拝啓、空の彼方のあなたへ -1000の手紙-

emi

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2018年

かけがえのないひととき

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あなたへ

コーヒーがいい

これは、夢の中のあなたの言葉です。
あの夢を見たのは、あなたの告別式の、前日の夜でした。

家には、あなたがいて、あの子がいて、家族3人のいつもの風景。
いつもの席に、あなたが着いたところで、私は、聞いたのでした。
お茶でいい?って。

こんな私の言葉に、コーヒーがいいと、
そう、あなたの返事が聞こえたところで、目が覚めました。

あなたの告別式を控えていた私は、連日の打ち合わせで、
当日の持ち物についての説明を受けていました。

コップと、湯呑みを持って来て下さいね
コップには、水を入れます
湯呑みは、生前、ご本人が使っていたものを持って来て下さい
会場で、お茶を淹れて、お供えします

こんな説明がありましたが、
コーヒーを好んでいたあなたの愛用品は、湯呑みではなく、マグカップでした。

マグカップでもいいですかって、こんな確認をしながら、
あの時の私は、漠然と、
亡くなった人へは、お茶をお供えするものなのだと思いました。
これからは、あなたに、毎日、お茶を淹れるのだと。

夢から覚めた私は、あれは、ただの夢なんかではなくて、
紛れもなく、あなたの言葉なのだと思いました。

お茶を淹れてお供えをしなくてはいけないと思い込んでいた私に、
俺は、コーヒーがいいと、伝えてくれたんだって。

あなたにコーヒーをお供えしながら、
時々、あの時の夢のことを考えます。

あなたは、あの頃と変わらずにいられる、
かけがえのないひとときを、私に遺してくれました。

あなたを見送り、私の日常は、大きく変わったけれど、
あなたのために、
あなた好みのコーヒーを淹れる時間だけは、
あの頃のまま、変わらずに、ここにあります。

砂糖が少ないと、
愛情が足りない なんて、騒いでいたあなた。

砂糖を多めに入れたコーヒーを、あなたにお供えしながら、
いつでも、願っています。

この愛情が、あなたのところまで届きますようにと。


 2018.03.21
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