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1章 神様が作った実験場
空の穴 8
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整理し、陳列されたお陰ですぐに欲しいものが見つかった。白と青の痛み止めの薬。あとは飲み水があればいいのだけれど。
喉につっかえずに胃まで届けば水はいらない。でも、カンダタは時代遅れの人間で固形剤も知らないかもしれない。それにあんな状態なのに水なしで固形剤を飲めるのかしら。
地獄で見かけた液体は血沼しかない。あたしの憶測ではあれは鬼の血じゃないかと考えているけれど、この学校では見当たらない。
水の代用になるものはないかと探しみてみる。服薬ゼリーがあればいいのよね。でも、あれは子供や老人のためのものだし、高校にはさすがにないわね。
液体かゼリー状のものか、あるかしら。これは、エタノール?
探して唯一見つけたのは消毒用スプレー。半透明の器には液体が入っている。
一応、液体ね。あたしが飲めば吐き気や目眩に襲われるけれど、彼ならいけそう。
探すのに夢中になっていたあたしは室内の陰が広がり、濃くなっているのに気付かなかった。気付いた時には遅かった。
「そんなものじゃ治らないよ。彼はすでに死んでいるのだからね」
聞き覚えのある声。あたしは防衛本能を働かせた。そして、それは脳内で驚きへと繋げる。身構えようとして振った腕は薬品や箱などにぶつかって床に撒き散らす。
影が濃くなった保健室の中で黒い蝶が無数に飛ぶ。
あいつだ。蝶男だ。
静かに混乱した頭を整理する。
「またあなた?あたしのストーカーなの?」
影の中に隠れた男は含み笑いをして答える。
「惚れているわけじゃない。危害を加えるつもりもない。信用してほしいんだ。それに、あのアドバイスは役に立っただろう」
「ええ、ほんと。最悪な気分だったわ」
こんな男を信用するなら盲信しているカンダタがマシね。
あたしは蝶男を見据えて一呼吸置く。そして、唇を開いた。
「あなたは、あたしとカンダタと引き合わせた」
自身の中にある疑心や違和感を紐解くように呟く。
カンダタと会わせて、次に百貨店地下を行くようにアドバイスをした。全て蝶男の言いなりなのが気に食わないのもある。でも、それだけじゃない。
「なんで?」
「何度も言ってるだろう?君を助けたいんだ」
あたしはその理由が知りたい。
「赤の他人よね?」
「そう思うのも無理は無いね」
ふう、と息を吐き、そして微笑む。
「私が君に惚れたといえば納得してくれるかい?」
「冗談?」
「冗談だよ」
馬鹿にされてる。眉間に皺が寄る。
ひらり、ひらりと一羽の蝶があたしの前を通る。血の沼にいた蝶じゃない。光沢もなく、一筋の模様もない。漆黒の蝶。
蝶の羽が黒光りして反射する。その光景にある記憶が思い出させた。あれは現世の駅であたしが階段を落ちる前、一羽だけ戯れている蝶の風景。あたしはその後、階段から落ちて地獄に着いた。
喉につっかえずに胃まで届けば水はいらない。でも、カンダタは時代遅れの人間で固形剤も知らないかもしれない。それにあんな状態なのに水なしで固形剤を飲めるのかしら。
地獄で見かけた液体は血沼しかない。あたしの憶測ではあれは鬼の血じゃないかと考えているけれど、この学校では見当たらない。
水の代用になるものはないかと探しみてみる。服薬ゼリーがあればいいのよね。でも、あれは子供や老人のためのものだし、高校にはさすがにないわね。
液体かゼリー状のものか、あるかしら。これは、エタノール?
探して唯一見つけたのは消毒用スプレー。半透明の器には液体が入っている。
一応、液体ね。あたしが飲めば吐き気や目眩に襲われるけれど、彼ならいけそう。
探すのに夢中になっていたあたしは室内の陰が広がり、濃くなっているのに気付かなかった。気付いた時には遅かった。
「そんなものじゃ治らないよ。彼はすでに死んでいるのだからね」
聞き覚えのある声。あたしは防衛本能を働かせた。そして、それは脳内で驚きへと繋げる。身構えようとして振った腕は薬品や箱などにぶつかって床に撒き散らす。
影が濃くなった保健室の中で黒い蝶が無数に飛ぶ。
あいつだ。蝶男だ。
静かに混乱した頭を整理する。
「またあなた?あたしのストーカーなの?」
影の中に隠れた男は含み笑いをして答える。
「惚れているわけじゃない。危害を加えるつもりもない。信用してほしいんだ。それに、あのアドバイスは役に立っただろう」
「ええ、ほんと。最悪な気分だったわ」
こんな男を信用するなら盲信しているカンダタがマシね。
あたしは蝶男を見据えて一呼吸置く。そして、唇を開いた。
「あなたは、あたしとカンダタと引き合わせた」
自身の中にある疑心や違和感を紐解くように呟く。
カンダタと会わせて、次に百貨店地下を行くようにアドバイスをした。全て蝶男の言いなりなのが気に食わないのもある。でも、それだけじゃない。
「なんで?」
「何度も言ってるだろう?君を助けたいんだ」
あたしはその理由が知りたい。
「赤の他人よね?」
「そう思うのも無理は無いね」
ふう、と息を吐き、そして微笑む。
「私が君に惚れたといえば納得してくれるかい?」
「冗談?」
「冗談だよ」
馬鹿にされてる。眉間に皺が寄る。
ひらり、ひらりと一羽の蝶があたしの前を通る。血の沼にいた蝶じゃない。光沢もなく、一筋の模様もない。漆黒の蝶。
蝶の羽が黒光りして反射する。その光景にある記憶が思い出させた。あれは現世の駅であたしが階段を落ちる前、一羽だけ戯れている蝶の風景。あたしはその後、階段から落ちて地獄に着いた。
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