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第59話 重なる気持ち
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「陛下!」
ばんっ! と美華は大広間へと繋がる扉を開いた。彼女の大きな声を聴いた浩明は驚きながら玉座から立ち上がる。
「美華、なんだ?!」
「皇后様! 今は軍議にございます!」
どうやら将軍達も集まって国境警備などの軍に関する会議を行っていたようだ。だが、そんな事美華にとってはどうだっていい事だった。
「陛下! 私はっあなたをお慕いしています!!」
いきなりの告白に浩明はえっと変な声を出してしまった。家臣団達も目を丸くさせながら美華と浩明を皇后に見つめている。
「美華……どうしたんだ。いきなり、その……」
「あなたが私を大事に思っているのが伝わって、それで私も……あなたをお慕いしているって気が付いたんです。他の妃の方々が教えてくださいました!」
「み、美華……!」
「私、あなたのそばにいます! ずっと!」
美華の告白に、浩明は彼女の元へと駆け寄って、その勢いのままぎゅっと身体を抱きしめた。
「……その、本当にいいのか? ミハイルらの国に行かなくても……」
「本当は行きたいです。でも何かあってはあなたが心配するでしょう。だから一緒にいます」
彼女の決意を目の当たりにした浩明は目隠しの布で覆われた彼女の目をじっと見つめる。
「美華……」
(美華が俺の為に、ここまで……)
「治すのも大事ですが、陛下の事も大事だって……この胸が痛くなる病気が気づかせてくれたんです」
これは恋の病だって教えてくれました! と美華が言う。浩明は己の心の中で、ああ、俺も今恋の病にかかっているかもしれない。と知覚する。
「……恋の病は治したらいけない。とも聞きました」
「そうか……そうだな、治してしまえば、愛が冷める」
「この病は治さないままにします。私を大事に思ってくださり、ありがとうございます……!」
「ああ、君はもう手放さない。俺は君を深く愛している」
腕を背中に回し、硬く抱きしめあうふたり。家臣団はおお……! と歓声を上げそうになるも静かに見守るのに徹したのだった。
◇ ◇ ◇
その後、改めてミハイル夫妻が浩明と美華の前に呼ばれた。美華はミハイルらの国には行かない事と、代案として患者を龍の国に連れていく事の2つを浩明はミハイル夫妻に伝える。
「かしこまりました。では、そちらの治療院に我々が移送する手配を整えます」
「すまないな、ミハイル」
(これだけでは美華の為にはならないかもしれない。美華だって本当は行きたいと言ってくれた。なら……)
そして更に浩明は患者の移動の負担を減らす為に治療院をいくつか新たに増やす事を提案する。
(これなら、広大な龍の国や外国からも数多くの患者を受け入れる事が出来る)
先ほど、美華が自身に見せてくれた気持ちへ、感謝を伝えたい……。彼なりの考えだった。
「西側、南側に治療院を新たに建てる。ミハイル、お前の国の患者は、西側の治療院ならここより近くなるだろう」
「はい。そうなります」
「ミハイルの国にも治療院はあるか?」
(陛下の声……いつも以上に真剣だわ)
ミハイルの国での医療状況を耳に入れる浩明の瞳は、はるか先を見据えている。
(そうだ。美華の為にも皇帝としても俺は……やるべき事をなさねば)
ばんっ! と美華は大広間へと繋がる扉を開いた。彼女の大きな声を聴いた浩明は驚きながら玉座から立ち上がる。
「美華、なんだ?!」
「皇后様! 今は軍議にございます!」
どうやら将軍達も集まって国境警備などの軍に関する会議を行っていたようだ。だが、そんな事美華にとってはどうだっていい事だった。
「陛下! 私はっあなたをお慕いしています!!」
いきなりの告白に浩明はえっと変な声を出してしまった。家臣団達も目を丸くさせながら美華と浩明を皇后に見つめている。
「美華……どうしたんだ。いきなり、その……」
「あなたが私を大事に思っているのが伝わって、それで私も……あなたをお慕いしているって気が付いたんです。他の妃の方々が教えてくださいました!」
「み、美華……!」
「私、あなたのそばにいます! ずっと!」
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「……その、本当にいいのか? ミハイルらの国に行かなくても……」
「本当は行きたいです。でも何かあってはあなたが心配するでしょう。だから一緒にいます」
彼女の決意を目の当たりにした浩明は目隠しの布で覆われた彼女の目をじっと見つめる。
「美華……」
(美華が俺の為に、ここまで……)
「治すのも大事ですが、陛下の事も大事だって……この胸が痛くなる病気が気づかせてくれたんです」
これは恋の病だって教えてくれました! と美華が言う。浩明は己の心の中で、ああ、俺も今恋の病にかかっているかもしれない。と知覚する。
「……恋の病は治したらいけない。とも聞きました」
「そうか……そうだな、治してしまえば、愛が冷める」
「この病は治さないままにします。私を大事に思ってくださり、ありがとうございます……!」
「ああ、君はもう手放さない。俺は君を深く愛している」
腕を背中に回し、硬く抱きしめあうふたり。家臣団はおお……! と歓声を上げそうになるも静かに見守るのに徹したのだった。
◇ ◇ ◇
その後、改めてミハイル夫妻が浩明と美華の前に呼ばれた。美華はミハイルらの国には行かない事と、代案として患者を龍の国に連れていく事の2つを浩明はミハイル夫妻に伝える。
「かしこまりました。では、そちらの治療院に我々が移送する手配を整えます」
「すまないな、ミハイル」
(これだけでは美華の為にはならないかもしれない。美華だって本当は行きたいと言ってくれた。なら……)
そして更に浩明は患者の移動の負担を減らす為に治療院をいくつか新たに増やす事を提案する。
(これなら、広大な龍の国や外国からも数多くの患者を受け入れる事が出来る)
先ほど、美華が自身に見せてくれた気持ちへ、感謝を伝えたい……。彼なりの考えだった。
「西側、南側に治療院を新たに建てる。ミハイル、お前の国の患者は、西側の治療院ならここより近くなるだろう」
「はい。そうなります」
「ミハイルの国にも治療院はあるか?」
(陛下の声……いつも以上に真剣だわ)
ミハイルの国での医療状況を耳に入れる浩明の瞳は、はるか先を見据えている。
(そうだ。美華の為にも皇帝としても俺は……やるべき事をなさねば)
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