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ライル(ライラ)視点
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前世の私は裕福な家庭に生まれ、しかも美人だったから男性によくモテた。
何不自由する事無く育ち、人生なんて楽勝って思ってたら交通事故で呆気なく死んでしまった。
転生したのはファンタジー小説の世界。
あんまり本は好きじゃ無かったけど、友人に薦められて読んだ。
確か題名は「オパールの涙」
この世界で私はヒロインだ。
お姫様なら良かったのに、騎士だから訓練が大変。おまけに実家の男爵家は貧乏だ。
それでも小説通りに王子様の視察へは同行する事が出来た。
視察には同行出来たけど、王子様とは全然良い雰囲気にならない。
ライルが女であることに気付いて無いみたいだからなるべく近くに行って、触ったりしたけど、直ぐに手を振りほどかれた。
私は無頼漢との戦闘で王子様に助けて貰う筈だったのに、別の人に助けられたし、王子様が襲われる村は視察を中止した。
水浴びは王子様が来ると思っていたから、ちょっと大胆に振る舞っていたが、来たのは別の護衛でその人に全部見られてしまった。
私の事が女だってわかった筈なのに、殿下の態度に変化はない。二人のデートも無かったしネックレスの贈り物も告白も無かった。
一応王宮に戻った後も専属護衛になったが、様子がおかしい。
何だか監視されている?
「ライル、お前を専属護衛から外す。」
「え?はい。理由を聞いていいですか?」
「お前の本当の名はライラだろう?男爵家は調査が済んでいる。どうして男装して護衛に潜り込んだ?」
「女として働いても、男爵家を支えるだけの給金は望めません。ですから騎士として働こうかと……。」
「そんな事しても、いずれはバレるし、自分の結婚や跡継ぎの問題があるだろう?」
そんな事…考えて無かった。ヒロインだから騎士になったのだ。
「……。お前は私を狙っていたのか?」
「いえ、そんな大それたことは…。」
「お前は私を篭絡するつもりだったのではないか?」
「え?」
「狙いが何であろうと、性別を偽ったことは罪になる。お前を拘束する。」
ブルドとズッブュルが入室して、私を拘束した。
ブルドの視線には憐れみが宿っている。
「え?え?、そんな…」
「何を驚いている。嘘の申告をして罪にならないとでも思っていたのか?」
「え?私はただ…。」
「ただ…何だ?目的を言え。」
「…王子様に近づきたかっただけで。」
「目的がそれだけだったとしても、性別を偽って護衛に潜り込むとは。罪は罪だ。連れていけ。」
私は地下の牢屋に入れられた。
どうしよう、どうしよう、この世界の罪なんて……。
もしかして死刑???
どーしたらいいのー!!
呆然と地下牢で過ごしていると、王子様の婚約者であるライバル令嬢がやって来た。
警戒して彼女を見ていると
「ライラ、貴女って転生者?」
「!!!」
「そうなのね?」
私は彼女に陥れられたのだろうか?しぶしぶ頷く。
「バルに貴方を捕らえたって聞いたから、驚いて…急いで来たの。大丈夫?」
彼女は私を心配してくれているみたいだった。
「性別を偽ったって牢屋に入れられて……怖くて。」
「そうよね。怖かったわよね。」
彼女の優しい声色に涙が溢れる。
「私……死刑なのかな?」
何も考えて無かった。小説通り行動すれば良いんだと思っていた。
「この世界の事何も分からないのに、これは可哀想ね。私バルに説明してみるわ。上手くいくか分からないけど、待っててね。きっと大丈夫よ。」
彼女は私を慰めるように語りかける。
「私…貴女の婚約者を取ろうとしたのに……。」
「この世界は小説通りに進むわって思っていたのはお互い様よ。」
「あ、ありがとう。ごめんなさい。罪になるなんて知らなかったの。…助けて。」
「うん。分かってる。待っててね。」
小説の中で私のライバルだった少女は明るい笑顔を見せて去っていった。
翌日、私は地下の牢屋から出された。
反省文を書かされて私は実家に戻る事が出来た。
半年後
私に対して警戒心の無くなった王太子殿下には
「あんな腕では騎士は務まらない。」とダメ出しされた。
ブルドとズッブュルにも
「男装になってなかった。」と笑われた。
すっかり仲良くなったリュルには、「この世界で生きていくのだから、家の為にも結婚はしなきゃ駄目よ。」と諭され、男爵家のためにも王宮で開かれているサークルに入って、良い結婚相手を見つけるよう命じられた。
貴族の子息は何だか話が合わないし……。
結婚相手…見つけられるかな?
異世界…辛い…。
何不自由する事無く育ち、人生なんて楽勝って思ってたら交通事故で呆気なく死んでしまった。
転生したのはファンタジー小説の世界。
あんまり本は好きじゃ無かったけど、友人に薦められて読んだ。
確か題名は「オパールの涙」
この世界で私はヒロインだ。
お姫様なら良かったのに、騎士だから訓練が大変。おまけに実家の男爵家は貧乏だ。
それでも小説通りに王子様の視察へは同行する事が出来た。
視察には同行出来たけど、王子様とは全然良い雰囲気にならない。
ライルが女であることに気付いて無いみたいだからなるべく近くに行って、触ったりしたけど、直ぐに手を振りほどかれた。
私は無頼漢との戦闘で王子様に助けて貰う筈だったのに、別の人に助けられたし、王子様が襲われる村は視察を中止した。
水浴びは王子様が来ると思っていたから、ちょっと大胆に振る舞っていたが、来たのは別の護衛でその人に全部見られてしまった。
私の事が女だってわかった筈なのに、殿下の態度に変化はない。二人のデートも無かったしネックレスの贈り物も告白も無かった。
一応王宮に戻った後も専属護衛になったが、様子がおかしい。
何だか監視されている?
「ライル、お前を専属護衛から外す。」
「え?はい。理由を聞いていいですか?」
「お前の本当の名はライラだろう?男爵家は調査が済んでいる。どうして男装して護衛に潜り込んだ?」
「女として働いても、男爵家を支えるだけの給金は望めません。ですから騎士として働こうかと……。」
「そんな事しても、いずれはバレるし、自分の結婚や跡継ぎの問題があるだろう?」
そんな事…考えて無かった。ヒロインだから騎士になったのだ。
「……。お前は私を狙っていたのか?」
「いえ、そんな大それたことは…。」
「お前は私を篭絡するつもりだったのではないか?」
「え?」
「狙いが何であろうと、性別を偽ったことは罪になる。お前を拘束する。」
ブルドとズッブュルが入室して、私を拘束した。
ブルドの視線には憐れみが宿っている。
「え?え?、そんな…」
「何を驚いている。嘘の申告をして罪にならないとでも思っていたのか?」
「え?私はただ…。」
「ただ…何だ?目的を言え。」
「…王子様に近づきたかっただけで。」
「目的がそれだけだったとしても、性別を偽って護衛に潜り込むとは。罪は罪だ。連れていけ。」
私は地下の牢屋に入れられた。
どうしよう、どうしよう、この世界の罪なんて……。
もしかして死刑???
どーしたらいいのー!!
呆然と地下牢で過ごしていると、王子様の婚約者であるライバル令嬢がやって来た。
警戒して彼女を見ていると
「ライラ、貴女って転生者?」
「!!!」
「そうなのね?」
私は彼女に陥れられたのだろうか?しぶしぶ頷く。
「バルに貴方を捕らえたって聞いたから、驚いて…急いで来たの。大丈夫?」
彼女は私を心配してくれているみたいだった。
「性別を偽ったって牢屋に入れられて……怖くて。」
「そうよね。怖かったわよね。」
彼女の優しい声色に涙が溢れる。
「私……死刑なのかな?」
何も考えて無かった。小説通り行動すれば良いんだと思っていた。
「この世界の事何も分からないのに、これは可哀想ね。私バルに説明してみるわ。上手くいくか分からないけど、待っててね。きっと大丈夫よ。」
彼女は私を慰めるように語りかける。
「私…貴女の婚約者を取ろうとしたのに……。」
「この世界は小説通りに進むわって思っていたのはお互い様よ。」
「あ、ありがとう。ごめんなさい。罪になるなんて知らなかったの。…助けて。」
「うん。分かってる。待っててね。」
小説の中で私のライバルだった少女は明るい笑顔を見せて去っていった。
翌日、私は地下の牢屋から出された。
反省文を書かされて私は実家に戻る事が出来た。
半年後
私に対して警戒心の無くなった王太子殿下には
「あんな腕では騎士は務まらない。」とダメ出しされた。
ブルドとズッブュルにも
「男装になってなかった。」と笑われた。
すっかり仲良くなったリュルには、「この世界で生きていくのだから、家の為にも結婚はしなきゃ駄目よ。」と諭され、男爵家のためにも王宮で開かれているサークルに入って、良い結婚相手を見つけるよう命じられた。
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