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3章 死神が誘う遊園地
夢みる幸福 1
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猫の小さな鼻を鳴らして風に流れる匂いをとらえる。流れてくるのはポップコーン、カフェの食事、花、土、潮。
海の臭いを明確に捉えようとケイは人々が行き交う橋から手すりへと飛び移る。しかし、流れてくる臭いの方角が掴めない。南に進んでも臭いは近くならず、西に進んでも遠くならない。
ケイは橋を越え、臭いを辿る。臭いが弱まったような気がして、来た道を戻る。 だからといって臭いは強まらない。
先程からこんな調子だ。清音の臭いを探っても人混みと食物に埋もれているのか見つけられない。
海の辺りだと瑠璃は言っていた。それを手がかりにしてみるも不思議と流れてくる方角がわからない。
「見ろよ、風変わりなお面をつけた猫がいる」
「あれバズるぜ」
ケイを指差した学生たちが薄い板を翳す。
シャッターが押される前に走りだしたケイは人やオブジェなどの障害物を避け、薄い板の視界から逃れる。
あの板からは毛を逆撫でさせる嫌な臭気がした。あれは監視の視線に似ている。
夢園では黒猫が珍しいのか、誰しもがケイを撮ろうと薄い板を構える。
そうした視線から逃げ続ける。
ケイが辿り着いたのは絵画のような現実味のない天色の川が張り巡らせたエリアで細い小道が迷路のように入り組んでいる。
迷子になってしまいそうなエリアの移動手段はゆったりと流れるゴンドラであった。他のエリアと違い、時間が遅く流れるのがポートエリアであった。
既にポートエリアに着いていたケイだったが、自身がどこにいるのかさえ、把握できていなかった。
鼻があてにならないのはわかった。ならば、高い所ははどうだろうか。人目の多い地上では薄い板の監視から逃れるので精一杯だ。建物の屋根ならば探しやすいだろう。
ケイは白い壁を見上げる。オブジェとして並ぶ家々の外装には目立った突起物がなく、あるとすれば窓枠一つだけ。屋根からは洗濯物を干す紐が向かいの建物の屋根にまでかかっている。
壁登りが得意なカンダタならば、そこは選ばないだろう。野生の猫もまた同じ。
ケイは身を屈めると白い壁に向かって飛躍する。爪が石の壁に食い込む。直角で平らな壁を難なく登り、赤煉瓦の瓦屋根に着く。
そこからは港町の風景が広がり、その中で海に浮かぶ四角の建物が目立っていた。
南の方角に位置しており、魚と亀の看板が大々的に掲げ、愉快な喋り声がスピーカーから流れている。多くの人が集まり、出入りしている。
人が多ければ清音いるだろうか。もちろん、人が密集すれば不気味な目線も多くなる。屋根の上にいたとしても数人はケイの存在に気付く。
海の臭いを明確に捉えようとケイは人々が行き交う橋から手すりへと飛び移る。しかし、流れてくる臭いの方角が掴めない。南に進んでも臭いは近くならず、西に進んでも遠くならない。
ケイは橋を越え、臭いを辿る。臭いが弱まったような気がして、来た道を戻る。 だからといって臭いは強まらない。
先程からこんな調子だ。清音の臭いを探っても人混みと食物に埋もれているのか見つけられない。
海の辺りだと瑠璃は言っていた。それを手がかりにしてみるも不思議と流れてくる方角がわからない。
「見ろよ、風変わりなお面をつけた猫がいる」
「あれバズるぜ」
ケイを指差した学生たちが薄い板を翳す。
シャッターが押される前に走りだしたケイは人やオブジェなどの障害物を避け、薄い板の視界から逃れる。
あの板からは毛を逆撫でさせる嫌な臭気がした。あれは監視の視線に似ている。
夢園では黒猫が珍しいのか、誰しもがケイを撮ろうと薄い板を構える。
そうした視線から逃げ続ける。
ケイが辿り着いたのは絵画のような現実味のない天色の川が張り巡らせたエリアで細い小道が迷路のように入り組んでいる。
迷子になってしまいそうなエリアの移動手段はゆったりと流れるゴンドラであった。他のエリアと違い、時間が遅く流れるのがポートエリアであった。
既にポートエリアに着いていたケイだったが、自身がどこにいるのかさえ、把握できていなかった。
鼻があてにならないのはわかった。ならば、高い所ははどうだろうか。人目の多い地上では薄い板の監視から逃れるので精一杯だ。建物の屋根ならば探しやすいだろう。
ケイは白い壁を見上げる。オブジェとして並ぶ家々の外装には目立った突起物がなく、あるとすれば窓枠一つだけ。屋根からは洗濯物を干す紐が向かいの建物の屋根にまでかかっている。
壁登りが得意なカンダタならば、そこは選ばないだろう。野生の猫もまた同じ。
ケイは身を屈めると白い壁に向かって飛躍する。爪が石の壁に食い込む。直角で平らな壁を難なく登り、赤煉瓦の瓦屋根に着く。
そこからは港町の風景が広がり、その中で海に浮かぶ四角の建物が目立っていた。
南の方角に位置しており、魚と亀の看板が大々的に掲げ、愉快な喋り声がスピーカーから流れている。多くの人が集まり、出入りしている。
人が多ければ清音いるだろうか。もちろん、人が密集すれば不気味な目線も多くなる。屋根の上にいたとしても数人はケイの存在に気付く。
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