1 / 15
1.気がついたら異世界転移
しおりを挟む「えっ?ここどこ?」
気が付くとうす暗い森の中。
私は土の上に眠っていたようだ。
起き上がって周囲を確認するが全く見たこと無い景色。
ガサガサと数人の足音が近づいてくる。
怖い状況の筈なのに、起きたばかりの私の口からは思ったよりのんびりとした声が出た。
「だれ?」
「っ!!…………殿下、女人です。………奇妙な服を着てますね。」
木々の中から姿を表したのはシルバーブロンドのサラサラ髪のイケメンと、冴えない顔にポテッとしたお腹の豪奢な服を着た男。漫画で見るような騎士みたいな格好の人もいる。
「おお!なんと美しいっ!!」
冴えない顔の男が私に近づこうとするのをイケメンさんが止めてくれた。
「殿下、武器を持っている可能性もあります。俺が確認するまでお待ちください。」
ここがどこかも、この人たちが誰かも分からない。
けれど理解出来なさすぎて、呆然としていた。
イケメンさんは私の傍まできて膝を付く。
近くで見ると神々しいほどのイケメン。
後光が差して見える!
能天気な私はこんな状況なのに、彼の顔に見惚れてぼうっとしてしまった。
「おい、お前はどこから潜入した。ここは王家の森だぞ!」
「えっ?王家?」
やっと頭が回転し出す。
王家なんて日本には無い。
なのに言葉はちゃんと解るこの不思議な状況……。
…………。もしや話題の異世界転移??
そう言えば、毎晩ベッドの中でネット小説を読んでいた。
まさかこんな事が私の身に起きるなんて………。
…………必死に頭をフル回転!!
王家ってことは下手すれば、不敬罪で投獄もあり得るのかな??
恐ろしい可能性に思い至り、焦った私は急いで状況を説明した。
「私は如月美夕と申します。別の世界のしがない会社員でして、確か風邪を拗らせて家で寝ていた筈なんですが……。全然この世界の事は分かんないので、武器なんてトンでもない。」
両手を万歳するようにあげて、武器を持っていない事をアピールする。
疑われたら大変っっ。
ちょっと口角を上げて愛想笑いもしちゃう!!
「なるほど、異界の渡り人か……。ここ50年程は現れなかったが……。」
「おお!異界の渡り人とは。どおりで美しいはずだ。早速、王家で保護しよう。」
イケメンさんの後ろから見ていた冴えない顔の男は大袈裟に手を広げて近づいてきた。
その馴れ馴れしさとニヤニヤした様子が気持ち悪い。
思わずイケメンさんの服をちょんちょんと引っ張った。
「どうしたんです?」
私の合図に気付いたイケメンさんが此方を向いてくれる。
ーーーおおっっ!!
ーーーやっぱり格好いい!
断然こっち!!
「あ、あの殿下ってことは王族の方ですよね?…わ、わたし庶民だし畏れ多いのでこっちの方と一緒に行きます。」
「うん?そなたレオンハルトが恐ろしくないのか?」
殿下は目を丸くして驚いている。
このイケメンさんレオンハルトっていうのか………。
名前までかっこいい!!
「え?いいえ。目が眩しいぐらい格好良いです………。」
むしろ貴方の方が恐ろしいです、なんて言葉を呑み込み愛想笑いを浮かべる。
相手は殿下、愛想笑いは大切。
「なんとっ!美的感覚が我々とは違うようだっ!そんなことがあると聞いたことはあったか……。」
冴えない顔の殿下は掌を額に当てて大袈裟に天を仰いだ。
何だろう?冴えない顔なのに身振り手振りが煩いっ。
この殿下はいつもこんな感じなのだろうか?
王族だから??
「私の方から説明しますね。ここはヒイラギ国です。王家の森に魔力の乱れがあると魔導師団より連絡がありまして、私と殿下で様子を見に来たところ貴女を発見しました。」
目の前にいるイケメンはまるで二次元!!
私は話を聞きながら彼の顔を凝視していた。
284
あなたにおすすめの小説
【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する
雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。
ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。
「シェイド様、大好き!!」
「〜〜〜〜っっっ!!???」
逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
美醜逆転の世界に間違って召喚されてしまいました!
エトカ
恋愛
続きを書くことを断念した供養ネタ作品です。
間違えて召喚されてしまった倉見舞は、美醜逆転の世界で最強の醜男(イケメン)を救うことができるのか……。よろしくお願いします。
面倒くさがりやの異世界人〜微妙な美醜逆転世界で〜
波間柏
恋愛
仕事帰り電車で寝ていた雅は、目が覚めたら満天の夜空が広がる場所にいた。目の前には、やたら美形な青年が騒いでいる。どうしたもんか。面倒くさいが口癖の主人公の異世界生活。
短編ではありませんが短めです。
別視点あり
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
転生した世界のイケメンが怖い
祐月
恋愛
わたしの通う学院では、近頃毎日のように喜劇が繰り広げられている。
第二皇子殿下を含む学院で人気の美形子息達がこぞって一人の子爵令嬢に愛を囁き、殿下の婚約者の公爵令嬢が諌めては返り討ちにあうという、わたしにはどこかで見覚えのある光景だ。
わたし以外の皆が口を揃えて言う。彼らはものすごい美形だと。
でもわたしは彼らが怖い。
わたしの目には彼らは同じ人間には見えない。
彼らはどこからどう見ても、女児向けアニメキャラクターショーの着ぐるみだった。
2024/10/06 IF追加
小説を読もう!にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる