200 / 356
2017年
黒のダウンジャケット
しおりを挟む
あなたへ
近頃のこちらは、随分と寒くなって来ました。
先日、夕方から、外出予定だったあの子が、
出掛ける前に、着て行く服を迷いながら、
これ、どうかな?って、私に着て見せたのは、
あなたのお気に入りだった、黒のダウンジャケットでした。
これ、すごく温かくて、気に入っているんだ
高かったけれど、長持ちしているよ
黒のダウンジャケットに袖を通しながら、
あなたが、そう話してくれたのは、
私達が結婚し、間も無くの頃だったでしょうか。
あなたのお気に入りの、
黒のダウンジャケットを、あの子に貸してくれたのは、
あの子がまだ、幼稚園生の頃でしたね。
バスに乗って登園していたあの子。
冬になると、
バスを待つ時間が寒いからと、
パパのお洋服を貸してあげるよ
そう言って、
あなたの黒のダウンジャケットを、
あの子に貸してくれたんでしたっけ。
リュックを背負ったまま、膝まですっぽりと隠れるそれは、
とても温かいと、小さかったあの子にも評判でしたね。
あの頃のあの子は、
あなたの黒のダウンジャケットを着せると、
服が歩いているみたいで、とても可愛らしかった。
バスの到着を待ちながら、
あの子のそんな姿を収めた写真を、
あなたは、目尻を下げて、眺めていましたね。
あれから、10年振りに、袖を通した黒のダウンジャケットは、
あの子に、ぴったりのサイズになっていました。
大きくなったね
小さかったあの子の姿と重ね合わせながら、
そんな言葉が出た私に、あの子は言いました。
顔を隠したら、お父さんに見える? って。
あなたを見送った頃は、家族の中で、いちばん身長が小さかったあの子。
黒のダウンジャケットは、
もっと大きくなったら、僕が着たいと、
大切に保管していたものでした。
お父さんに、そっくりになったよ
あの子の言葉に、そう返すと、
嬉しそうに、出掛けて行きました。
あなたの身長を、少しだけ越したあの子。
時々、あなたの温もりを探しながら、成長し、
あなたの、黒のダウンジャケットが似合うようになりましたよ。
2017.11.19
近頃のこちらは、随分と寒くなって来ました。
先日、夕方から、外出予定だったあの子が、
出掛ける前に、着て行く服を迷いながら、
これ、どうかな?って、私に着て見せたのは、
あなたのお気に入りだった、黒のダウンジャケットでした。
これ、すごく温かくて、気に入っているんだ
高かったけれど、長持ちしているよ
黒のダウンジャケットに袖を通しながら、
あなたが、そう話してくれたのは、
私達が結婚し、間も無くの頃だったでしょうか。
あなたのお気に入りの、
黒のダウンジャケットを、あの子に貸してくれたのは、
あの子がまだ、幼稚園生の頃でしたね。
バスに乗って登園していたあの子。
冬になると、
バスを待つ時間が寒いからと、
パパのお洋服を貸してあげるよ
そう言って、
あなたの黒のダウンジャケットを、
あの子に貸してくれたんでしたっけ。
リュックを背負ったまま、膝まですっぽりと隠れるそれは、
とても温かいと、小さかったあの子にも評判でしたね。
あの頃のあの子は、
あなたの黒のダウンジャケットを着せると、
服が歩いているみたいで、とても可愛らしかった。
バスの到着を待ちながら、
あの子のそんな姿を収めた写真を、
あなたは、目尻を下げて、眺めていましたね。
あれから、10年振りに、袖を通した黒のダウンジャケットは、
あの子に、ぴったりのサイズになっていました。
大きくなったね
小さかったあの子の姿と重ね合わせながら、
そんな言葉が出た私に、あの子は言いました。
顔を隠したら、お父さんに見える? って。
あなたを見送った頃は、家族の中で、いちばん身長が小さかったあの子。
黒のダウンジャケットは、
もっと大きくなったら、僕が着たいと、
大切に保管していたものでした。
お父さんに、そっくりになったよ
あの子の言葉に、そう返すと、
嬉しそうに、出掛けて行きました。
あなたの身長を、少しだけ越したあの子。
時々、あなたの温もりを探しながら、成長し、
あなたの、黒のダウンジャケットが似合うようになりましたよ。
2017.11.19
0
あなたにおすすめの小説
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今さら「間違いだった」? ごめんなさい、私、もう王子妃なんですけど
有賀冬馬
恋愛
「貴族にふさわしくない」そう言って、私を蔑み婚約を破棄した騎士様。
私はただの商人の娘だから、仕方ないと諦めていたのに。
偶然出会った隣国の王子は、私をありのまま愛してくれた。
そして私は、彼の妃に――。
やがて戦争で窮地に陥り、助けを求めてきた騎士様の国。
外交の場に現れた私の姿に、彼は絶句する。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる