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4章 闇底で交わす小指
交わす小指 2
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急に引っ張られた光弥は粉塵に呑まれた弥と部下を見て、唖然とした状態から思考を取り戻す。
「あれ、なんだ?」
驚愕からパニックに変わり、光弥は走りながら叫んだ。
「あなたたちが押し込めていたものよ」
通路や壁、あたしたちが走るその先よりも亀裂の広がりが早い。豪快な音が背後に迫っている。
「輪廻に連れて行く」
あたしの命令に光弥は口を開きかけて、一度振り向く。輪廻で何をするのか大体の察しがつく。
光弥は反論しようとしていたけれど、こんな状況下では喋る余裕はない。
輪廻までの道順は覚えている。十字路を右に曲がれば輪廻を一望をできるガラス張りの通路がある。
走って追いかけてきた亀裂があたしの足元まで届き、大きく裂かれた。
足元の床が崩れ、あたしの身体が大きく傾いた。
一本で繋がっているはずの床がバラバラになり大きな欠片になる。その欠片と通路が大きく離れてしまう前に強く踏み込み、傾いた身体を支える。
そして、精一杯の脚力で飛んで、ハクが腕を必死に伸ばして受け止める。
ハクの腕に抱きとめられ、なんとか着地するもそこで躓いてしまう。
走るのをやめて、やっと通路の照明が落とされていることに気付いた。輪廻から漏れる淡い青光が右側から注いでいた。
地下通路は崩壊が進んでいるのにガラス張りだけ無事なのが不思議だった。
「瑠璃っ!」
カンダタが脚を止め、あたしを呼ぶ。
瞬間、あたしは粉塵に包まれた。
細々としたコンクリートの破片が鼻や喉に入り、大きく咳き込む。
通路の崩壊は止まっていた。その代わりに赤紫の泥が崩れかけた床に浸蝕する。
胎児たちの「あー、うー」と唸る声が近くで聞こえて、振り向く。
粉塵のせいで一寸先も見えなくなっていたのに子取りははっきりとした輪郭を瞳に写せるほどあたしに近づいていた。
子取りの身体は打撲と切傷の痕でボロボロで、それでもやっとあたしに追いついて不器用に笑う。
随分と無茶をさせてしまった。
「頑張ったわね」
自然と漏れた言葉にあたしも微笑んだ。
通路が揺れて金属がぶつかり合う音がする。蠍の鬼が迫っている。
子取りが大きな手を伸ばす。手も指もあたしよりも太くて長い。なのに、か弱い小さな赤子の手をしている。
あたしも手を上げた。けれど、その手には刃渡り15cmのサバイバルナイフが握られていた。
振り被ってナイフをガラス張りの方へと投げた。
ナイフは暗い粉塵の中で白い閃光を走らせて、ガラス張りに突き刺さる。ナイフを中央に蜘蛛の巣の模様が描かれ、一瞬にして砕け散った。
散り散りになったガラスは重力に従わないで、歯車が回る輪廻へと吸い込まれる。
輪廻はガラス破片だけじゃなく、瓦礫や通路そのものを引き込もうとしていた。
再びあたしの足元が崩れ、足が宙に浮く。すんでのところでハクがあたしの胴を捕らえ、落下は免れる。
カンダタが駆け寄り、腕を掴むと壁際に寄ろうとする。けれど、子取りの手があたしの脚を掴んだ。
輪廻の見えない引力は子取りも引き込もうとして、必死に抵抗する。
笑っていた子取りの表情は悲しさと寂しさに満ちた癇癪に変わり、あたしとの別れを駄々を捏ねて拒絶する。
「あれ、なんだ?」
驚愕からパニックに変わり、光弥は走りながら叫んだ。
「あなたたちが押し込めていたものよ」
通路や壁、あたしたちが走るその先よりも亀裂の広がりが早い。豪快な音が背後に迫っている。
「輪廻に連れて行く」
あたしの命令に光弥は口を開きかけて、一度振り向く。輪廻で何をするのか大体の察しがつく。
光弥は反論しようとしていたけれど、こんな状況下では喋る余裕はない。
輪廻までの道順は覚えている。十字路を右に曲がれば輪廻を一望をできるガラス張りの通路がある。
走って追いかけてきた亀裂があたしの足元まで届き、大きく裂かれた。
足元の床が崩れ、あたしの身体が大きく傾いた。
一本で繋がっているはずの床がバラバラになり大きな欠片になる。その欠片と通路が大きく離れてしまう前に強く踏み込み、傾いた身体を支える。
そして、精一杯の脚力で飛んで、ハクが腕を必死に伸ばして受け止める。
ハクの腕に抱きとめられ、なんとか着地するもそこで躓いてしまう。
走るのをやめて、やっと通路の照明が落とされていることに気付いた。輪廻から漏れる淡い青光が右側から注いでいた。
地下通路は崩壊が進んでいるのにガラス張りだけ無事なのが不思議だった。
「瑠璃っ!」
カンダタが脚を止め、あたしを呼ぶ。
瞬間、あたしは粉塵に包まれた。
細々としたコンクリートの破片が鼻や喉に入り、大きく咳き込む。
通路の崩壊は止まっていた。その代わりに赤紫の泥が崩れかけた床に浸蝕する。
胎児たちの「あー、うー」と唸る声が近くで聞こえて、振り向く。
粉塵のせいで一寸先も見えなくなっていたのに子取りははっきりとした輪郭を瞳に写せるほどあたしに近づいていた。
子取りの身体は打撲と切傷の痕でボロボロで、それでもやっとあたしに追いついて不器用に笑う。
随分と無茶をさせてしまった。
「頑張ったわね」
自然と漏れた言葉にあたしも微笑んだ。
通路が揺れて金属がぶつかり合う音がする。蠍の鬼が迫っている。
子取りが大きな手を伸ばす。手も指もあたしよりも太くて長い。なのに、か弱い小さな赤子の手をしている。
あたしも手を上げた。けれど、その手には刃渡り15cmのサバイバルナイフが握られていた。
振り被ってナイフをガラス張りの方へと投げた。
ナイフは暗い粉塵の中で白い閃光を走らせて、ガラス張りに突き刺さる。ナイフを中央に蜘蛛の巣の模様が描かれ、一瞬にして砕け散った。
散り散りになったガラスは重力に従わないで、歯車が回る輪廻へと吸い込まれる。
輪廻はガラス破片だけじゃなく、瓦礫や通路そのものを引き込もうとしていた。
再びあたしの足元が崩れ、足が宙に浮く。すんでのところでハクがあたしの胴を捕らえ、落下は免れる。
カンダタが駆け寄り、腕を掴むと壁際に寄ろうとする。けれど、子取りの手があたしの脚を掴んだ。
輪廻の見えない引力は子取りも引き込もうとして、必死に抵抗する。
笑っていた子取りの表情は悲しさと寂しさに満ちた癇癪に変わり、あたしとの別れを駄々を捏ねて拒絶する。
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