微笑みの貴公子に婚約解消された私は氷の貴公子に恋人のふりを頼まれました

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王太子レオナルド

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「狩猟会でヴィアが薬を盛られたと情報がありました。タイミングよく結界が壊れた事も気になります。僕にも捜査に参加させてもらえませんか?」

 王太子の執務室。僕はそこで殿下に直談判していた。レオナルド王太子殿下と僕は旧知の仲。不本意だが考え方が似ているようで、僕と殿下はお互いに信頼出来る間柄だ。

「お前が直接捜査をするのは不味いな。取り調べの記録は見せてやる」

 ヴィアが危険に晒されたのに……。
 そんな僕はの仏頂面に殿下は気付いたようでーー

「まあ、そんな不満そうな顔をするな。王太子主催の狩猟会を台無しにしたんだ。それ相応の罰は与えるさ」

 穏やかに話しているがその目は笑っていない。殿下をよく知る僕には、彼が相当怒っていることが伝わった。

 殿下は表面上フレンドリーに振る舞ってはいるが、その中身は王者然としている。

 最近、貴族の間でも自由や恋愛結婚を認める風潮だが、殿下はそんな貴族についても思うところがあるらしい。自身の婚約者についても王太子妃としての重責を担う覚悟の出来る者という条件だけしか出さない。

 未だに婚約者が決まらないのは、殿下のいう『王太子妃としての覚悟』の出来るような令嬢が居ないからだ。

 そして狩猟会に俺の恋人を連れて来いと命じたのは、ゆくゆくは殿下の側近となる僕の選んだ女性を見極めるため。
 まあ僕は、ヴィアならこの小難しい殿下にも気に入られると確信はしていたけど……。

「ご存知かとは思いますが、ウィリデ侯爵令嬢がーー」
「ああ、彼女はいつか何かをするとは思っていたが。侯爵も娘に甘すぎたな」

 殿下が僕の話を遮る。
 ああ、もう大方調査は終わっているって事か……。

「それにしてもシリル、カリテス伯爵令嬢は落ち着いていて、聡明で……いいな」

「殿下には譲りませんよ?」

「ははは、そう目くじらを立てるなよ。褒めただけだ。最近の令嬢にしては落ち着いていて思慮深い。良い女性だ」

 僕はまだヴィアを紹介なんかしていない。なのに……

「いつ見たんですか?」

「さあな。俺が招待したんだ。何でも知ってるさ。お前が帰国して恋人になる前に知り合っておきたかった。彼女はいい」

「僕が留学してこの国に居ない間に知り会うチャンスはあったでしょうに……」

「ベイク子爵令息の婚約者だったろ?あいつの婚約者なんて興味は無かったさ」 

 ヴィアはアンドレアの婚約者だったから、面食いの軽薄な女性だと思ってたってことか……。

 ヴィアが婚約解消したあと、殿下の目に留まる前に恋人役を申し込んでおいて良かった。
 あの時ああしなかったら、殿下に見つかっていたかもしれない。ヴィアのあの雰囲気じゃ、殿下に婚約を申し込まれたとしても断らなかったと思う。彼女は自分を過小評価しているから、縁談がくれば何でも受け入れそうだ。

「殿下が主導して捜査してくださるなら安心ですね。僕は余計な口出しはしないでおきますよ」

「ああ、そうしてくれ。頭を使うのが苦手な令嬢の軽はずみな行動で死人が出たかもしれないんだ。悪戯ではすまされん。ウィリデ侯爵令嬢は幼い頃から知っている。何を企んでいたかは想像出来るさ。……それにしても」

「何ですか?」

「恋愛っていうのもいいな」

 また、話が戻ってる。余程ヴィアが気に入ったってことか……。

「お前のデレデレした顔も新鮮だった。恋愛結婚なんて馬鹿にしていたが、それもいいなと思わせてくれたよ」

「……殿下もよい人見つけてくださいね、ヴィアは駄目ですよ」

「ああ、分かってるさ」

 ああ、あの日の僕を褒めてやりたい。ヴィアに恋人役を頼んで本当に良かった。

 早くヴィアを口説き落とさないと……。


 




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