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3章 死神が誘う遊園地
痛みの共鳴 7
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「違わない!その姿は!蜘蛛の脚は!憎しみそのものじゃない!ひとつ分の身体に収まらなかった憎悪の表れじゃない!」
「やめてくれ!」
カンダタから今までにないほどの悲鳴が上がる。建前が欠落し、悲壮、憎悪が濁流する。
「べにはいない!生きる場所がない!魂だけじゃ生きられない!俺には生体がないんだ!」
諦めるしかないのだ。会いたい人には会えず、生きたい場所はない。生きることでさえできなくなった。ならば、亡霊らしく死んだように振る舞うしかない。
「それすらも許さないのか!死んでも失った痛みに悶え苦しめっていうのか!瑠璃は!」
「それでも!生きてきた!」
濁流した感情に負けじとあたしも声を張り上げる。
「あんたが!あたしに!言ったのよ!あんたがあたしを生かしたのよ!」
カンダタと同じ感情がカンダタの痛みに共鳴する。
「カンダタだって!生きてきたじゃない!死んだあとも!」
地獄で彷徨っていたカンダタの姿を思い出す。同じ死を繰り返し、永遠と言える時の中で声すら忘れても尚、立っていた姿。
「なら!どうすればいいんだ!」
蜘蛛の脚が左右に揺れる。カンダタの激情に反応していた。
「怒れ!」
あたしはそこに火を焚く。燃料を注ぎ、風で扇ぎ、激しい炎を生む。
「カンダタから奪ったのは誰!?そんな姿にしたのは!?あんたを殺したのは!?」
それは蝶男だ。カンダタの頭にはっきりとその姿が浮かび、魂は憎悪一色に染め上げる。
「怒れ!壊せ!」
怒りの剣は抜かれているも奪った者はいない。けれど、代わりの物はある。ここには壊せる夢しかない。
「全部壊してしまえ!夢にあるもの全部!」
怒りのままに衝動のままに。そこに思考は必要ない。
痛みで歪んだ顔が怒りに変わる。蜘蛛の脚が大きく揺れて上下する。その足踏みはカンダタの意思によって動かされていた。
「エッフェル塔もディズニーの城も!」
あの巨大な脚が、怪物のような脚が、この遊園地を壊してくれたら、気持ちが爽快に晴れやかになるだろう。あたしが捨てられなかったものを壊してくれたら。
「壊してよ!こんな夢も!思い出も!」
捨てられなかった感情も、「愛してる」も、愛されなかった事実も。
「全部壊してよ!」
裏返った声はあたしの衝動であり、荒れ狂う炎をカンダタは浴びる。
あたしの炎はカンダタの燻ぶる感情に火つけた。
襟を掴むあたしの手をカンダタが握る。強い握力にあたしの骨が軋み痛んだ。
構わない。折れたっていい。頭の穴の痛みも骨が軋む痛みも、胸に刺さったこの痛みと比べれば骨折も擦り傷みたいなものだ。
あたしは「ゴジラ」「キングコング」を想起させていた。あたしの趣向ではない映画が頭に浮かんだのは目の前にいる怪物がそれらに類似していたからだ。
カンダタは人では出せないような声で叫んでいた。
あたしの叫びに応えてくれた。なら、それを特等席で見てやるのが礼儀と言うものだ。本音を言うとあたしも爽快に破壊する怪物の一部になりたかった。
カンダタの背中に回り、離れまいと蜘蛛の脚に身体を密着させた。
それを合図にカンダタは、映画の怪物は大きく飛躍した。
「やめてくれ!」
カンダタから今までにないほどの悲鳴が上がる。建前が欠落し、悲壮、憎悪が濁流する。
「べにはいない!生きる場所がない!魂だけじゃ生きられない!俺には生体がないんだ!」
諦めるしかないのだ。会いたい人には会えず、生きたい場所はない。生きることでさえできなくなった。ならば、亡霊らしく死んだように振る舞うしかない。
「それすらも許さないのか!死んでも失った痛みに悶え苦しめっていうのか!瑠璃は!」
「それでも!生きてきた!」
濁流した感情に負けじとあたしも声を張り上げる。
「あんたが!あたしに!言ったのよ!あんたがあたしを生かしたのよ!」
カンダタと同じ感情がカンダタの痛みに共鳴する。
「カンダタだって!生きてきたじゃない!死んだあとも!」
地獄で彷徨っていたカンダタの姿を思い出す。同じ死を繰り返し、永遠と言える時の中で声すら忘れても尚、立っていた姿。
「なら!どうすればいいんだ!」
蜘蛛の脚が左右に揺れる。カンダタの激情に反応していた。
「怒れ!」
あたしはそこに火を焚く。燃料を注ぎ、風で扇ぎ、激しい炎を生む。
「カンダタから奪ったのは誰!?そんな姿にしたのは!?あんたを殺したのは!?」
それは蝶男だ。カンダタの頭にはっきりとその姿が浮かび、魂は憎悪一色に染め上げる。
「怒れ!壊せ!」
怒りの剣は抜かれているも奪った者はいない。けれど、代わりの物はある。ここには壊せる夢しかない。
「全部壊してしまえ!夢にあるもの全部!」
怒りのままに衝動のままに。そこに思考は必要ない。
痛みで歪んだ顔が怒りに変わる。蜘蛛の脚が大きく揺れて上下する。その足踏みはカンダタの意思によって動かされていた。
「エッフェル塔もディズニーの城も!」
あの巨大な脚が、怪物のような脚が、この遊園地を壊してくれたら、気持ちが爽快に晴れやかになるだろう。あたしが捨てられなかったものを壊してくれたら。
「壊してよ!こんな夢も!思い出も!」
捨てられなかった感情も、「愛してる」も、愛されなかった事実も。
「全部壊してよ!」
裏返った声はあたしの衝動であり、荒れ狂う炎をカンダタは浴びる。
あたしの炎はカンダタの燻ぶる感情に火つけた。
襟を掴むあたしの手をカンダタが握る。強い握力にあたしの骨が軋み痛んだ。
構わない。折れたっていい。頭の穴の痛みも骨が軋む痛みも、胸に刺さったこの痛みと比べれば骨折も擦り傷みたいなものだ。
あたしは「ゴジラ」「キングコング」を想起させていた。あたしの趣向ではない映画が頭に浮かんだのは目の前にいる怪物がそれらに類似していたからだ。
カンダタは人では出せないような声で叫んでいた。
あたしの叫びに応えてくれた。なら、それを特等席で見てやるのが礼儀と言うものだ。本音を言うとあたしも爽快に破壊する怪物の一部になりたかった。
カンダタの背中に回り、離れまいと蜘蛛の脚に身体を密着させた。
それを合図にカンダタは、映画の怪物は大きく飛躍した。
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