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三章
もう、ゆるして
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「あ、は、……っもぅ、やめ……っ」
俺は縋るように、忠頼に手を伸ばし、懇願する。
すると、忠頼はふいに手を止めて、指を抜いた。
今までの刺激が、急に無くなる。止めてくれと言ったのは己のはずなのに、俺はその欠乏にひどく焦れている自分に気が付く。
忠頼はそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、こちらを見やり、ふっと微笑む。
「……どうしてほしい?」
俺を見つめるその目は、蕩けそうなほど熱く、ぎらぎらと欲望に燃えているのに、同時に果てしなく柔らかい。
俺はくらりとした。俺はただ、本能的に、忠頼に従いたい、と望んでしまう。
「……っ――」
俺はおずおずと、だが言われたとおりに、自分で足を開いて見せた。
しかし、忠頼は、すぐには動こうとしない。俺の腿や膝を、優しく撫でながら、俺をただ、見詰めている。
「……っあんま見、んな……っ、」
忠頼の瞳が、俺の中を暴き、犯す。
忠頼が俺を見る。それだけで俺は、己の弱いところも、馬鹿なところも、臆病なところも――誰にも見せたくない、恥ずかしいところをすべて、露わにされてしまう気がした。
――なのに、それが、心地良い、なんて。
俺は羞恥のあまり、身体が沸騰するかのように感じて、顔を背ける。それでも、俺の中の疼きは止まることなく、むしろ激しさを増す。
忠頼は俺の太腿に手を滑らせながら、問いかける。
「なぜ、見てはいけないんだ?」
俺は恨めしいような気持ちで、忠頼を、きっと見つめる。
「……こんな……ふうにして……っお前は、意地が、悪い」
「悪いが、それは生まれつきだ」
忠頼は鼻歌を歌うように、言葉を返す。まるで、この状況を楽しみ、味わっているかのようだ。
つと、忠頼が手を伸ばした。指先が、再び、俺の後ろに触れて、俺は歓喜の声を漏らす。
忠頼は、俺のそこを弄ぶように、浅く入れた指を、小さくくちくちと動かす。
「ふ……っあぅ……っん――」
忠頼の指が、順に、奥へ入っていく。忠頼の指が、俺の中を擦るように、ひっかくように動く。
「あ」
特別に気持ちのいいところを刺激され、俺の体が大きく跳ねた。大きな刺激ではないはずなのに、俺の身体はひどく悶え、歓喜に満たされる。
忠頼に見られている、という意識で、全身がどうしようもないくらい敏感になっていた。襦袢が擦れる感触さえも、深い刺激になる。
――おかしく、なってしまう。
打ち寄せる快楽の波に、俺はなす術もない。ただ喘ぐしかできず、息をするの辛いほど、感じてしまう。
――欲しい。欲しくて、たまらない。
俺はうわごとのように、かすれた声で言った。
「……ぅ、ん……なぁ、も……、それ、許して……あぅ……っお願い、だから」
言葉を発するのさえ辛い。俺は忠頼に向かって手を伸ばした。
「は……お前の、早く。……この奥に、欲しい……」
俺の中を弄んでいた忠頼の手が、ふと止まる。
忠頼は、俺の伸ばした手を取り、指の間に指を滑らせてぎゅうと握る。忠頼は俺を見詰めたまま、俺の手の甲に、口づけを落とした。
「――お前は俺を煽るのが、本当に上手い」
忠頼は、一つ、長い息を吐いた。そのため息が言い終わるや否や、忠頼はぐいと俺の腰を抱き上げ、俺を自分の膝の上に座らせる。同時に、俺の中に、忠頼のものが、ずぶりと入ってくる。
「あぁ……っ⁉」
待ち望んでいたものを迎え入れられて、思わず歓喜の声が漏れ、全身が震えた。
俺は縋るように、忠頼に手を伸ばし、懇願する。
すると、忠頼はふいに手を止めて、指を抜いた。
今までの刺激が、急に無くなる。止めてくれと言ったのは己のはずなのに、俺はその欠乏にひどく焦れている自分に気が付く。
忠頼はそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、こちらを見やり、ふっと微笑む。
「……どうしてほしい?」
俺を見つめるその目は、蕩けそうなほど熱く、ぎらぎらと欲望に燃えているのに、同時に果てしなく柔らかい。
俺はくらりとした。俺はただ、本能的に、忠頼に従いたい、と望んでしまう。
「……っ――」
俺はおずおずと、だが言われたとおりに、自分で足を開いて見せた。
しかし、忠頼は、すぐには動こうとしない。俺の腿や膝を、優しく撫でながら、俺をただ、見詰めている。
「……っあんま見、んな……っ、」
忠頼の瞳が、俺の中を暴き、犯す。
忠頼が俺を見る。それだけで俺は、己の弱いところも、馬鹿なところも、臆病なところも――誰にも見せたくない、恥ずかしいところをすべて、露わにされてしまう気がした。
――なのに、それが、心地良い、なんて。
俺は羞恥のあまり、身体が沸騰するかのように感じて、顔を背ける。それでも、俺の中の疼きは止まることなく、むしろ激しさを増す。
忠頼は俺の太腿に手を滑らせながら、問いかける。
「なぜ、見てはいけないんだ?」
俺は恨めしいような気持ちで、忠頼を、きっと見つめる。
「……こんな……ふうにして……っお前は、意地が、悪い」
「悪いが、それは生まれつきだ」
忠頼は鼻歌を歌うように、言葉を返す。まるで、この状況を楽しみ、味わっているかのようだ。
つと、忠頼が手を伸ばした。指先が、再び、俺の後ろに触れて、俺は歓喜の声を漏らす。
忠頼は、俺のそこを弄ぶように、浅く入れた指を、小さくくちくちと動かす。
「ふ……っあぅ……っん――」
忠頼の指が、順に、奥へ入っていく。忠頼の指が、俺の中を擦るように、ひっかくように動く。
「あ」
特別に気持ちのいいところを刺激され、俺の体が大きく跳ねた。大きな刺激ではないはずなのに、俺の身体はひどく悶え、歓喜に満たされる。
忠頼に見られている、という意識で、全身がどうしようもないくらい敏感になっていた。襦袢が擦れる感触さえも、深い刺激になる。
――おかしく、なってしまう。
打ち寄せる快楽の波に、俺はなす術もない。ただ喘ぐしかできず、息をするの辛いほど、感じてしまう。
――欲しい。欲しくて、たまらない。
俺はうわごとのように、かすれた声で言った。
「……ぅ、ん……なぁ、も……、それ、許して……あぅ……っお願い、だから」
言葉を発するのさえ辛い。俺は忠頼に向かって手を伸ばした。
「は……お前の、早く。……この奥に、欲しい……」
俺の中を弄んでいた忠頼の手が、ふと止まる。
忠頼は、俺の伸ばした手を取り、指の間に指を滑らせてぎゅうと握る。忠頼は俺を見詰めたまま、俺の手の甲に、口づけを落とした。
「――お前は俺を煽るのが、本当に上手い」
忠頼は、一つ、長い息を吐いた。そのため息が言い終わるや否や、忠頼はぐいと俺の腰を抱き上げ、俺を自分の膝の上に座らせる。同時に、俺の中に、忠頼のものが、ずぶりと入ってくる。
「あぁ……っ⁉」
待ち望んでいたものを迎え入れられて、思わず歓喜の声が漏れ、全身が震えた。
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