後宮浄魔伝~視える皇帝と浄魔の妃~

二位関りをん

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第41話 お茶会

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 胡充容はその後、龍環により死罪が言い渡された。彼女の家族には罪には問われなかったが、胡充容が神秘学や呪詛に傾倒していた事が公になった為に、周囲からは冷ややかな目で見られるようになったという。
 一連の呪詛事件が解決し、桃玉は商徳妃により開催されたお茶会に招かれていた。お茶会が開催されているのは、商徳妃の部屋とその中庭である。

「ようこそ。この度はありがとうございました」 
「商徳妃様はじめ、皆お元気になり本当に良かったです」

 桃玉はすっかり元気になった商徳妃を見てふっと穏やかに笑う。

(元気そうで良かった)
「桃玉ちゃん!」

 桃玉に気がついた佳賢妃が手を大きく振りながら桃玉に近づき、彼女の身体に抱き着いた。

「佳賢妃様……!」
「桃玉ちゃん点心……えっと、水餃子好き? たくさん用意してるよ」
「水餃子好きです! 嬉しい……!」
「あら、桃玉は水餃子好きなのね。私も好きよ」

 商徳妃がくすりと笑う。早速中庭へと移動した桃玉。
 四方を石壁で囲まれているも広さのある中庭に設けられた朱色の席にはすでに2人先客がいた。佳淑妃と張貴妃だ。

「張貴妃様。佳淑妃様。李桃玉でございます」
「桃玉、か……よく、来たね」

 張貴妃が固く結んでいた口を開いた。

(細くて高い声だなぁ)
「桃玉、よく来たな。今日はめいっぱい楽しむが良い。明日からまた稽古を積んでいこう」

 佳淑妃は笑顔で桃玉に語りかける。すると張貴妃はもごもごと口を動かした。

「桃玉も……稽古、してるの?」
「はい、最近始めました」
「何を、目指しているの? 強さ? それとも力?」
「その2つのうちどちらか選べと言われたら……強さ、でしょうか」
「桃玉、頑張っているんだね……」
「まだまだこれからですけどね」

 ははは……。と桃玉が笑うと佳淑妃はそうだな。頑張れよ。と彼女の肩の上に自身の腕を置いた。
 
「ふふっ……仲良し、だね」

 桃玉と佳淑妃の様子を見た張貴妃はくすっと笑う。子どものような笑みに桃玉の目は吸い込まれていきそうになった。

(こんな笑い方も出来るんだ……)
「桃玉ちゃん! ほら、水餃子!」

 佳賢妃が水餃子の入ったお皿を両手に持ち、右手で持っている方を桃玉に向けてきた。

「ありがとうございます……!」
「まあまあ、快気祝いって事で! よし、ゆっくり食べよっと!」

 桃玉にお皿を手渡し、中庭の切り株の上に座った佳賢妃はそのまま手づかみで水餃子を食べていく。桃玉は佳淑妃に誘われ、佳淑妃と張貴妃が座る席に座った。

「失礼します」
「ああ、たくさん食べるんだぞ」
「おいし――!」
「おい、箸を使って食べんか!」
「だってコッチの方が食べやすいんだもん」
「佳賢妃……おもしろい」
「はあ、やれやれ……快気祝いって事で今日は見逃してやるか」
「皆、盛り上がっているようだね」

 桃玉の後ろから龍環が宦官達を付き従えて現れた。

「陛下!」

 皆、深々と頭を下げる。切り株の上に座っていた佳賢妃は立ち上がって礼をした。

「頭をあげよ。お茶会、楽しんでるみたいで何よりだ」
「陛下、お越しくださりありがとうございます」
「ああ、商徳妃。皆元気そうで何よりだ」

 ふっと穏やかに笑う龍環を、桃玉はにこやかに見つめている。そして水餃子をぱくりと食べた。

「ん、ぷりぷりで美味しい」

 もちもちぷりぷりのあんに覆われた肉からは肉汁がたくさん溢れ出てくる。いくら食べても飽きない味だ。

「桃玉。おまんじゅうも……あるよ……」
「張貴妃様。ありがたく頂戴します」

 張貴妃が勧めた小さな白いおまんじゅうを口にした桃玉。
 ムッと湧き出る甘さとおいしさに思わず美味しい! と声に出した。

「美味しい……みたいで、良かった」

 皆それぞれお茶会を楽しむ。お茶会には意識を失っていた美人才人の妃達やそれ以外の妃達も現れた。すると、龍環が何かを閃いたように皆、いいかい? と声を掛ける。

「みんなはさ、あやかしについてどう思う? 皆の意見を聞きたい」
(すごい質問来た! でも、なんて言ったらいいんだろ……あやかしを浄化出来るだなんて言えないし)

 突然の質問に、妃達達は思わず黙り込む。そんな中、一番最初に口を開いたのは張貴妃だった。

「あやかしはいる。良い子も悪い子も……いる」
(良い子も悪い子も……)
「あやかしは……怖くない。人間と、同じ」

 張貴妃の言葉が会場内に重くのしかかる。だがそこに陰鬱さは無かった。
 龍環は気を使ってすまない、話を変えよう。と周囲に告げると、佳淑妃はせっかくですから、このまま話を続けましょう。と静止した。

「皆の様々な意見を聞ける、貴重な機会かと」
「確かに佳淑妃の言う通りだな。じゃあ、まずは桃玉から聞くとしよう」

 穏やかだが、どこか硬い意志を秘めているように笑う龍環に、桃玉は動揺を見せた。

「えっ?! 私ですか!?」

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