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6章 盤上の外で蜘蛛喰い蝶は笑う
蜘蛛喰い蝶の罠 2
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カンダタは知らない人の左腕を投げ捨て、すぐに逃げようとする。それよりも先に雛女子が背後に降り立ち、回し蹴りで後頭部に打撃を与える。
不意打ちされた強い衝撃は勢いよく、地面に転がる。起き上がる隙も与えず暇女子は倒れているカンダタの腰関節に乗る。人間とは思えない重さだ。
彼女に両腕がない。偽の左腕は彼女から撮ったものらしい。
蝶男は腕に刺さった白い刃をスライム女子に取ってもらい、右腕の動作を確認する。腕は曲がり上がれるものの手が痺れたように握れない。
気怠げに息を吐き、寝転ぶカンダタを見遣る。
「瑠璃の左腕を狙うなら病院に行くべきだったね。あれは息子君が持っているよ」
地面に投げ捨てられた左腕を拾い、カンダタの枕元で膝をつく。
「白い刃の瑠璃も手に入った。邪魔な影弥が残した黒猫もいない」
全ては蝶男の盤上であり、求めていた駒が手に入った。蝶男の表情は変わらない。聞いてもいない話を淡々と続けるのは計画通り進んだ悦びからくるものだろう。
「清音に黒蝶を仕込んだのは黒猫を懐柔させるためさ。どこまでも邪魔をする影弥を消滅させても彼の残したものが計画を狂わせる。でも、これでやっと楽になった」
不意に蝶男は目線を上に向ける。学校の真上には未だに沈黙する清音がいる。
「清音は期待以上の働きをしてくれたよ。黒猫を懐柔し、致命傷を負わせ、材料集めにも貢献してくれたしてくれる。病院も駅もそして学校も」
学校には多くの生者がいる。一人ひとりの人生さえも材料だと奴は言ってのける。
カンダタはそれを阻止しようと雛女子の下でもがくが、この重石を退かせない。
「お前が恐れているのはそれだけか?」
蝶男にカンダタは薄ら笑いを浮かべ、問いかける。
質問と症状が現状に合わず、蝶男は目線を下ろす。不思議と彼の赤い瞳は絶望していなかった。
「俺と瑠璃はお前に会う為に第4層に行こうとしたんだ」
蝶男は地獄の第4層にいるとカンダタたちは踏んでいた。それが清音と光弥によって第5層まで落とされ、そのまま下の層へと向かわされた。だが、蝶男が清音たちを経由して第7層で待つと伝えてきた。
蝶男に会いに行くと決める前から清音は蝶男の手駒だった。にも関わらず、蝶男は第4層で待たなかった。回りくどいやり方を使い、カンダタたちに地獄巡りをさせた。
「第4層にいかせたくなかったんだ。そうだろう?」
蝶男の片眉が僅かに上がったが、いつも通りの表情に戻る。
「それで?第4層には何があるのかな?」
質問で返されるとは思ってもいなかったカンダタは口を噤む。何かがあるのは確かだ。図星の仕草もあった。しかし、何があるかと問われれば見当もつかない。
「俺はわからなくてもいい」
それでもカンダタは良かった。
「瑠璃は辿り着くぞ」
あまりにも強い信念を持って言い放つものだから確証もない予言を蝶男は信じそうになり、ほんの一瞬だけ笑が消えた。
「お前はずっと永遠に影弥と瑠璃に怯えるんだ」
蝶男はカンダタの髪の毛を鷲掴みにし、上げるとこめかみを地面に叩きつける。
強い目眩がし、動いてもいないのに視界が大きく揺れる。
「知りもしない奴が影弥の名を出すな」
今までにない低い声だ。ぐらつく視界のせいでで奴の顔が見れない。
不意打ちされた強い衝撃は勢いよく、地面に転がる。起き上がる隙も与えず暇女子は倒れているカンダタの腰関節に乗る。人間とは思えない重さだ。
彼女に両腕がない。偽の左腕は彼女から撮ったものらしい。
蝶男は腕に刺さった白い刃をスライム女子に取ってもらい、右腕の動作を確認する。腕は曲がり上がれるものの手が痺れたように握れない。
気怠げに息を吐き、寝転ぶカンダタを見遣る。
「瑠璃の左腕を狙うなら病院に行くべきだったね。あれは息子君が持っているよ」
地面に投げ捨てられた左腕を拾い、カンダタの枕元で膝をつく。
「白い刃の瑠璃も手に入った。邪魔な影弥が残した黒猫もいない」
全ては蝶男の盤上であり、求めていた駒が手に入った。蝶男の表情は変わらない。聞いてもいない話を淡々と続けるのは計画通り進んだ悦びからくるものだろう。
「清音に黒蝶を仕込んだのは黒猫を懐柔させるためさ。どこまでも邪魔をする影弥を消滅させても彼の残したものが計画を狂わせる。でも、これでやっと楽になった」
不意に蝶男は目線を上に向ける。学校の真上には未だに沈黙する清音がいる。
「清音は期待以上の働きをしてくれたよ。黒猫を懐柔し、致命傷を負わせ、材料集めにも貢献してくれたしてくれる。病院も駅もそして学校も」
学校には多くの生者がいる。一人ひとりの人生さえも材料だと奴は言ってのける。
カンダタはそれを阻止しようと雛女子の下でもがくが、この重石を退かせない。
「お前が恐れているのはそれだけか?」
蝶男にカンダタは薄ら笑いを浮かべ、問いかける。
質問と症状が現状に合わず、蝶男は目線を下ろす。不思議と彼の赤い瞳は絶望していなかった。
「俺と瑠璃はお前に会う為に第4層に行こうとしたんだ」
蝶男は地獄の第4層にいるとカンダタたちは踏んでいた。それが清音と光弥によって第5層まで落とされ、そのまま下の層へと向かわされた。だが、蝶男が清音たちを経由して第7層で待つと伝えてきた。
蝶男に会いに行くと決める前から清音は蝶男の手駒だった。にも関わらず、蝶男は第4層で待たなかった。回りくどいやり方を使い、カンダタたちに地獄巡りをさせた。
「第4層にいかせたくなかったんだ。そうだろう?」
蝶男の片眉が僅かに上がったが、いつも通りの表情に戻る。
「それで?第4層には何があるのかな?」
質問で返されるとは思ってもいなかったカンダタは口を噤む。何かがあるのは確かだ。図星の仕草もあった。しかし、何があるかと問われれば見当もつかない。
「俺はわからなくてもいい」
それでもカンダタは良かった。
「瑠璃は辿り着くぞ」
あまりにも強い信念を持って言い放つものだから確証もない予言を蝶男は信じそうになり、ほんの一瞬だけ笑が消えた。
「お前はずっと永遠に影弥と瑠璃に怯えるんだ」
蝶男はカンダタの髪の毛を鷲掴みにし、上げるとこめかみを地面に叩きつける。
強い目眩がし、動いてもいないのに視界が大きく揺れる。
「知りもしない奴が影弥の名を出すな」
今までにない低い声だ。ぐらつく視界のせいでで奴の顔が見れない。
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