後宮浄魔伝~視える皇帝と浄魔の妃~

二位関りをん

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第69話 再会

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「桃玉さん、おはよう。起きてる?」
(美琳さん)

 桃玉は架子床からもぞもぞと起き上がり、部屋の扉を開くと寝間着姿の美琳が立っていた。

「さあ、開店準備だよ。朝市があるからね」
「おはようございます。わかりました……!」
「着替えは1階の広間においてある。そろそろ朝食が出来ると思うからササッと食べたら市場へ行こう」
「はい……!」

 美琳の指示通り1階に降りて庶民が着る簡素な衣服に着替えると桃婆がおかゆを出してくれた。

「昨夜はよく眠れたかい?」
「あ――すみません。あまり眠れませんでした……」
「そうかい。まあ環境の変化もあるじゃろうしのぅ。さあ、おかゆを食べたら開店準備じゃ。ワシは畑に行かねばならんから、美琳についていくんじゃよ」
「はい、桃婆さん」
「桃婆ぁ、おはよう……あれ、皆起きてたんだ」

 玉琳が目をこすりながら隣の部屋から出て来た。

「玉琳おはよう。ほら、早く着替えな」
「朝ごはん食べてからにする」

 あくびをしながら玉琳は桃婆からおかゆを受け取ると、お茶をひと口飲んでから口にした。
 桃玉達ももそもそとおかゆを食べ進めていく。おかゆはちょうど良い感じの温度に冷めていて、中にはご飯以外にも小さな葉野菜が欠片のように入っている。塩気も効いていてまろやかな味わいだ。

「ごちそうさまでした!」

 食事を終えた一行はそれぞれに行動を開始する。美琳と桃玉は市場へ、桃婆と玉琳は商品となる果物を収穫しに果物畑へと向かっていった。
 桃婆と玉琳は仙女という事もあり、空を飛んで移動する事が出来る。その様子はまるで鳥のようだった。

「桃玉さん、いくよ!」
「はい!」

 市場へと小走りで移動する2人。到着すると既にあちこちで開店準備が行われていた。

「桃玉さん、商品籠を出していって。こっちはちょっと掃除していくから」
「了解です!」
「……桃玉?」
(え?)

 振り返るとそこには、息を切らしながら桃玉を見つめる龍環がいた。
 いきなりの再会に桃玉は持っていた商品籠を落とす。

「龍環様……」
「桃玉、会いたかった! 会いたかった……!」

 桃玉を力強く抱きしめる龍環。しかし桃玉は現実を受け入れられないでいる。

「龍環様、どうしてここに……、だって私が後宮を追い出されたのは龍環様の指示だって」
「あれは母上と力分が勝手に言った事だ。少なくとも俺は君がいないと困る。君は俺の大事な妃なのだから」
「それってあやかしを……」
「あやかしを浄化させる為だけではない。俺は……君を愛している」
「……っ!」

 突然の愛の告白に、桃玉は肩を跳ね上げながら驚く。そして龍環の背中に手を回した。

「私も……私も、龍環様をお慕いしています!」
「はは……ありがとう……」

 周囲から拍手と驚きの声があがったのと同時に、轟音と地震が起こる。

「! この地震は!」
「龍環様!?」
「俺はあやかしに追われているんだ……!」
「そうなのですか?!」
「だから……すまない! 君の力を貸してほしい!」

 桃玉から離れるとその場で勢いよく土下座する龍環の姿に周囲からはざわめきが起こった。

(あやかしを浄化させる。私にはこの大事な役目がある!)
「勿論でございます!」
「ありがとう! 感謝する!」
「美琳さん、いってきます……! すみませんが、お店をよろしくお願いします……! あ、絶対無理はしないでくださいね!」
「ああ、任せな! 何かあったら桃婆さんを呼ぶよ!」

 桃玉は龍環に手を引かれ、青美人のいる方へとひた走る。

「龍環様、どのようなあやかしなのですか?」
「青美人という後宮入りしたばかりの妃だ。白くて首が3つある大蛇の姿をしている。そして火は効かない事が判明した。これまで君が相手してきたあやかしの中では最も強敵だろうな」
(強敵……!)

 桃玉は思わず身震いした。しかし胸の奥からは必ず浄化させなければ……! という使命感が湧いて出て来る。

「必ず浄化してみせます……!」
「俺も最大限君を支援する。頼んだぞ!」
「はい!」
「ぐああああああああっ!」
「っ!」

 曲がり角を曲がった桃玉達の目の前に、咆哮をあげながら次々に兵士達を蹂躙していく青美人が現れる。
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