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第五章 血戦の宮廷
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静かな呼吸が、やがて現のときを呼び戻した。
格子窓の向こうで、夜警の合図が短く鳴る。遠く、角笛の尾が風に攫われて消えた。
景耀は身を起こし、足元の衣を取った。青龍の紋は薄く脈をひそめ、蒼の光は肌の奥へと沈んでいく。凌雪もまた衣をまとい、帯を結びながら、主の肩に静かに手を添えた。指先に、まだかすかに熱が残っている。
「殿下」
「行こう」
景耀の声は、決意に満ちていた。
扉を引くと、冬の気が鋭く頬を打った。雪は音もなく降りはじめ、庭石の縁だけ白く縁取っていく。
ちょうど書房に飛び込んできた韓文が、驚きに目を見張ったが、すぐさま拱手した。
「北辰堂に各隊指揮を集めております。内蔵府の南門で小競り合い、宰相府側の兵が再集結の動きと」
「よい。火の手は」
「政務棟の西庁の火災は消し止めましたが、書庫の一部が延焼しています。記録の避難は……」
「後で数える。まず人命だ」
景耀は冬衣の上に甲札を重ね、指揮刀を腰に受けた。凌雪は肩の留め具を確かめ、薄鎧の紐を固く締める。
二人は目を合わせ、一瞬だけ微笑む。言葉よりも確かな合図だった。
北辰堂。夜の残り香と炭火の熱が交じる広間に、武官と書吏が集まっていた。
沈明公が地図台の前で報告する。
「宰相派の主力は二手にわかれています。ひとつは内蔵府に向かい兵糧を確保しようとしており、もうひとつは蒼華殿を落とそうとしています。彼らの弱点は伝令線で、回廊の『鳳尾』と呼ばれる要所でそれを断つことができます」
「ふむ。鳳尾を押さえれば殿中と庫が繋がらん。各門は」
「西は忠勤の陳都尉が死守。北は薄い。東は……」
「東は私が行く」
景耀の声に、堂内の緊張がわずかにほどける。彼が地図台の上に手を伸ばすと、蒼い紋の名残がほのかに光った。
凌雪は、皆が寒さを忘れたかのように背筋を伸ばす様子を見た。その理由は、先ほど現れた蒼い光を目にしたため、王太子が青龍の血を引いていると確信したからだろう、と凌雪は思った。
景耀が命じる。
「命を伝える。
一、鳳尾の角で宰相派の伝令を断つ。蘇鳴将軍に二十、迂回で打て。
二、南門に囮を置き、逆に東回廊から挟む。白旗を掲げ降る者は受けいれよ。
三、内蔵府の庫は開くな。火攻めは禁ずる。人を守り、帳簿を守れ。
四、蒼華殿への道は閉鎖、指揮は北辰堂を本営とする」
命は乾いた雪のように、音もなく全域に降りていく。号鼓が短く打たれ、兵の列がしなるように動いた。
凌雪は拱手し、韓文に目配せして書吏三人を帯同する。短剣は袖、腰帯の下には薄刃。帯剣を許された今夜でも、彼はいつも通り静かに刃を隠す。
回廊に出ると、雪は舞いを深めていた。灯籠の火が粉雪に滲み、足音が兵達の声で消える。
角を曲がるたび、空気が変わる。人の気配、刃の匂い。凌雪は指先を冷たく保ち、心だけを熱くした。
最初の衝突は短かった。宰相派の斥候が二、三。鎧の隙間に刃を滑らせ、音を立てずに倒す。
鳳尾の角――そこは柱が太く、上段の梁から旗を垂らす要の角。そこに書吏の一人を座らせ、太鼓の合図に合わせて伝令の文を切り替える。
「ここで彼らの声を、私たちの声に変える」
凌雪は口元だけで笑った。
「殿下の声を」
やがて、重い足音。宰相派の小隊が、鳳尾の角に流れ込んでくる。先頭の男が叫ぶ。
「回廊確保、前へ――」
その言葉を、別の言葉が呑み込んだ。
「武器を捨てよ」
低く、乾いた響き。雪の夜に溶けるはずのない声。
先頭の兵が一瞬ためらい、振り向く。視線の先、梁の影から滑り出る黒衣——凌雪の短剣が、刃の背でその槍を叩き落とした。
袖の内にはもう一本の刃が隠されている。その細く無駄のない刃の線が、暗闇に一筋の道を開き、凌雪の進むべき方向を示していた。
「王太子殿下の御前だ。ここを通れば、二度と戻れぬ」
沈黙が、雪のように降った。
次の瞬間、白旗が一つ、二つ。兵たちは次々と武器を捨て、降伏の意を示した。
鳳尾の角は抜けない。宰相派の伝令線は、そこで音もなく途切れた。
凌雪は最後の伝令を切り替えた。
「戦を止めよ。武器を置け。王太子の御前に整列せよ」
文字は濃墨、手は揺れない。彼の袖に仕舞われた刃は、もう出番を終えていた。
しばらくして、韓文が息を切らせて走ってきた。
「中庶子様! 殿下が東回廊で宰相と対峙され、青龍の威光で兵たちを降伏させたとのことです!」
凌雪は息を呑んだ。青龍の覚醒が、戦の流れを変えたのだ。
「宰相は?」
「拘束されました。殿下のご命令で、血は流されず」
凌雪は安堵の息をついた。景耀らしい、慈悲深い裁きだった。
*
朝刻。
蒼華殿の前庭に、兵は武具を伏せ、列を正した。雪は止み、薄い朝日が雲間から差し込んでいる。
北辰堂からの道に、雪が細い道を描く。景耀が悠然と歩く姿を、凌雪は遠くから見守っていた。沈香の香は薄く、吐く息の白さが新しい礼式のようだった。
魏嵐は縛にあり、膝をついている。顔色は変わらない。敗者としての威厳を、かろうじて保っているように見えた。
景耀が宣言する。
「宰相・魏嵐、およびその同謀に告ぐ。王命に背き、報を遮り、兵を私し、殿中に刃を持ち込んだ罪、重い。されど、血を好まず、降った者を受けいれるのが我が政だ。主謀は獄に、兵は解かれ、家へ帰れ。罪科は等しく数えるが、悔いる機会は与える」
声が染みた。雪の上に、深く。
沈明公が一歩進み出る。
「殿下、本日の裁決、記した目録を」
凌雪が書記台から進み、巻簡を恭しく捧げる。凌雪の指は氷のように冷たいのに、不思議と震えなかった。
景耀は受け取り、視線で宮中を掃いた。
蒼い印は衣の下に隠れていたが、凌雪には、皆がその存在を感じ取っているのがわかった。景耀の青龍の血は、天意を示すためではなく、責任を引き受けるために覚醒したのだ。
「ここに定める。
一、宰相府はしばらく閉じ、政は三司にわけ、東宮書房へ直送とす。
二、兵の出納・庫の帳・医の配給は、今日より新冊に記す。
三、朝議にて、王命の継承を諮る」
抑えた言葉が、未来の形を描く。人々の肩から目に見えぬ重みが外れていくのが、雪の音でわかった。
式が解かれ、兵が流れ、水が元の川筋へ戻るように宮はゆっくりと日常へ向かった。
凌雪は書記台で最後の朱を入れ、墨を乾かした。筆を上げた瞬間、視線を感じる。
振り向けば、景耀が立っていた。彼はただ、目を細めた。言葉はなかった。だが、その一瞥だけで十分だった。
蒼華殿の石段を降りる途中、雪が強くなる。韓文が駆け寄ってきた。
「中庶子様、御身は……」
「問題ない」
凌雪は微笑んだ。
「殿下の御前にいると、不思議と寒さを感じなくなる」
北辰堂に戻ると、沈明公が帳簿を携えて待っていた。
「殿下、被害の集計を」
景耀は頷き、手短に目を通す。
「人は救えたな」
「はい。書庫は一部を失いましたが、命は」
「書は再び記せばよい。命は二度と書き直せぬ」
そのとき、堂の外から鐘が一つ。夜明けを告げる一打だった。
雪雲の切れ目から、薄い光が差す。蒼でも白でもない、冬の朝だけの色。
景耀はふと、袖口を見た。青いものが、静かに眠っている。
凌雪が近づき、低い声でいう。
「殿下」
「うむ」
「……終わりました」
景耀は短く笑った。
「終わりではない。始まりだ」
二人はしばし、言葉を失ったまま、その朝の色を眺めた。
昨夜、寝所で交わした熱はもう外には見えない。だが、内には確かに残っている。蒼い印の奥で、龍は静かに息をしている。
やがて景耀は歩み出した。
雪を踏む音が、新しい政の第一歩になる。
凌雪はその半歩うしろを行く。指先に、あの熱がかすかに蘇る。
――この背を、どこまでも守る。
冬の光が、北辰堂の屋根に細い金を置いた。
宮の上空には、戦の煙はもうない。白い吐息だけが天に上り、消えていく。
青龍の覚醒は、ただの奇跡ではなかった。それは、責と慈しみの形。
これから歩み出す長い道の、確かな第一歩だった。
凌雪は振り返り、遠くに見える蒼穹宮を眺めた。戦火の跡が残る宮殿に、新しい朝の光が差している。
――殿下と共に、この国を守っていく。
その決意を胸に、凌雪は景耀の後を追った。雪の中に残る二人の足跡が、まるで一つの道のように続いていく。
冬の朝は、静かに明けていった。
格子窓の向こうで、夜警の合図が短く鳴る。遠く、角笛の尾が風に攫われて消えた。
景耀は身を起こし、足元の衣を取った。青龍の紋は薄く脈をひそめ、蒼の光は肌の奥へと沈んでいく。凌雪もまた衣をまとい、帯を結びながら、主の肩に静かに手を添えた。指先に、まだかすかに熱が残っている。
「殿下」
「行こう」
景耀の声は、決意に満ちていた。
扉を引くと、冬の気が鋭く頬を打った。雪は音もなく降りはじめ、庭石の縁だけ白く縁取っていく。
ちょうど書房に飛び込んできた韓文が、驚きに目を見張ったが、すぐさま拱手した。
「北辰堂に各隊指揮を集めております。内蔵府の南門で小競り合い、宰相府側の兵が再集結の動きと」
「よい。火の手は」
「政務棟の西庁の火災は消し止めましたが、書庫の一部が延焼しています。記録の避難は……」
「後で数える。まず人命だ」
景耀は冬衣の上に甲札を重ね、指揮刀を腰に受けた。凌雪は肩の留め具を確かめ、薄鎧の紐を固く締める。
二人は目を合わせ、一瞬だけ微笑む。言葉よりも確かな合図だった。
北辰堂。夜の残り香と炭火の熱が交じる広間に、武官と書吏が集まっていた。
沈明公が地図台の前で報告する。
「宰相派の主力は二手にわかれています。ひとつは内蔵府に向かい兵糧を確保しようとしており、もうひとつは蒼華殿を落とそうとしています。彼らの弱点は伝令線で、回廊の『鳳尾』と呼ばれる要所でそれを断つことができます」
「ふむ。鳳尾を押さえれば殿中と庫が繋がらん。各門は」
「西は忠勤の陳都尉が死守。北は薄い。東は……」
「東は私が行く」
景耀の声に、堂内の緊張がわずかにほどける。彼が地図台の上に手を伸ばすと、蒼い紋の名残がほのかに光った。
凌雪は、皆が寒さを忘れたかのように背筋を伸ばす様子を見た。その理由は、先ほど現れた蒼い光を目にしたため、王太子が青龍の血を引いていると確信したからだろう、と凌雪は思った。
景耀が命じる。
「命を伝える。
一、鳳尾の角で宰相派の伝令を断つ。蘇鳴将軍に二十、迂回で打て。
二、南門に囮を置き、逆に東回廊から挟む。白旗を掲げ降る者は受けいれよ。
三、内蔵府の庫は開くな。火攻めは禁ずる。人を守り、帳簿を守れ。
四、蒼華殿への道は閉鎖、指揮は北辰堂を本営とする」
命は乾いた雪のように、音もなく全域に降りていく。号鼓が短く打たれ、兵の列がしなるように動いた。
凌雪は拱手し、韓文に目配せして書吏三人を帯同する。短剣は袖、腰帯の下には薄刃。帯剣を許された今夜でも、彼はいつも通り静かに刃を隠す。
回廊に出ると、雪は舞いを深めていた。灯籠の火が粉雪に滲み、足音が兵達の声で消える。
角を曲がるたび、空気が変わる。人の気配、刃の匂い。凌雪は指先を冷たく保ち、心だけを熱くした。
最初の衝突は短かった。宰相派の斥候が二、三。鎧の隙間に刃を滑らせ、音を立てずに倒す。
鳳尾の角――そこは柱が太く、上段の梁から旗を垂らす要の角。そこに書吏の一人を座らせ、太鼓の合図に合わせて伝令の文を切り替える。
「ここで彼らの声を、私たちの声に変える」
凌雪は口元だけで笑った。
「殿下の声を」
やがて、重い足音。宰相派の小隊が、鳳尾の角に流れ込んでくる。先頭の男が叫ぶ。
「回廊確保、前へ――」
その言葉を、別の言葉が呑み込んだ。
「武器を捨てよ」
低く、乾いた響き。雪の夜に溶けるはずのない声。
先頭の兵が一瞬ためらい、振り向く。視線の先、梁の影から滑り出る黒衣——凌雪の短剣が、刃の背でその槍を叩き落とした。
袖の内にはもう一本の刃が隠されている。その細く無駄のない刃の線が、暗闇に一筋の道を開き、凌雪の進むべき方向を示していた。
「王太子殿下の御前だ。ここを通れば、二度と戻れぬ」
沈黙が、雪のように降った。
次の瞬間、白旗が一つ、二つ。兵たちは次々と武器を捨て、降伏の意を示した。
鳳尾の角は抜けない。宰相派の伝令線は、そこで音もなく途切れた。
凌雪は最後の伝令を切り替えた。
「戦を止めよ。武器を置け。王太子の御前に整列せよ」
文字は濃墨、手は揺れない。彼の袖に仕舞われた刃は、もう出番を終えていた。
しばらくして、韓文が息を切らせて走ってきた。
「中庶子様! 殿下が東回廊で宰相と対峙され、青龍の威光で兵たちを降伏させたとのことです!」
凌雪は息を呑んだ。青龍の覚醒が、戦の流れを変えたのだ。
「宰相は?」
「拘束されました。殿下のご命令で、血は流されず」
凌雪は安堵の息をついた。景耀らしい、慈悲深い裁きだった。
*
朝刻。
蒼華殿の前庭に、兵は武具を伏せ、列を正した。雪は止み、薄い朝日が雲間から差し込んでいる。
北辰堂からの道に、雪が細い道を描く。景耀が悠然と歩く姿を、凌雪は遠くから見守っていた。沈香の香は薄く、吐く息の白さが新しい礼式のようだった。
魏嵐は縛にあり、膝をついている。顔色は変わらない。敗者としての威厳を、かろうじて保っているように見えた。
景耀が宣言する。
「宰相・魏嵐、およびその同謀に告ぐ。王命に背き、報を遮り、兵を私し、殿中に刃を持ち込んだ罪、重い。されど、血を好まず、降った者を受けいれるのが我が政だ。主謀は獄に、兵は解かれ、家へ帰れ。罪科は等しく数えるが、悔いる機会は与える」
声が染みた。雪の上に、深く。
沈明公が一歩進み出る。
「殿下、本日の裁決、記した目録を」
凌雪が書記台から進み、巻簡を恭しく捧げる。凌雪の指は氷のように冷たいのに、不思議と震えなかった。
景耀は受け取り、視線で宮中を掃いた。
蒼い印は衣の下に隠れていたが、凌雪には、皆がその存在を感じ取っているのがわかった。景耀の青龍の血は、天意を示すためではなく、責任を引き受けるために覚醒したのだ。
「ここに定める。
一、宰相府はしばらく閉じ、政は三司にわけ、東宮書房へ直送とす。
二、兵の出納・庫の帳・医の配給は、今日より新冊に記す。
三、朝議にて、王命の継承を諮る」
抑えた言葉が、未来の形を描く。人々の肩から目に見えぬ重みが外れていくのが、雪の音でわかった。
式が解かれ、兵が流れ、水が元の川筋へ戻るように宮はゆっくりと日常へ向かった。
凌雪は書記台で最後の朱を入れ、墨を乾かした。筆を上げた瞬間、視線を感じる。
振り向けば、景耀が立っていた。彼はただ、目を細めた。言葉はなかった。だが、その一瞥だけで十分だった。
蒼華殿の石段を降りる途中、雪が強くなる。韓文が駆け寄ってきた。
「中庶子様、御身は……」
「問題ない」
凌雪は微笑んだ。
「殿下の御前にいると、不思議と寒さを感じなくなる」
北辰堂に戻ると、沈明公が帳簿を携えて待っていた。
「殿下、被害の集計を」
景耀は頷き、手短に目を通す。
「人は救えたな」
「はい。書庫は一部を失いましたが、命は」
「書は再び記せばよい。命は二度と書き直せぬ」
そのとき、堂の外から鐘が一つ。夜明けを告げる一打だった。
雪雲の切れ目から、薄い光が差す。蒼でも白でもない、冬の朝だけの色。
景耀はふと、袖口を見た。青いものが、静かに眠っている。
凌雪が近づき、低い声でいう。
「殿下」
「うむ」
「……終わりました」
景耀は短く笑った。
「終わりではない。始まりだ」
二人はしばし、言葉を失ったまま、その朝の色を眺めた。
昨夜、寝所で交わした熱はもう外には見えない。だが、内には確かに残っている。蒼い印の奥で、龍は静かに息をしている。
やがて景耀は歩み出した。
雪を踏む音が、新しい政の第一歩になる。
凌雪はその半歩うしろを行く。指先に、あの熱がかすかに蘇る。
――この背を、どこまでも守る。
冬の光が、北辰堂の屋根に細い金を置いた。
宮の上空には、戦の煙はもうない。白い吐息だけが天に上り、消えていく。
青龍の覚醒は、ただの奇跡ではなかった。それは、責と慈しみの形。
これから歩み出す長い道の、確かな第一歩だった。
凌雪は振り返り、遠くに見える蒼穹宮を眺めた。戦火の跡が残る宮殿に、新しい朝の光が差している。
――殿下と共に、この国を守っていく。
その決意を胸に、凌雪は景耀の後を追った。雪の中に残る二人の足跡が、まるで一つの道のように続いていく。
冬の朝は、静かに明けていった。
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