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第25話 拡がる渦
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「お前は、皇后についてどう思う?」
「皇后様ですか?」
妃はそうですね……。と前置きした上で素晴らしいお方だと思います。と語る。
「どこが素晴らしいんだ?」
「やはり、治療院で働いている所ですよね」
「やはり、治療院か……」
「それに手から波動の力が出るなんて神様みたいですよね。私も風邪治してもらいました」
治療院で病を治す皇后は素晴らしい方。差し障りの無い言葉に浩明はこいつもそうか……。と少し失望にも似た感情を抱く。
(人々が皆あやつに引き込まれていく。それになんだこの感情は)
お飾りであるはずの皇后・美華が褒め称えられるのは悪くない。むしろ誇りに思う自分と、美華が自分の預かりしらぬ所で妃達の間で輝くのはずるい、彼女を独り占めしたいというわがままな感情が湧いてくるのを知覚する。
(あり得ない。なのに……なんだ、この……ずるいというような感情は)
「陛下、いかがなさいましたか?」
次々と湧いてくる美華への気持ちに蓋をした浩明は何にもない。と告げて目を閉じたのだった。
◇ ◇ ◇
次の日の午前中。美華が治療院で働く中、李賢妃と劉貴妃が浩明の元へと試案の図面が記された紙を持って現れた。
「陛下。試案が完成いたしました。ぜひご確認をよろしくお願い申し上げます」
「わかった。受け取ろう。……劉貴妃も携わったのか」
「恐れながら私が試案を書きました」
玉座に座る浩明がぱらりと紙を広げて目を通す。
「冷宮を使うのか」
「左様でございます。私がご提案させて頂きました」
「なぜだ? 劉貴妃よ」
「冷宮は長年使用されておりませぬ。予算を抑える為に冷宮を薬置き場にする事を提案いたしましてございます」
ふうん……と鼻を鳴らす浩明を、劉貴妃は真っ直ぐな視線で見つめていた。李賢妃は緊張感のせいか、浩明ではなく床に目を落としている。
(なるほど。冷宮を使う事で1から増築するのを抑えているのだな。確かに良い案だ)
「良いだろう。図面はこれで行く」
「ま、まことでございますか?」
「ああ、劉貴妃よ。早速今日から作業に取り掛かるように伝えよう」
李賢妃と劉貴妃が揃ってありがとうございます! と感謝を示しながら浩明に深々と頭を下げた。
「では、下がって良いぞ」
「はい、失礼いたしますわ」
「失礼いたします」
改装工事の許可が降りた事を知った美華は、劉貴妃と李賢妃に改めてありがとうございます。と告げる。
「ああ、そうです。劉貴妃様。よろしければですね」
「ここで働かないかという事でございますか?」
美華の誘いは、劉貴妃には想定通りだったようだ。
「皇后様ですか?」
妃はそうですね……。と前置きした上で素晴らしいお方だと思います。と語る。
「どこが素晴らしいんだ?」
「やはり、治療院で働いている所ですよね」
「やはり、治療院か……」
「それに手から波動の力が出るなんて神様みたいですよね。私も風邪治してもらいました」
治療院で病を治す皇后は素晴らしい方。差し障りの無い言葉に浩明はこいつもそうか……。と少し失望にも似た感情を抱く。
(人々が皆あやつに引き込まれていく。それになんだこの感情は)
お飾りであるはずの皇后・美華が褒め称えられるのは悪くない。むしろ誇りに思う自分と、美華が自分の預かりしらぬ所で妃達の間で輝くのはずるい、彼女を独り占めしたいというわがままな感情が湧いてくるのを知覚する。
(あり得ない。なのに……なんだ、この……ずるいというような感情は)
「陛下、いかがなさいましたか?」
次々と湧いてくる美華への気持ちに蓋をした浩明は何にもない。と告げて目を閉じたのだった。
◇ ◇ ◇
次の日の午前中。美華が治療院で働く中、李賢妃と劉貴妃が浩明の元へと試案の図面が記された紙を持って現れた。
「陛下。試案が完成いたしました。ぜひご確認をよろしくお願い申し上げます」
「わかった。受け取ろう。……劉貴妃も携わったのか」
「恐れながら私が試案を書きました」
玉座に座る浩明がぱらりと紙を広げて目を通す。
「冷宮を使うのか」
「左様でございます。私がご提案させて頂きました」
「なぜだ? 劉貴妃よ」
「冷宮は長年使用されておりませぬ。予算を抑える為に冷宮を薬置き場にする事を提案いたしましてございます」
ふうん……と鼻を鳴らす浩明を、劉貴妃は真っ直ぐな視線で見つめていた。李賢妃は緊張感のせいか、浩明ではなく床に目を落としている。
(なるほど。冷宮を使う事で1から増築するのを抑えているのだな。確かに良い案だ)
「良いだろう。図面はこれで行く」
「ま、まことでございますか?」
「ああ、劉貴妃よ。早速今日から作業に取り掛かるように伝えよう」
李賢妃と劉貴妃が揃ってありがとうございます! と感謝を示しながら浩明に深々と頭を下げた。
「では、下がって良いぞ」
「はい、失礼いたしますわ」
「失礼いたします」
改装工事の許可が降りた事を知った美華は、劉貴妃と李賢妃に改めてありがとうございます。と告げる。
「ああ、そうです。劉貴妃様。よろしければですね」
「ここで働かないかという事でございますか?」
美華の誘いは、劉貴妃には想定通りだったようだ。
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