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3章 死神が誘う遊園地
十如十廻之白御魂 3
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私はモニターに視線を戻す。土埃の一面は変わらない。
ケイをあそこに送ったのは私なのに、私が先に帰ってしまうなんて。それは残忍で残酷なことのように思えた。
消えかけている足で踵を返すと私は走り出した。
ケイを助けに行かないと。
それが私を走らせた。
外に出てもが土埃は大いに舞っていて一寸先の視界さえ埋める。
「ケイ!」
大声で叫ぶ。
自分の立ち位置さえ怪しくなってくるほど視界が悪い。ケイは近くにいるはず。
「ケイ!」
もう一度叫ぶ。
地響きが私の肌を震わせる。続いて身体と心が震えた。
ケイのことで頭がいっぱいになっていてバグの脅威を失念していた。
もくもくと上がる土埃が静まり始めた。晴れていく視界で目に入ったのはピンク色の壁だった。
壁のようなものではあったけどそれは壁ではなく、胴体だと気付く。背筋が凍った時には頭のない胴体がこちらを向いていた。
顔は潰れているのにバグはしっかりと私を見据えて棍棒を振り被る。
凍った背筋の冷たさに両足が震えて体勢が崩れた。立ち上がろうとしても力が入らない。
私の背よりも高く太い棍棒が風を切り、棍棒で視界が埋まりそうになる。
棍棒と地面の隙間を縫って走る黒い影があった。
刀の柄を口で咥え、片方の腕力だけで持ち上げると颯爽と私を攫う。
棍棒が地面にめり込み、均整に並んだ石畳のブロックが盛り上がる様を呆然と眺めていた。
ケイが私を降ろしてようやく様々な事態が飲み込めた。
ケイは肩を上下させ、ひどく呼吸を乱していた。白い刀を咥えて走っていたのは私を抱えるためであり、片腕がなくなっていた。
関節より上の部分は残っていたが、それも泥状態になってボロボロと崩れていく。
まるで泥人形のような崩れ方に絶句する。
「間に合わなかった」
対してケイは自責の念が滲む台詞を吐き捨てて立ち上がる。そういえば、ケイに助けてもらった人がいない。
「ホテルに戻れ」
私に背を向けて言い放つ。
感情の読みづらい、いつもの声色。ケイと生活を共にする私にはわかった。切迫して追い詰められている。誰かを守る余裕さえない。
「でも、私」
動揺は今もあったけど、ケイの身を案じていると知ってほしくて立ち上がろうとする。けど、脚に力が入らない。
足元を見てみれば半透明だった私の足が完全に消えている。
「ケイ、脚が」
消えた脚を見たケイは現状を理解するとバグと私を交互に見る。
バグは頭を潰したせいか先程より動きが鈍い。棍棒を持ち上げて胴体を左右に回す。餌になるものを探しているらしい。
ケイは再び白い刀を咥えてしゃがむと瞬く間に私を担いだ。
バグはこちらに胴体を向ける。脚を畳み、身を屈める。あのポーズからしてこちらにジャンプしてくるようだ。
ケイが私を担いだまま走り出すのと同時にバグの畳んだ脚が一気に伸ばされて、肥満した巨体は高く跳ね上がる。
バグは私たちの後ろに着地した。起きた突風に煽られてケイの回避は予想外にもうまくいった。適度な距離を保ち、バグと向かい合う。
ケイをあそこに送ったのは私なのに、私が先に帰ってしまうなんて。それは残忍で残酷なことのように思えた。
消えかけている足で踵を返すと私は走り出した。
ケイを助けに行かないと。
それが私を走らせた。
外に出てもが土埃は大いに舞っていて一寸先の視界さえ埋める。
「ケイ!」
大声で叫ぶ。
自分の立ち位置さえ怪しくなってくるほど視界が悪い。ケイは近くにいるはず。
「ケイ!」
もう一度叫ぶ。
地響きが私の肌を震わせる。続いて身体と心が震えた。
ケイのことで頭がいっぱいになっていてバグの脅威を失念していた。
もくもくと上がる土埃が静まり始めた。晴れていく視界で目に入ったのはピンク色の壁だった。
壁のようなものではあったけどそれは壁ではなく、胴体だと気付く。背筋が凍った時には頭のない胴体がこちらを向いていた。
顔は潰れているのにバグはしっかりと私を見据えて棍棒を振り被る。
凍った背筋の冷たさに両足が震えて体勢が崩れた。立ち上がろうとしても力が入らない。
私の背よりも高く太い棍棒が風を切り、棍棒で視界が埋まりそうになる。
棍棒と地面の隙間を縫って走る黒い影があった。
刀の柄を口で咥え、片方の腕力だけで持ち上げると颯爽と私を攫う。
棍棒が地面にめり込み、均整に並んだ石畳のブロックが盛り上がる様を呆然と眺めていた。
ケイが私を降ろしてようやく様々な事態が飲み込めた。
ケイは肩を上下させ、ひどく呼吸を乱していた。白い刀を咥えて走っていたのは私を抱えるためであり、片腕がなくなっていた。
関節より上の部分は残っていたが、それも泥状態になってボロボロと崩れていく。
まるで泥人形のような崩れ方に絶句する。
「間に合わなかった」
対してケイは自責の念が滲む台詞を吐き捨てて立ち上がる。そういえば、ケイに助けてもらった人がいない。
「ホテルに戻れ」
私に背を向けて言い放つ。
感情の読みづらい、いつもの声色。ケイと生活を共にする私にはわかった。切迫して追い詰められている。誰かを守る余裕さえない。
「でも、私」
動揺は今もあったけど、ケイの身を案じていると知ってほしくて立ち上がろうとする。けど、脚に力が入らない。
足元を見てみれば半透明だった私の足が完全に消えている。
「ケイ、脚が」
消えた脚を見たケイは現状を理解するとバグと私を交互に見る。
バグは頭を潰したせいか先程より動きが鈍い。棍棒を持ち上げて胴体を左右に回す。餌になるものを探しているらしい。
ケイは再び白い刀を咥えてしゃがむと瞬く間に私を担いだ。
バグはこちらに胴体を向ける。脚を畳み、身を屈める。あのポーズからしてこちらにジャンプしてくるようだ。
ケイが私を担いだまま走り出すのと同時にバグの畳んだ脚が一気に伸ばされて、肥満した巨体は高く跳ね上がる。
バグは私たちの後ろに着地した。起きた突風に煽られてケイの回避は予想外にもうまくいった。適度な距離を保ち、バグと向かい合う。
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