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5章 恋焦がれ巡る地獄旅行
欲しいもの 6
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これでは駄目だと深呼吸を3回繰り返す。焦燥が急げと心臓を激しく打ち立てているが、少しだけ冷静になれた。
光弥は蝶男にカンダタを足止めするよう頼まれていたのだろう。
「焦らなくてもいいよ。瑠璃を追わなくても順調に行ってれば一周してくるから」
何が?
補足として説明されても頭をすぐに追いつかず、質問しようにも舌が回らず、喋れない。
不意に光弥は見上げ、カンダタも目線の先を追った。
照明を吊るしてあったあった天井がある。輝きを失ったそこにぽっかりと穴が空いていた。そこから千切られた鎖の先端が垂れており、吊り上げ灯は繋がっていたのだとわかる。
天井の高さと吊り上げ灯の大きさから考えてみれば黒い穴は人間と同じ位の大きさだろう。
その穴からガタゴトと音を立てながら何かが落ちた。人の形をしたそれは暗闇に身を隠し、正体を明かさなかった。
目を凝らして見れば、暗闇に隠されている髪は金色だ。特徴的なその髪色で落ちてくるものが誰なのかを知る。瑠璃だ。
気を失っているのか。悲鳴も上げずにいた。
カンダタは落ちているのが瑠璃だとすぐには理解できなかった。
天井からの落下は一瞬だった。瑠璃の身体は吊り上げ灯の上で跳ね、大理石に着地した。床に冷たく転がっても目を覚ます気配がない。
瑠璃が落下し、無様に倒れてもカンダタは凝視していた。左腕がない。
死角で隠れているだけかもしれない。
そうした前向きな推察が先に浮かんだ。それを確認したくても身体が起き上がらない。腕を伸ばし。僅かに上下させ、か弱くもがくことしかできない。
「来たよ」
静寂を纏った光弥が静寂を纏ったまま告げる。
降ってきた瑠璃には一切の目線を送らず、目線は未だに天井の穴を向いていた。
光弥が待っていたのはそこから降りてくる清音だった。
悠々とした態度で鬼の肩に乗り、カンダタの前に立つ。清音の指に絡め握られていたのは女性のように白く細い手だった。上腕から指先までの部位で左側のものだ。
清音は振り返り、瑠璃を一瞥したあと、カンダタへと向き直る。彼女の肌には黒い蝶がゆらりと羽を揺らしていた。
「これ気になる?貰ったの」
悦に浸りながら自身の頬に瑠璃の左腕を擦り寄せる。
気温は低く、身体を束縛させる寒さだ。なのに清音の頬は赤く染まり、興奮を抑える溜息を吐く。
焦りとは別のものが体内にうるさく響く。
身体の麻痺は幾分か抜けているもののまだ起きれない。
気絶している瑠璃の肩がぴくりと動いた。目を覚まそうとしているのかもしれない。
カンダタは口を大きく開き、呼びかけようとする。しかし、下顎を清音が蹴り飛ばした。その勢いで舌を噛み、口内に鉄の味が広がった。下顎からの衝撃は脳を揺らし、思考は一時的に停止させられる。
「喋るの厳禁ね」
爽やかな笑顔で見下される。
「いろいろ聞きたいのはわかるよ。でもね、これから大事なイベントなの。静かにしてね」
そう言うと清音は瑠璃の左手を鬼に渡し、徐に上着の釦に手をかけて脱ぎ始める。衣服は無造作に床に散らばり、中に着ていた肌着も袖をたくしあげながら脱ぐ。最後には乳当てさえ外してしまう。
下半身のスカート以外、身に付けているものはない。凍る外気に素肌を晒すも清音が寒さで震えることはなかった。胸の膨らみからくびれた腰までは黒蝶の模様がはためいている。
清音は恥ずかしがるような仕草も見せず、肩まで伸びた髪を前に流し、ぐるりと足のつま先を反転させ、こちらに背を向ける。
背中にも黒蝶の模様があり、腰から曲線を描きながら背骨に至りながら項まで上がっている。
光弥は蝶男にカンダタを足止めするよう頼まれていたのだろう。
「焦らなくてもいいよ。瑠璃を追わなくても順調に行ってれば一周してくるから」
何が?
補足として説明されても頭をすぐに追いつかず、質問しようにも舌が回らず、喋れない。
不意に光弥は見上げ、カンダタも目線の先を追った。
照明を吊るしてあったあった天井がある。輝きを失ったそこにぽっかりと穴が空いていた。そこから千切られた鎖の先端が垂れており、吊り上げ灯は繋がっていたのだとわかる。
天井の高さと吊り上げ灯の大きさから考えてみれば黒い穴は人間と同じ位の大きさだろう。
その穴からガタゴトと音を立てながら何かが落ちた。人の形をしたそれは暗闇に身を隠し、正体を明かさなかった。
目を凝らして見れば、暗闇に隠されている髪は金色だ。特徴的なその髪色で落ちてくるものが誰なのかを知る。瑠璃だ。
気を失っているのか。悲鳴も上げずにいた。
カンダタは落ちているのが瑠璃だとすぐには理解できなかった。
天井からの落下は一瞬だった。瑠璃の身体は吊り上げ灯の上で跳ね、大理石に着地した。床に冷たく転がっても目を覚ます気配がない。
瑠璃が落下し、無様に倒れてもカンダタは凝視していた。左腕がない。
死角で隠れているだけかもしれない。
そうした前向きな推察が先に浮かんだ。それを確認したくても身体が起き上がらない。腕を伸ばし。僅かに上下させ、か弱くもがくことしかできない。
「来たよ」
静寂を纏った光弥が静寂を纏ったまま告げる。
降ってきた瑠璃には一切の目線を送らず、目線は未だに天井の穴を向いていた。
光弥が待っていたのはそこから降りてくる清音だった。
悠々とした態度で鬼の肩に乗り、カンダタの前に立つ。清音の指に絡め握られていたのは女性のように白く細い手だった。上腕から指先までの部位で左側のものだ。
清音は振り返り、瑠璃を一瞥したあと、カンダタへと向き直る。彼女の肌には黒い蝶がゆらりと羽を揺らしていた。
「これ気になる?貰ったの」
悦に浸りながら自身の頬に瑠璃の左腕を擦り寄せる。
気温は低く、身体を束縛させる寒さだ。なのに清音の頬は赤く染まり、興奮を抑える溜息を吐く。
焦りとは別のものが体内にうるさく響く。
身体の麻痺は幾分か抜けているもののまだ起きれない。
気絶している瑠璃の肩がぴくりと動いた。目を覚まそうとしているのかもしれない。
カンダタは口を大きく開き、呼びかけようとする。しかし、下顎を清音が蹴り飛ばした。その勢いで舌を噛み、口内に鉄の味が広がった。下顎からの衝撃は脳を揺らし、思考は一時的に停止させられる。
「喋るの厳禁ね」
爽やかな笑顔で見下される。
「いろいろ聞きたいのはわかるよ。でもね、これから大事なイベントなの。静かにしてね」
そう言うと清音は瑠璃の左手を鬼に渡し、徐に上着の釦に手をかけて脱ぎ始める。衣服は無造作に床に散らばり、中に着ていた肌着も袖をたくしあげながら脱ぐ。最後には乳当てさえ外してしまう。
下半身のスカート以外、身に付けているものはない。凍る外気に素肌を晒すも清音が寒さで震えることはなかった。胸の膨らみからくびれた腰までは黒蝶の模様がはためいている。
清音は恥ずかしがるような仕草も見せず、肩まで伸びた髪を前に流し、ぐるりと足のつま先を反転させ、こちらに背を向ける。
背中にも黒蝶の模様があり、腰から曲線を描きながら背骨に至りながら項まで上がっている。
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