魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫

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幼少期

5

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_____5年後。
月日はあっという間に流れ、俺は10歳になっていた。
何をしていたかというと…5年間屋敷に隠れるように暮らしてきた。
ちなみに家から出たことはない。
伯爵に「ここにいるうちは外に出るな」と言われていたからだ。
どれだけ俺のことを世間様に知られたくないんだよって感じだ。

だが、俺はもともとインドア派。3歳上の兄、リュカが両親と共に社交界に出たり、取り巻きを家に招きティーパーティーなんぞをやっているのを横目に俺は…
自由な引きこもり生活を満喫していた。

外に出るなと言われていたが、部屋から出るな、とは言われてない。
行ってない部屋はないんじゃないかというレベルで探索しまくった。
屋敷の人間にとって俺は空気みたいなものらしく、何をしてもどこにいても何も言われない。

さすがに伯爵の部屋には勝手に入れないからそこだけは未探索だ。いつか、絶対に行ってやる。



引きこもり生活は、はっきり言ってとっても快適だった。
衣食住には困らないし、社交界にだって出なくていい、世話なんかされずとも前世の記憶込みだと俺は随分な年齢になる。前世の独身生活を極めた俺をなめるなよ。

貴族社会なんて面倒臭さしか感じない。上の貴族におべっか使って下の貴族には偉そうにふんぞり返る。異世界というだけあってお城なんかには興味があるけどそれだって観光としていくならまだしも、貴族としていくなんてまっぴらごめん。
その点でいえばこの世界とこの家族に感謝だな。



大きくなるにつれてご飯さえ運んでもらえなくなったので調理場に行き、自ら料理をするようになった。自炊は好きだったので料理は得意だ。中世ヨーロッパ風といっても食文化が発展しているようなので調味料には困らない。
シェフたちは最初迷惑そうにして、料理の邪魔をしてきたり、陰口を言ってきたりと忙しそうだったが、俺が見たこともない料理を作ると興味深そうに眺めるようになった。
嫌がらせをしていた手前、聞いてくることもなかったし教えることもしなかった。
教える気もなかったが。
俺は、もうお前らには期待してないんだ。


ここで働く人たちは俺に直接危害を加えることはないが、日常的に嫌な視線を感じるし、悪口だって聞こえてくる。
最近では俺に聞こえるように「どうして、髪が白いの?」と使用人同士で話すのを聞いた。

そう、俺の髪は成長につれどんどん白くなっている。最初は、薄紫色だったのに。
普通、色って変わらないだろ。プ〇キュアだって、変身しても色は変わらないんだぞ。



魔力と色の濃さが関係していると予想しているんだが、それだっておかしな話だ。
だって教会の奴になんて言われたと思う?「生きているのが奇跡なくらい、魔力がありません」だ。

その言葉から考えると、魔力=生命力的なものだと思っているのだが…

最初の時点で、魔力なしなら、今の俺はマイナスいってるだろ。
あいつの言葉が正しいなら、俺は今いつ死んでもおかしくない、ということになる。

?めっちゃ元気なんだが。

俺は勉強させてもらえないし、自ら本で知識を得ようにもなぜか、魔法や魔力に関しての本は、見る限り置かれていない。だから、魔力に関しては、何も知らない。
憶測だけではわからないな。

まあそもそも魔法を使わない限り魔力がなくなることはないみたいだし、少ししたら元に戻るだろう。


そう思っていた時期もありました。体調を崩すようになるまではね!

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