足元に落ちた。
起きたことを整理しようとする。
キャストが白鋏を握り締めた。そしたら罅が入って、砕けた。
壊れた?白鋏が?なんで?
整理しようとしても頭が追いつかない。
あたしの一部が、感情がごっそりと削られたようだった。
「エレベーターへどうぞ!」
キャストの笑顔があたしを絶望に叩きつける。その手に引かれるまま、あたしはドアの向こうの空洞へと落とされる。
「瑠璃!」
カンダタの声が空洞の中で谺する。ハクとカンダタがあたしを追うように自ら飛び込む様子が視界の隅で捉えた。
その風景を最後にあたしの意識は暗闇に沈んだ。
手でエレベーターの自動ドアを抑えて空洞の中へと勧める。
あたしとカンダタの思考が止まったのはキャストの理解し難い発言に驚いたからじゃない。
エレベーターの中が空洞だとしたら逃避の先だと決めていた反対側のエレベーターも同じ構図になっているだろう。なら、白鋏で移動したとしてもそこで捕まるだけ。そもそも、あたし自身が言っていたじゃない。夢の世界に逃げ場がないって。
膝をつかされ、手首を掴まされたキャストは反対の手でカンダタの腕を掴み返す。
呆然としていたカンダタは対応に遅れ、一瞬の遅れがキャストを有利にさせた。
笑顔崩さないキャストは小枝を折る感覚でカンダタの腕を折る。
野太い音と鈍痛が体内に響き渡り、高く呻いたカンダタは痛めた腕を庇うように蹲る。
あたしの後ろでは光弥が羽交い締めにされていて、先頭のキャストはあたしへとと手を伸ばす。
逃げないと。
再び動いた思考が導いた答えは結局それだった。追い詰められ、危険だと判断した脳は防衛本能の回答しか出してくれない。
あたしは白鋏を強く握りしめた。空間を割いて、この場所から離れないと。
切迫したあたしをキャストが止める。
彼女は瞬く間にあたしの手を捕まえて、親指を手の平に滑りこませる。捻られて無理矢理開された手は白鋏を落とし、キャストはそれを受け止める。
「返して!」
憎しみに声を上げる。白鋏を奪われた。今も切迫した状況なのに、更に追い詰められる。
白鋏は理不尽な現実を凌ぐのに必要な武器だ。それがなくなると今度こそ逃げ道がなくなる。
「ご安心ください!放浪者様は私どもが案内致します!」
プログラムされた受け答えしかできないキャストは同じ台詞を繰り返す。そして、白鋏を握り締める。
ガラスが割れる綺麗な音がした。静寂の中で反響して、あたしの耳に残る。それは紙を裂くように容易く、ガラス破片が光に反射するように煌めいて、バラバラに砕けた白鋏があたしの足元に落ちた。
起きたことを整理しようとする。
キャストが白鋏を握り締めた。そしたら罅が入って、砕けた。
壊れた?白鋏が?なんで?
整理しようとしても頭が追いつかない。
あたしの一部が、感情がごっそりと削られたようだった。
「エレベーターへどうぞ!」
キャストの笑顔があたしを絶望に叩きつける。その手に引かれるまま、あたしはドアの向こうの空洞へと落とされる。
「瑠璃!」
カンダタの声が空洞の中で谺する。ハクとカンダタがあたしを追うように自ら飛び込む様子が視界の隅で捉えた。
その風景を最後にあたしの意識は暗闇に沈んだ。
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