81 / 356
奇跡
しおりを挟む
あなたへ
あなたが病院に運ばれた日の事を、覚えていますか?
あの日は、いつも通り、仕事に出掛けた私だったけれど、
会社に着くなり、あなたからの電話で、
救急車で総合病院に行くから、来てって、
とても苦しそうなあなたの声に、頭の中が真っ白になりました。
総合病院に着くと、先生から、これからすぐに手術をしますと説明がありました。
先生の話の殆どは、私の耳を通り抜け、
ただ、言われるままに、サインをしたことだけを、覚えています。
突然に、心臓を患ったあなた。
手術室に運ばれるあなたの顔を見て、人目も気にせず、私は、泣きながら、
何で?何で? って・・・
絶対に、頑張ってね
そう言って、あなたを見送ったのでした。
あれから、手術が終わるのを、泣きながら、ひとりで待つ時間は、
永遠にも感じられる程に、長かった。
そうして、ICUで、あなたと対面した時には、本当に、全身の力が抜ける程でした。
上手く言葉が出ない私に、あなたは、手術室での様子を話してくれましたね。
酸素マスクをしていたけれど、
そんなふうに話をしてくれるあなたの顔を見て、
私は、とても安心したことを覚えています。
翌日には、お腹が空いたと、機嫌が悪いあなたを見て、何だか、嬉しかった。
だって、お腹が空いて、私に八つ当たりする元気があるんだもの。
絶対に、良くなるって、そう思いました。
あれから、間も無くに、
味の薄い飲み物や、飴を少しづつ、口に入れていきましたね。
薄い味の飲み物と飴の許可が出ましたよ
そんな看護師さんの言葉が嬉しくて、
私は、張り切って、売店まで、買い物に行ったのでした。
あの時のあなたったら、
欲張って、飴をいくつも口に入れようとするから、
喉に詰まらせないかと心配だったけれど、
なんだか、嬉しくて、可笑しかった。
そうして、少しづつ、食事が摂れるようになり、
一般病棟に移れるまでに、回復しましたね。
時々、あの時のことを思い出します。
本当はね、
あなたが救急車で運ばれたあの日、先生からは、
今夜が峠 持って、2~3日
そんなふうに、言われていました。
でも、あなたは、そこから回復し、
一般病棟では、数日ぶりに、あの子と対面した時には、
あなたは、ちょっと照れながら、よっ!なんて、元気にあの子に声を掛けましたね。
あなたと、あの子と、私。
たったの数日でしたが、また、家族3人の時間を、過ごすことが出来ました。
丁度、あの頃は、あの子の夏休みが始まった頃で、
あの子の成績表を見て、嬉しそうに笑いましたね。
そして、あの子の頭を撫でながら、よく頑張ったねって。
あの時のあの子の嬉しそうな顔。あなたも覚えているでしょうか。
あなたの笑顔も、怒った顔も、拗ねた顔も、いたずら顔も、
元気だった時のあなたと何も変わらなかった。
思えば、あの時、快方に向かい、一般病棟に移れたことは、
奇跡だったのかも知れませんね。
一般病棟で過ごしたあなたとの時間は、本当に幸せな時間でした。
あなたに逢いに行くと、必ず見せてくれた嬉しそうな顔。
今でも、よく覚えています。
2016.12.06
あなたが病院に運ばれた日の事を、覚えていますか?
あの日は、いつも通り、仕事に出掛けた私だったけれど、
会社に着くなり、あなたからの電話で、
救急車で総合病院に行くから、来てって、
とても苦しそうなあなたの声に、頭の中が真っ白になりました。
総合病院に着くと、先生から、これからすぐに手術をしますと説明がありました。
先生の話の殆どは、私の耳を通り抜け、
ただ、言われるままに、サインをしたことだけを、覚えています。
突然に、心臓を患ったあなた。
手術室に運ばれるあなたの顔を見て、人目も気にせず、私は、泣きながら、
何で?何で? って・・・
絶対に、頑張ってね
そう言って、あなたを見送ったのでした。
あれから、手術が終わるのを、泣きながら、ひとりで待つ時間は、
永遠にも感じられる程に、長かった。
そうして、ICUで、あなたと対面した時には、本当に、全身の力が抜ける程でした。
上手く言葉が出ない私に、あなたは、手術室での様子を話してくれましたね。
酸素マスクをしていたけれど、
そんなふうに話をしてくれるあなたの顔を見て、
私は、とても安心したことを覚えています。
翌日には、お腹が空いたと、機嫌が悪いあなたを見て、何だか、嬉しかった。
だって、お腹が空いて、私に八つ当たりする元気があるんだもの。
絶対に、良くなるって、そう思いました。
あれから、間も無くに、
味の薄い飲み物や、飴を少しづつ、口に入れていきましたね。
薄い味の飲み物と飴の許可が出ましたよ
そんな看護師さんの言葉が嬉しくて、
私は、張り切って、売店まで、買い物に行ったのでした。
あの時のあなたったら、
欲張って、飴をいくつも口に入れようとするから、
喉に詰まらせないかと心配だったけれど、
なんだか、嬉しくて、可笑しかった。
そうして、少しづつ、食事が摂れるようになり、
一般病棟に移れるまでに、回復しましたね。
時々、あの時のことを思い出します。
本当はね、
あなたが救急車で運ばれたあの日、先生からは、
今夜が峠 持って、2~3日
そんなふうに、言われていました。
でも、あなたは、そこから回復し、
一般病棟では、数日ぶりに、あの子と対面した時には、
あなたは、ちょっと照れながら、よっ!なんて、元気にあの子に声を掛けましたね。
あなたと、あの子と、私。
たったの数日でしたが、また、家族3人の時間を、過ごすことが出来ました。
丁度、あの頃は、あの子の夏休みが始まった頃で、
あの子の成績表を見て、嬉しそうに笑いましたね。
そして、あの子の頭を撫でながら、よく頑張ったねって。
あの時のあの子の嬉しそうな顔。あなたも覚えているでしょうか。
あなたの笑顔も、怒った顔も、拗ねた顔も、いたずら顔も、
元気だった時のあなたと何も変わらなかった。
思えば、あの時、快方に向かい、一般病棟に移れたことは、
奇跡だったのかも知れませんね。
一般病棟で過ごしたあなたとの時間は、本当に幸せな時間でした。
あなたに逢いに行くと、必ず見せてくれた嬉しそうな顔。
今でも、よく覚えています。
2016.12.06
0
あなたにおすすめの小説
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど
有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。
私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。
偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。
そして私は、彼の妃に――。
やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。
外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる