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【第一部】国家転覆編
2.4)迫りくる悪意
しおりを挟む今日も今日とて魔物退治――なのはドーヴィだけ。今日は来客があるから一人で行ってくれないか、とグレンから申し渡されたのが朝のこと。
朝のうちにグレンと仮契約を交わし、それなりの魔力を頂戴したドーヴィは依頼された地域の魔物を3分程度で片付けて暇を持て余していた。
いや、暇を1分ほど持て余してからすぐに気を取り直し、クランストン辺境城へと戻っていた。
姿を消しさくっと転移して、契約主の魔力を辿り当人を見つける。他の部屋と違って豪華な壁紙に高級そうな応接セットが置かれている部屋……つまり応接室の様なところに、グレンはいた。
誰もいない事を確認してから、ドーヴィはグレンの前にふわりと正体を現す。
「ドーヴィ!?」
「おう、魔物退治が終わって暇になったから様子を見に来た」
「お、終わったって……えっ……」
「あんな量じゃ5分もあれば十分だ」
厳密には3分もかかってないぐらいだがとにかく。ぽかん、と口を開けてドーヴィを見上げるグレンは、辺境伯としての豪奢な衣装に釣り合わない幼さを見せていた。
しばし無言で見つめ合う二人。先に気が付いたのは、グレンの方だった。
「い、いや、今日の来客は私のみの打ち合わせを希望しているのだ! ドーヴィがいたら困る!」
慌てるグレンを他所に、ドーヴィはパチンと指を鳴らした。途端に、ドーヴィの姿が掻き消える。部屋に残されたのは、あんぐりと口を開いた幼き辺境伯のみ。
「これでいいだろ?」
「……ぁ、ぇ……いい、けど……えっ!?」
ようやく気を取り戻したグレンは、辺境伯としての顔はすっかり崩れて伝説のユニコーンでも見た子供のように目を輝かせていた。
「なんと高度な姿消しだ! 魔力の漏れもほとんど無いではないか!」
「まてまてまて、ほとんどっつーか普通の人間ならわからないはずなんだがな?? え??」
ドーヴィはグレンの魔力感知能力が予想以上に高い事に驚き、舌を巻いた。まさか、この魔法を使った自分の魔力を感知できる人間がいるとは。
この年齢で悪魔召喚に成功する時点で並外れた魔力の持ち主だとは思っていたが……予想以上に、この可愛らしい契約主は有能らしい。
(道理で魔力も美味しいわけだ。生まれ持った才能もあるだろうが、本人も努力してんだろな)
姿を隠したドーヴィがいるあたりに熱心に話しかけるグレン。微妙に視線が合ってない事から、魔力は感知できても姿は見えていない様だ。
そんなグレンを適当にあしらっているうちに、件の客が到着したと廊下より扉越しにメイドから告げられる。
グレンはさきほどまでのキラキラした輝きを瞳から消し、ぐっと背筋を伸ばした。両膝の上に乗せられた拳に、力が入る。その様子を見ながら、ドーヴィも口を閉ざして改めて隠蔽の魔法を重ねがけした。今度は見た目以外に物音なども全て完全に遮断するさらに高度な魔法だ。
「ドーヴィ、いいか、絶対に姿を現すなよ。それから客人に手を出すのもダメだ。……何があっても」
魔法の話をしていた時から一転、ずしりと重みを持った声音でグレンが言った。それをドーヴィはへいへい、と聞き入れる。……聞き入れて、しまった。ドーヴィがこれを後悔するのは、もう少し後の話だ。
(さてはて、この辺境伯様をここまで緊張させる客ってのはどんなもんなのか、見せて貰おうか)
――かくして。ドーヴィは黙ってグレンとその『来客』のやり取りを眺めていたわけだが。
結論から言うと、入室してきた男の客二人組が明らかにグレンを嘲るような態度を見せ、グレンの丁寧な挨拶を無視してどかりとソファに座った時点で早くもドーヴィには殺意が芽生えていた。
その男二人はグレンに対して名乗るわけでもなく、勝手に葉巻を吸い始め、その灰を灰皿ではなくテーブルや床に敷かれた綺麗な絨毯にわざと落としている。……ドーヴィに芽生えた殺意がめきめきと成長していく。
何やら必死にグレンが『面会』の体裁を整えようと話を振るが、男二人はニヤニヤと笑いながらそれを黙って聞いているだけ。かと思えば、葉巻の煙を勢いよくグレンへと吹き掛けた。
「げほっ、ごほっ」
「ハッ、こんな子供が辺境伯とは世も末だ。こんなのだから借金も返せないのだろう」
「ごほっ……借入金につきましては、順調に返済計画を進めております」
煙で涙目になりながらも、グレンは必死に言い募る――が。そもそも、来客者の男二人は、グレンと『面会』しに来たわけではないようで。
「計画を進めるだけでは意味がないのだよ、クランストン辺境伯。全く、貴族として他の貴族から援助してもらわなければ成り立たないとは恥ずかしくないのかね? 君も両親の遺した家を潰したくはないのだろう?」
「……仰る通りです」
要は、ひたすらにグレンに嫌味を言うためだけにこんな辺境の地へやってきたのだ。わざわざ。客人本人が「こんな辺境くんだりまでわざわざ来てやったのに、こんなゴミの様な茶菓子で持て成そうというのかクランストン辺境伯は」と実に嫌味ったらしく言うほどには、わざわざ。
言うまでもないが、グレン側が用意した茶菓子は立派なものである。ちゃんと、貴族関係者向けの高級な茶菓子だ。その茶菓子も、さきほど男の手によって床へと投げ捨てられた。
グレンの顔に一瞬だけ、痛みを覚えたような表情が走ったのは気のせいではないだろう。あの茶菓子は、メイド長のばあやが丁寧に盛り付けて飾ってくれた大切なものだ。
その後もこれでもかと延々とグレンを攻撃するだけの、借金取りですらない暴言を吐き続けた男二人。そして、黙って耐え続けたグレン。
……グレンが事前に制止していなければ、ドーヴィはとうにこの二人を切り刻んで豚の餌にでもしていただろう。いや、それでも足りないぐらいだ。
(グレンをサンドバッグにするためだけに、こんなところまで来てやった、って言うのかテメェらは……!)
悪魔のルール、契約者との契約。面会前にグレンは「手を出すな」とドーヴィに命令し、曲がりなりにもドーヴィはそれを受け入れた。故に、ドーヴィは契約主がどれだけ嬲られようとも、手を出さずに歯ぎしりをして見守るしかなかった。
大の大人が二人がかりで少年を口々に罵る中で、よくもグレンは泣きも怒りもせずに感情を殺して我慢できるものだ。ドーヴィはイライラした気持ちを抱えたまま、会話の流れを見守る。
「さてはて、借りた金も返せない、動物以下のクランストン辺境伯殿はどうするおつもりですかな?」
「それは……その」
もう何度もやり取りした問答だ。グレンが何かしらの対案を出しても、鼻で笑って却下されてきた。すでに、グレンの手札は無いに等しい。
「……また、魔晶石で利息分のお支払いとさせて頂ければ……」
震えた声で、グレンはそう言った。借りた金を返すどころか、増え続ける利息分を物品で支払うのが精いっぱい。男たちはその回答を聞いてあきれたようにわざとらしく大きなため息をつき、肩を竦めた。
「前回もそうじゃなかったか?」
「そうですねえ、クランストン辺境伯殿は、毎回毎回、金ではなく魔晶石程度で、それも利息分しかお支払いできないと」
「も、申し訳ありません……」
グレンがテーブルに着くほどに頭を下げ、一人の男がその後頭部に葉巻の灰をぱらぱらと落とした。もちろん、グレンもされていることが何なのかわかっていても、声の一つも上げずにぐっと耐えている。
……そもそも。利息分というが、この世界の法律を知らないドーヴィからしても、数字の割合がおかしかった。暴利を超えた暴利、どう考えてもまともな『借金』とは思えない。相手を殺す為だけの利息だ。
どこかの貴族が、グレンを絞め殺す為だけの。
(いやらしいヤツだ、物理的に殺せないから社会的に殺すってか)
あるいは、金銭の自由を奪って生かさず殺さずで永遠と搾取し続けるつもりなのかもしれない。どちらに転んでもあまりにも極悪にすぎる借金であった。
「まあ、クランストン辺境伯からそう申し出るのであれば。仕方ありませんねえ、今回も魔晶石でお支払いでヨシとしましょう」
「ありがとうございます」
ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべた男が、もう一人の男に指示して袋を取り出す。中から出てきたのは、握り拳サイズの結晶だった。
なんだあれは、とドーヴィは注意深く見るに、どうやら魔力を蓄える性質を持った特殊な鉱石のようだ。ここ数日、世界を見て回った記録の中から該当するものを脳内で探し、なるほどこれはちょっとした魔道具を動かすためのエネルギー源であるとドーヴィは判断する。
例えば食物を冷やすための倉庫、いわゆる冷蔵庫のような魔道具に使われたり、火を容易に起こせるライターのような魔道具に使われたり。あるいは、小さな結界装置などにも使われている様だった。
「じゃ、さっさと装填してくれよな」
到底、辺境伯に向けたとは思えない言葉遣いでそう言う男に小さく頷いて、グレンは一つの魔晶石を手に持った。そして、その結晶に向けて魔力を流し始める。
(って、おいおい、あの量であの個数を? グレン一人で?)
結晶に吸われていく魔力の量と、テーブルに並べられた魔晶石の個数。どう見ても、グレンが倒れるほどの魔力が必要だった。
ドーヴィはさすがに見かねて手を出すことを決めた。グレンが言ったのは『客人に手を出すな』であって、『客人の物に手を出すな』とは言っていない。
「!?」
「静かにしろ、俺の魔力で充填してやる」
グレンの手にドーヴィが手を重ねると、グレンは声こそ出さなかったが驚いたように肩を跳ねさせた。耳もとで男二人に聞こえないように、ドーヴィが小さく囁く。
(ったく、こういう細かい作業は苦手なんだけどな……)
人間にとっては骨の折れる充填作業であっても、ドーヴィという悪魔にとっては朝飯前だ。むしろ、魔晶石に流す魔力量を抑える調整の方が難しい。
魔晶石は接触しているだけで魔力を吸い取る機能もあるようで。ドーヴィはグレンの手から魔力が流れるのを横からせき止め、かわりに自分の魔力をゆっくりと、超少量だけ流し込んだ。
グレンは男たちに気づかれないように、すました顔で魔晶石を持っている。一つ終われば、次の魔晶石を。
「……クランストン辺境伯、今日はずいぶんと余裕がおありのようですね?」
「え、ええ。今日は……その、最近は魔物退治に出かけていませんでしたので。前回より、魔力が残っているんです」
「ほう……?」
訝しがる男に、グレンはしどろもどろに答えた。……どうやら、この男たちは、グレンの能力を超えた魔晶石を持ちこんでは借金のカタとして充填させ、グレンが苦しむ姿を見るのも目的だったらしい。
本当に反吐がでる人間どもだ、とドーヴィは心の中でだけ舌打ちをする。魔晶石を一つぐらい暴発させて、男たちを爆殺しようかとも思ったが、さすがにやめておいた。客人には手を出すな、と言われたからには。
最後の魔晶石を片付けたところで、男たちは面白くなさそうな顔をしていた。それだけでもドーヴィは内心でざまあみろと舌を出していたりする。溜飲も多少は下がったが、まだまだ足りない。
何はともあれ、これで男二人の『仕事』は終わったらしい。最後に「こんな獣臭い城にいられるか」「豚と同じ部屋にいるなど虫唾が走る」と余計な言葉を吐いて、早々に退散していった。
「はあー……」
見送りを終えたグレンは、いくつか執事のアーノルドと面会の内容を共有してから執務室の執務椅子にぐったりと座り込んだ。執事のアーノルドはグレンを労った後に、貰った情報を元に何やら調べ物をすると言って退室して行った。
残されたのは姿を隠したままのドーヴィと執務机にべったりと上半身を寝そべらせているグレンのみ。
「なあ」
「うわあ!? い、いたのかドーヴィ!」
……あまりにも気配を遮断過ぎて、契約主に忘れ去られてしまったドーヴィ。この野郎、と思いつつもドーヴィは執務室に誰も入って来れないように軽い結界を張ってから口を開く。
「やり取りを見てたんだがよ、ありゃあ向こうが悪いだろ」
「ぐ……それはそうだが、そうだとしても、相手は私よりも上の貴族だ。何なら、背後には王族もいる」
「なるほどね。……だったらますます、暗殺しちまえばいいじゃねえか」
訴える先も守ってくれる機関も無いと言うのなら、自分の力で火の粉を振り払うしかない。ドーヴィはそう言った。だが、その言葉を聞いたグレンは顔を顰める。
「だから、相手一人を暗殺したところでどうしようもないと言っている」
「だったらそれこそ、相手がビビって手を引くまで順に殺していくっていうのもありだろ?」
ドーヴィの言葉に、グレンはむっとした顔をして……そして、強い口調で言い返した。
「そうやって貴族や王族を殺していくのか? そうなればこの国は乱れるぞ。領地を治める者がいなければ、民は飢える。乱れた国では、民はいたずらに死ぬ。それが許されるわけもないだろう」
「別にいいじゃねえか、それぐらい。多少貴族がいなくなって国が乱れたところで――」
「ダメに決まっている!」
執務机を両手で叩き、グレンは激昂して立ち上がった。それぐらい、と軽い気持ちで言ったドーヴィはグレンの様子に面食らう。
「僕は貴族だ! 辺境伯なんだぞ! この辺境の地に住む民を守り、導く使命がある! それだけじゃない、この手が届く限り、このガゼッタ王国を守り、盛り立て、国民全員が平穏の下に幸福を享受して生活できるようにする義務がある!」
「お、おう……」
「いいか、ドーヴィ、二度といい加減なことを言うな! 僕が率先して国を乱すだなんて、もってのほかだ!」
顔を真っ赤にして、グレンはそう怒鳴り散らした。まるで、痛いところを突かれたかのように。
執務椅子に座り直したグレンは、両手で顔を覆った。ドーヴィからは表情を伺う事はできなかったが……ただ、少なくともドーヴィを怒鳴りつけてスッキリした、という様子ではない事は明らかだ。
(何とも……真面目な契約主だこと)
他の貴族がクランストン辺境伯の没落を見て楽しんでると言うのに、その娯楽にされている本人がこれだ。さぞかし、この国では生き辛いだろう。
だとしても、グレンが大量の魔力あるいは自身の命を引き換えにしてでも召喚した悪魔に依頼するのが『魔物退治』なのだから……生き辛くても、現在進行形で絞め殺されていようと、グレンはきっとこの考えを、この気持ちを曲げることはない。どこまで行ってもグレンは貴族であり、クランストン辺境伯であるのだ。
だから苦しい。グレンは苦しんでいる。理想は高く、誉も高く。されど現実は地獄の様で。
ドーヴィに言い返すために口に出したことで、余計にそのギャップに気づかされてグレンは自己嫌悪に陥っていた。顔を両手で覆ったまま、一言も発さず、ドーヴィに顔を向けない姿勢からして、ドーヴィはそれに気づく。
なんとかわいそうで、かわいい契約主なのだろう。
「悪かったよ、グレン」
ドーヴィはあっさりと白旗を上げた。強情で不器用で真面目な契約主にこれ以上何を言う事があろうか。契約主がそうでありたいと願うなら、ドーヴィはそれに寄り添うだけだ。
「人間の事にはちょいと疎かったから、あんまりその辺のことまで考えが及ばなかったわ。ごめんな」
「……うん」
顔を伏せたまま、グレンは静かに頷いた。その声は先ほどの辺境伯としてのプライドに打ち立てられた様子とは全く違って、迷子になった子供の様だった。
「……僕、も、悪かった。いきなり怒鳴って、ごめん」
「いいさ、気にしてない。お前が怒るのも最もだ」
「でも……」
言い募るグレンの頭を、ドーヴィはがしがしと乱暴に撫でる。
「うわっ!」
「お前が怒ってるのなんて子犬がキャンキャン吠えてるようなもんだからな」
「な、なんだよそれ!」
実際、ドーヴィは何度かグレンに子犬を幻視しているのだ。子犬呼ばわりされてむっとした顔でドーヴィの腕を掴む契約主が可愛い、うむ、子犬だ。
「ほれ、メイド長が用意した軽食でも食って、執務の続きでもしてろよ」
「む、ドーヴィは?」
どこか不安そうに伺うグレンを見下ろし、ドーヴィは喉奥で笑う。そのまま、流れるように身を屈め、グレンの頬に手を当てて唇を奪った。もちろん、魔力を頂くのも忘れない。
「追加で魔物退治してきてやるよ」
「っ!」
唐突にされたキスに、グレンは一拍遅れてから顔を赤くした。何度やっても、慣れないものは慣れないらしい。そういうところがまた実によろしいのだ、この契約主は。
口をぱくぱくさせているグレンを置いて、ドーヴィはすっと姿を消した。転移先はグレンが悩んでいた魔物の森の一端。
グレンが辺境伯として仕事に励むと言うなら、ドーヴィも一緒に励んでやろうではないか。
「魔物退治なんて、タダみたいなもんだしな」
それであれだけ可愛い契約主の顔が見れるなら、安いものだ。適当に魔物を間引きながら、ドーヴィはそう思う。あの、辺境伯として立とうと背筋を伸ばしてキリッとしているグレンが、ドーヴィの前では子供の様にころころ表情を変えるのが実にたまらない。
やはり今回は良き契約主に当たったと、ドーヴィは改めて心底感じたのだった。
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