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第33話 抱き締めて
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「陛下……はまだでしょうか」
「今来たぞ、美華」
「あっ陛下! お会い出来て良かったです……!」
美華が素直に心の内を打ち明けると、浩明は気まずそうに後頭部を掻きむしる。
「君は素直だな……俺も会いたかった」
「陛下……」
「まずは、あの時は言い過ぎた。申し訳無い」
美華を真っ直ぐに見つめる浩明からの謝罪を受けた美華は、彼の手を握る。
「陛下……すみません、こんな時はなんて言えば良いのか」
すると浩明は美華を優しく正面から抱き締めた。
「!」
彼の纏う温かな熱が美華の全身を覆っている。男性に抱きしめられるのはこんなに温かいものかと美華は感じていた。
「……もう少し、こうしていいか? 俺も話すべき言葉が思いつかん」
「も、もちろんでございます……!」
(あたたかい……!)
互いに熱を感じあった2人は、名残惜しそうに身を離す。そして浩明は美華の手を握り、東屋へと歩き始めた。
「大丈夫か?」
ちなみに宦官らは鶴龍殿に待機している。文字通りふたりきりの状態だ。
浩明も美華も己の心臓が激しく高鳴っているのを理解している。
「……心臓、苦しくないか?」
最初に口を開いたのは浩明だった。
「はい。なんでわかったのですか?」
「俺もそうだからだ」
「なるほど。今の私は陛下とおそろいなんですね」
「……はははっ。おそろいか。確かにそうだな」
浩明が笑ったのがなぜなのか気になる美華が、彼へ理由を問う。
「……君とおそろいというのが、こんなに嬉しいなんて思わなかったんだ」
「私もおそろいは嬉しいです。誰かとおそろいというのは嬉しいですね」
「そうだな。ああ、ついたぞ」
浩明の誘導を受けて東屋の中の椅子に座る美華。東屋の中を漂うひんやりとした空気を感じ取っていた。
「今、陛下にはどのような景色が見えていますか?」
「この窓からは星空が綺麗に見えているな」
美華は視力を失う前、よく星空を眺めていたのを思い出す。
「かつて、よく星空を眺めておりました」
「そうか」
「天の川は特に美しいですよね。宝石や真珠をばらまいたみたいで」
宝石や真珠をばらまいたみたいという美華の例えに浩明は確かにそうだな。と唸る。
「……真珠、触るか?」
「えっ?」
「たまたま商人から貰ったのが数粒ある。これなら星空を感じられるだろう」
浩明が美華の手のひらに真珠を3粒ほど置いた。美華は真珠を手で挟んだり握ったりして、感触を確かめる。
「確かに、星を握っているようですね」
「良かった。ちなみに色は白だな」
「教えてくださりありがとうございます。やはり陛下はお優しいですね」
朗らかに笑う美華の顔を見た浩明の中で、何かが落ちていくような音がしたのだった。
「今来たぞ、美華」
「あっ陛下! お会い出来て良かったです……!」
美華が素直に心の内を打ち明けると、浩明は気まずそうに後頭部を掻きむしる。
「君は素直だな……俺も会いたかった」
「陛下……」
「まずは、あの時は言い過ぎた。申し訳無い」
美華を真っ直ぐに見つめる浩明からの謝罪を受けた美華は、彼の手を握る。
「陛下……すみません、こんな時はなんて言えば良いのか」
すると浩明は美華を優しく正面から抱き締めた。
「!」
彼の纏う温かな熱が美華の全身を覆っている。男性に抱きしめられるのはこんなに温かいものかと美華は感じていた。
「……もう少し、こうしていいか? 俺も話すべき言葉が思いつかん」
「も、もちろんでございます……!」
(あたたかい……!)
互いに熱を感じあった2人は、名残惜しそうに身を離す。そして浩明は美華の手を握り、東屋へと歩き始めた。
「大丈夫か?」
ちなみに宦官らは鶴龍殿に待機している。文字通りふたりきりの状態だ。
浩明も美華も己の心臓が激しく高鳴っているのを理解している。
「……心臓、苦しくないか?」
最初に口を開いたのは浩明だった。
「はい。なんでわかったのですか?」
「俺もそうだからだ」
「なるほど。今の私は陛下とおそろいなんですね」
「……はははっ。おそろいか。確かにそうだな」
浩明が笑ったのがなぜなのか気になる美華が、彼へ理由を問う。
「……君とおそろいというのが、こんなに嬉しいなんて思わなかったんだ」
「私もおそろいは嬉しいです。誰かとおそろいというのは嬉しいですね」
「そうだな。ああ、ついたぞ」
浩明の誘導を受けて東屋の中の椅子に座る美華。東屋の中を漂うひんやりとした空気を感じ取っていた。
「今、陛下にはどのような景色が見えていますか?」
「この窓からは星空が綺麗に見えているな」
美華は視力を失う前、よく星空を眺めていたのを思い出す。
「かつて、よく星空を眺めておりました」
「そうか」
「天の川は特に美しいですよね。宝石や真珠をばらまいたみたいで」
宝石や真珠をばらまいたみたいという美華の例えに浩明は確かにそうだな。と唸る。
「……真珠、触るか?」
「えっ?」
「たまたま商人から貰ったのが数粒ある。これなら星空を感じられるだろう」
浩明が美華の手のひらに真珠を3粒ほど置いた。美華は真珠を手で挟んだり握ったりして、感触を確かめる。
「確かに、星を握っているようですね」
「良かった。ちなみに色は白だな」
「教えてくださりありがとうございます。やはり陛下はお優しいですね」
朗らかに笑う美華の顔を見た浩明の中で、何かが落ちていくような音がしたのだった。
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