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1章 神様が作った実験場
空の穴 6
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方向も大体の位置も学校ね。
空の穴は学校の真下にあると近づくほど確信を持てた。
宝石の鯉はあたしたちに害を及ぼしたりはせず、彼らは悠然として泳いであたしたちの前を通ったり真上を飛んで見せたりする。
線路の橋を渡ると橋下に潜むように佇む飛行旅客機並みの巨大鯉があたしたちを上目で睨む。
さすがにこれは危機感を持ったけれど、その巨大鯉は睨むだけであたしたちを食おうとしなかった。
「ピノキオだったわね。巨大な魚に食べられる話」
「それは、食べられるだけの話か?」
「いいえ、人形が人になる話よ」
「そんなことが?」
「おとぎ話よ。人形が人になるなんて有り得ないじゃない」
「そう、だな。人が人形になるのはよくあるのにな」
空の穴の光は禍々しくあたしたちに降り注ぐ。この光が強くなるとカンダタの足取りが遅くなっていった。
橋から学校までは15分ぐらいで着くはずがカンダタに合わせていたせいで30分以上も時間が過ぎた。目的地に着いたとしてもすぐに学校には入れなかった。
あたしたちは学校の目先にある商店に身を隠してガラス戸から注がれる光を避ける為、奥へと入る。
「ここまで来た感想はどうなのよ?」
喜悦の感想を求めずにカンダタに聞いてみる。
長年、この地を求めてそれだけを支えにしてきたわりにカンダタの様子は憂鬱そのものだった。あの光はカンダタも弱らせるらしい。
「で、どうすんのよ」
「そこまで、考えたことなかった」
カンダタは頭を抱えたまま答えたあと、大きく息を吐いた。
「何よ、それ。屋上にでも行ってみる?神様に懺悔してお願いでもする?」
「今更、祈りも聞き入れないさ」
「なら、天国の道標をここから眺めるの?あたしには待ち人もいなし、神も信じていないわ。ここに根を下ろすならあたしは別のとこにいく」
悩みに悩むカンダタは空の穴を眺める。青褪めても身体が震えてもその眼差しは冷めない熱が籠っていた。到底理解できないその熱は彼を立ち上がらせ、身体を支えた。
「もう少しだけ、付き合ってくれ。あそこの頂上まで」
そうなるだろうとなんとなく予測していた。
顔も名前も思い出せないその「待ち人」とやらはそこまで思われているのなら幸せ者なんでしょうね。まぁ、その人が実在すればの話だけど。
「体調がよろしくないみたいだけど?」
「歩くだけなら平気だ。鬼もいないだろ」
「そこまでして行きたいの?」
「それしかないんだ。俺には、それしか」
頭痛がカンダタを苦しめて戸惑いが脚を遅らせて焦燥もまた彼を追い詰めた。睡魔と闘い、怪我を残したままでも進む。
そこまでなっても彼を動かすのはあの盲信からでしょうね。「君に会いたい」とか「永遠の誓い」とか、脳みそが花畑になっている奴らの台詞はその場限りの妄想でしかないのにカンダタという男は枯れた一輪の花を花畑と讃えて、妄想を現実だと謳う。
馬鹿みたいにメルヘンチックなその盲信は時折、吐き気がするほど気持ち悪い。
商店からでると2人を見下す光に晒される。鬼もいないので学校へは正面から堂々と行けたけどカンダタの体調は時間が経過するほどに悪くなる。
商店から正門までの短い距離でも何度か脚を止めてしまい、あたしは背中を押す。なんとか校内に入り、光が遮られてもカンダタの体調は回復しなかった。
空の穴は学校の真下にあると近づくほど確信を持てた。
宝石の鯉はあたしたちに害を及ぼしたりはせず、彼らは悠然として泳いであたしたちの前を通ったり真上を飛んで見せたりする。
線路の橋を渡ると橋下に潜むように佇む飛行旅客機並みの巨大鯉があたしたちを上目で睨む。
さすがにこれは危機感を持ったけれど、その巨大鯉は睨むだけであたしたちを食おうとしなかった。
「ピノキオだったわね。巨大な魚に食べられる話」
「それは、食べられるだけの話か?」
「いいえ、人形が人になる話よ」
「そんなことが?」
「おとぎ話よ。人形が人になるなんて有り得ないじゃない」
「そう、だな。人が人形になるのはよくあるのにな」
空の穴の光は禍々しくあたしたちに降り注ぐ。この光が強くなるとカンダタの足取りが遅くなっていった。
橋から学校までは15分ぐらいで着くはずがカンダタに合わせていたせいで30分以上も時間が過ぎた。目的地に着いたとしてもすぐに学校には入れなかった。
あたしたちは学校の目先にある商店に身を隠してガラス戸から注がれる光を避ける為、奥へと入る。
「ここまで来た感想はどうなのよ?」
喜悦の感想を求めずにカンダタに聞いてみる。
長年、この地を求めてそれだけを支えにしてきたわりにカンダタの様子は憂鬱そのものだった。あの光はカンダタも弱らせるらしい。
「で、どうすんのよ」
「そこまで、考えたことなかった」
カンダタは頭を抱えたまま答えたあと、大きく息を吐いた。
「何よ、それ。屋上にでも行ってみる?神様に懺悔してお願いでもする?」
「今更、祈りも聞き入れないさ」
「なら、天国の道標をここから眺めるの?あたしには待ち人もいなし、神も信じていないわ。ここに根を下ろすならあたしは別のとこにいく」
悩みに悩むカンダタは空の穴を眺める。青褪めても身体が震えてもその眼差しは冷めない熱が籠っていた。到底理解できないその熱は彼を立ち上がらせ、身体を支えた。
「もう少しだけ、付き合ってくれ。あそこの頂上まで」
そうなるだろうとなんとなく予測していた。
顔も名前も思い出せないその「待ち人」とやらはそこまで思われているのなら幸せ者なんでしょうね。まぁ、その人が実在すればの話だけど。
「体調がよろしくないみたいだけど?」
「歩くだけなら平気だ。鬼もいないだろ」
「そこまでして行きたいの?」
「それしかないんだ。俺には、それしか」
頭痛がカンダタを苦しめて戸惑いが脚を遅らせて焦燥もまた彼を追い詰めた。睡魔と闘い、怪我を残したままでも進む。
そこまでなっても彼を動かすのはあの盲信からでしょうね。「君に会いたい」とか「永遠の誓い」とか、脳みそが花畑になっている奴らの台詞はその場限りの妄想でしかないのにカンダタという男は枯れた一輪の花を花畑と讃えて、妄想を現実だと謳う。
馬鹿みたいにメルヘンチックなその盲信は時折、吐き気がするほど気持ち悪い。
商店からでると2人を見下す光に晒される。鬼もいないので学校へは正面から堂々と行けたけどカンダタの体調は時間が経過するほどに悪くなる。
商店から正門までの短い距離でも何度か脚を止めてしまい、あたしは背中を押す。なんとか校内に入り、光が遮られてもカンダタの体調は回復しなかった。
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