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第4話 話
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「どけ! どくんだ!」
桃玉の後ろから役人達が野次馬を押しのけるようにしてやってきた。桃玉は遺体と役人達を交互に見ながら口をぱくぱくと開ける事しかできないでいる。
「はあ、心臓がえぐり取られているな……おい、この遺体を搬送するぞ」
役人の1人が指示をすると、彼が付き従えていた部下が持っていた簡易担架をばさっと広げ、その上に遺体を乗せるとあっという間に野次馬をかき分けてどこかへと消えていく。
桃玉は彼らが向かって行った方向をじっと見つめていた。
「桃玉ちゃん……どうなるんでしょうねえ……」
「そうだね、おばさん……」
「あやかしがまた来てしまったのか……怖いよ」
桃玉のおじはぼそりと漏らす。その声を桃玉はしっかりと聞いていた。
「おじさん……」
しかし、なんて声をかけたらいいのか桃玉にはわからなかったのだった。
「桃玉ちゃん、心配かい?」
おじからの言葉に桃玉は眉を八の字に下げながらこくりと頷く。
「うん、少し……」
「そうだよなあ、俺も心配だよ。まだ死ぬわけにはいかないからねえ」
桃玉達は静かに野次馬から離れ、ゆっくりとした足取りで帰宅していった。
◇ ◇ ◇
心臓をくりぬかれた男の遺体が見つかって3日後の午後。桃玉は食卓でおばとゆっくりお茶を飲んでいた時の事。
「失礼する。ちょっと時間良いか?」
家に突如役人とその部下が訪れた。背が高く若い役人がつかつかと入って来る様子に桃玉はぎょっと目を丸くさせて、驚きの表情を浮かべながらも席を立ち彼らの前に向かう。
「あの、何か御用でしょうか?」
「また心臓をくりぬかれた村人の遺体があがってな。夜間は出歩かないようにと注意喚起をして出回っている所だ」
役人曰く、今回の被害者は今家に来ている役人の侍女で桃玉のおじと同年代にあたる女性だと言う。
「わかりました。気を付けます」
「ああ、頼むよ」
役人はややぶっきらぼうに言い残して家から去っていく。
「桃玉ちゃん、怖いですねえ……」
「ええ……また同じような手口だなんて……」
お茶をずずっと飲む桃玉の胸の中には、恐怖と両親を失った事に対する悲しみと犯人へのどうにもならない怒りが混ざり合って黒い靄を形成していたのだった。
夕方。桃玉のおじがにこにこと笑顔を浮かべながら市場で売れ残った野菜と今日の売上金を持って帰宅してきたので、桃玉は早速作っておいた夕食を温め始める。
「今日も結構売れたんだねえ、おじさん」
「ああ、葉野菜がすんごい売れてるよ」
はあ、とおじが椅子に座りながら首に巻いた手拭いで顔から滴り落ちる汗をぬぐっていると、家に村長と僧侶に老人があいさつもなしにぞろぞろと列をなして入って来た。白髪頭にしわだらけの顔とやや腰が曲がった容姿をしている村長は灰色の瞳を桃玉に向ける。
まるで品定めするかの目つきに、桃玉は思わず形容しがたい恐れを抱いた。
「君が李桃玉かな? 話があるからついてくるように」
「そ、村長……?」
桃玉の後ろから役人達が野次馬を押しのけるようにしてやってきた。桃玉は遺体と役人達を交互に見ながら口をぱくぱくと開ける事しかできないでいる。
「はあ、心臓がえぐり取られているな……おい、この遺体を搬送するぞ」
役人の1人が指示をすると、彼が付き従えていた部下が持っていた簡易担架をばさっと広げ、その上に遺体を乗せるとあっという間に野次馬をかき分けてどこかへと消えていく。
桃玉は彼らが向かって行った方向をじっと見つめていた。
「桃玉ちゃん……どうなるんでしょうねえ……」
「そうだね、おばさん……」
「あやかしがまた来てしまったのか……怖いよ」
桃玉のおじはぼそりと漏らす。その声を桃玉はしっかりと聞いていた。
「おじさん……」
しかし、なんて声をかけたらいいのか桃玉にはわからなかったのだった。
「桃玉ちゃん、心配かい?」
おじからの言葉に桃玉は眉を八の字に下げながらこくりと頷く。
「うん、少し……」
「そうだよなあ、俺も心配だよ。まだ死ぬわけにはいかないからねえ」
桃玉達は静かに野次馬から離れ、ゆっくりとした足取りで帰宅していった。
◇ ◇ ◇
心臓をくりぬかれた男の遺体が見つかって3日後の午後。桃玉は食卓でおばとゆっくりお茶を飲んでいた時の事。
「失礼する。ちょっと時間良いか?」
家に突如役人とその部下が訪れた。背が高く若い役人がつかつかと入って来る様子に桃玉はぎょっと目を丸くさせて、驚きの表情を浮かべながらも席を立ち彼らの前に向かう。
「あの、何か御用でしょうか?」
「また心臓をくりぬかれた村人の遺体があがってな。夜間は出歩かないようにと注意喚起をして出回っている所だ」
役人曰く、今回の被害者は今家に来ている役人の侍女で桃玉のおじと同年代にあたる女性だと言う。
「わかりました。気を付けます」
「ああ、頼むよ」
役人はややぶっきらぼうに言い残して家から去っていく。
「桃玉ちゃん、怖いですねえ……」
「ええ……また同じような手口だなんて……」
お茶をずずっと飲む桃玉の胸の中には、恐怖と両親を失った事に対する悲しみと犯人へのどうにもならない怒りが混ざり合って黒い靄を形成していたのだった。
夕方。桃玉のおじがにこにこと笑顔を浮かべながら市場で売れ残った野菜と今日の売上金を持って帰宅してきたので、桃玉は早速作っておいた夕食を温め始める。
「今日も結構売れたんだねえ、おじさん」
「ああ、葉野菜がすんごい売れてるよ」
はあ、とおじが椅子に座りながら首に巻いた手拭いで顔から滴り落ちる汗をぬぐっていると、家に村長と僧侶に老人があいさつもなしにぞろぞろと列をなして入って来た。白髪頭にしわだらけの顔とやや腰が曲がった容姿をしている村長は灰色の瞳を桃玉に向ける。
まるで品定めするかの目つきに、桃玉は思わず形容しがたい恐れを抱いた。
「君が李桃玉かな? 話があるからついてくるように」
「そ、村長……?」
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