悪役令嬢はSランク冒険者の弟子になりヒロインから逃げ切りたい

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師匠の正体

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「夢の中で王太子がある男爵令嬢に夢中になるの。夢の中での私は、婚約者である王太子殿下がとても好きでね、嫉妬した私は無頼漢を雇い、男爵令嬢を襲わせるの。でもそれは助けが来て失敗に終わり、怒った無頼漢に私が襲われ純潔を失う。そして王太子の婚約者から外された私は誰にも嫁げなくなり男爵令嬢を恨んで魔女になってしまい国を襲うの。でもその男爵令嬢は光魔法の使い手で仲間の協力を得て私を洞窟の奥深くに封印。魔女を倒して救国の聖女となった男爵令嬢は王太子と結婚する、そんな夢よ。」
レイラが目を丸くしている。初めて話す内容だ。当然だろう。
「だからお嬢様は殿下やルイルイ様に近づかないよう避けていたんですね。」
シルクは腕を組みじっと考え込んでいる。
「ええ。」
「その夢を見たのはいつですか?」シルクが聞いてくる。
「10歳の誕生日よ。」
「あー。だから急に王太子殿下の婚約は嫌だって泣いておられたんですね。」
レイラが納得したように頷く。
「10才に見た夢の内容通りの事が現実に起こったのですか?」
私は首を振る。
「いいえ。その夢が現実に起こらないように振る舞っていたわ。そのおかげで一部は違っているの。国外追放は私にとっても都合が良かったのよ。冤罪の内容は夢の通りだわね。」
「そして、婚約は破棄された。婚約者だった王太子殿下はそれが冤罪だと見抜けなかったのですか?」シルクは不思議そうだ。レイラが私の代わりに答えた。
「そうなんです。目撃証言も無いまま、ロッテルマリア様に突き落とされたなんてルイルイ様が言うのを鵜呑みにしてしまうのです。普段はそのような事は無いのに、ルイルイ様が関わると、国王夫妻も王太子殿下も、急に愚かになるんです。」そうなのだ。私はゲームの補正が働いていると思っている。
「そのルイルイ様は夢の通りの行動をしているのですか?」
「確信は無いですが、私が魔女になる事を知っていて、魔女になるよう誘導しようとしているのを感じたの。だから国を離れたわ。」
シルクは聞き終えるとため息をついた。まだ戸惑っているようだ。
「そう。にわかには信じがたい話ですけど、他でもない、ルマの言うことです。信じますよ。そして守ると誓います。」そう言ってシルクは真っ直ぐに私を見る。その目には強い意志を感じる。
そんな風に言って貰えると心強い。そう思ってシルクを見ていると「失礼ですが、この方は?」レイラがシルクの事を聞いてきた。
「この人はSランク・・・」
「僕の名前はシルクレン・ローズウッド。東にあるカイザ王国出身です。身分は平民ですが、代々勇者の家系でして、力になれると思いますよ。」
私がレイラの質問に答えようとすると、シルクが被せ気味に自己紹介してくれた。
「あのローズウッドですか?」
「レイラ知ってるの?」
「ローズウッドの勇者は約百年に一度現れる魔王を討伐してきた名門ですよ。魔王が現れるとどこの国であろうと国王に呼ばれ討伐を依頼される。各地に散らばる伝説の武器と防具を探し、それを用いて魔王を倒してきたんです。褒賞として、各地のお姫様を娶ってきたけど、爵位は持たず。どこの国で魔王が出現するか分からないからどこの国の爵位も持たずに平民を貫いている家系ですよね。」
なるほど。チートな筈だ。
そして・・・・勇者って、同じ会社から出てる少年向けのRPGの世界じゃ?
「ローズウッド家は街の庶民的な家に住んでいるって聞いたことがあります。まさしくですね。」
レイラは興奮してキョロキョロ見回している。
それにしても・・・
「それにしても、シルクは私の事を聞いても驚かないんですね。」
「うん。ルマの素性はある程度予想していましたからね。」
いつから?私ってそんなに分かりやすい?
「ルマ。普通の家には料理人はいないですよ。それと、令嬢一人にかなりの腕の護衛が着いていた。それだけでも、侯爵家以上だとは思っていました。」
なるほど、推理に無理がない。私ってかなり抜けているのね~
「お嬢様の正体は他の方には?」
「どうですかね?この辺りに他国の事情に詳しい人はそんなにいないと思いますよ。僕はSランク冒険者で各国の要人の護衛や国の情報収集を依頼されることもあります。その関係で少し詳しいのですよ。」
シルクは何でも無いことのように話すが、私が想像もつかない量の情報を持っているのだろう。
私は気になる事を聞いてみた。
「今は魔王は?」
「おじいちゃんが倒したので、あと50年は大丈夫でしょう。」
    
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