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六話 鬱陶しい人
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その日から、セシリオには生きる希望が生まれた。
あの日セシリオが見つけた運命の人は皇太子だった。
いくらジューン家でも皇太子とそう簡単に縁談を取り付けることはできない。
その点では困ったが、ルイが皇太子だということは、ルイは身分という点では心置きなくセシリオを虐げることができる貴重な存在だ。
「ルイ様」
「…また貴方ですか」
セシリオは健気にも休み時間や放課後にルイのクラスに訪れた。
ルイはセシリオの一つ上の学年なので、他学年のしかも名門貴族の息子が、妾腹の皇太子に足繁く通っていることはすぐに噂になった。
「一緒にご飯食べませんか?」
「一人で食べたい気分です」
ルイはセシリオの性癖を知ってしまったので、出来ればセシリオとは深く関わりたくなかった。そもそもうっかり体の関係を持ってしまった時点で気まずい。
しかし、
「そう、ですか…分かりました。じゃあ僕、一人ぼっちで食べますね…」
セシリオはしゅん、と目に見えて落ち込んでみせる。
そうすると周りで様子を伺っていたクラスメイトたちがざわめき出すのだ。
「えぇー、断るの?セシリオくん落ち込んでるじゃん。かわいそぉ」
「お一人で食べるなんて、セシリオくん、可哀想ですわ…」
「あんな綺麗な子のお誘い断るなんて気がしれないなぁ」
まるでルイが異常者のように言われるのは、本当に不本意だ。
変なのはセシリオの方なのに。
「…わかりました。一緒に食べます。…ついてきてください」
「っ…ほんとですか」
ルイはランチボックスを右手に、セシリオの手を左手で握って教室を出た。
クラスメイトはみんなルイを見たが、ついてくることは無かった。
あの日セシリオが見つけた運命の人は皇太子だった。
いくらジューン家でも皇太子とそう簡単に縁談を取り付けることはできない。
その点では困ったが、ルイが皇太子だということは、ルイは身分という点では心置きなくセシリオを虐げることができる貴重な存在だ。
「ルイ様」
「…また貴方ですか」
セシリオは健気にも休み時間や放課後にルイのクラスに訪れた。
ルイはセシリオの一つ上の学年なので、他学年のしかも名門貴族の息子が、妾腹の皇太子に足繁く通っていることはすぐに噂になった。
「一緒にご飯食べませんか?」
「一人で食べたい気分です」
ルイはセシリオの性癖を知ってしまったので、出来ればセシリオとは深く関わりたくなかった。そもそもうっかり体の関係を持ってしまった時点で気まずい。
しかし、
「そう、ですか…分かりました。じゃあ僕、一人ぼっちで食べますね…」
セシリオはしゅん、と目に見えて落ち込んでみせる。
そうすると周りで様子を伺っていたクラスメイトたちがざわめき出すのだ。
「えぇー、断るの?セシリオくん落ち込んでるじゃん。かわいそぉ」
「お一人で食べるなんて、セシリオくん、可哀想ですわ…」
「あんな綺麗な子のお誘い断るなんて気がしれないなぁ」
まるでルイが異常者のように言われるのは、本当に不本意だ。
変なのはセシリオの方なのに。
「…わかりました。一緒に食べます。…ついてきてください」
「っ…ほんとですか」
ルイはランチボックスを右手に、セシリオの手を左手で握って教室を出た。
クラスメイトはみんなルイを見たが、ついてくることは無かった。
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