11 / 36
十一話 いつもと違う
しおりを挟む
「今日のことは、すいませんでした」
「…はい」
学園まで戻ってからセシリオはルイにそう謝った。
セシリオらしくないしおらしい様子にルイは戸惑ってしまう。
「いつもああなんです、お兄様。僕のことオメガだからって、守る守るって……」
「それは仕方ないことですよ」
「え?」
「アルファにはオメガを守るように魂に刻まれている。本能なんです。まぁ、あなたのお兄様のはちょっと行き過ぎている気もしますがね」
「そう、ですか…」
オメガもアルファも本人に抗うことができない本能を抱えている。
オメガのセシリオにはアルファの本能を理解することは難しいだろう。
「今日は助かりました」
「いえ、もとはと言えば僕のせいです」
セシリオはうつむいいてしまい、ルイはセシリオがどんな顔をしているか見えない。
「あの…ルイ様」
「なんですか」
ルイはセシリオの腕をつかみたくなった。そうでもしないと消えてしまいそうだったから。
でも、ルイからセシリオに触れることなんてできなかった。
「もう、僕から近づくのは、やめます…ごめんなさい、迷惑かけて…」
そう言ってセシリオは走り去ってしまった。
「は…?」
迷惑なんてなにを今さら。
それに、近づくのをやめる?
それはルイが望んだことだった。
でも、なんとなく胸がもやもやするような気がして首を傾げた。
どうせそうはいっても話しかけてくるだろう。あんなに図々しい子が大人しくしていられるわけがないのだ。
ルイは釈然としないまま自室に戻った。
「…はい」
学園まで戻ってからセシリオはルイにそう謝った。
セシリオらしくないしおらしい様子にルイは戸惑ってしまう。
「いつもああなんです、お兄様。僕のことオメガだからって、守る守るって……」
「それは仕方ないことですよ」
「え?」
「アルファにはオメガを守るように魂に刻まれている。本能なんです。まぁ、あなたのお兄様のはちょっと行き過ぎている気もしますがね」
「そう、ですか…」
オメガもアルファも本人に抗うことができない本能を抱えている。
オメガのセシリオにはアルファの本能を理解することは難しいだろう。
「今日は助かりました」
「いえ、もとはと言えば僕のせいです」
セシリオはうつむいいてしまい、ルイはセシリオがどんな顔をしているか見えない。
「あの…ルイ様」
「なんですか」
ルイはセシリオの腕をつかみたくなった。そうでもしないと消えてしまいそうだったから。
でも、ルイからセシリオに触れることなんてできなかった。
「もう、僕から近づくのは、やめます…ごめんなさい、迷惑かけて…」
そう言ってセシリオは走り去ってしまった。
「は…?」
迷惑なんてなにを今さら。
それに、近づくのをやめる?
それはルイが望んだことだった。
でも、なんとなく胸がもやもやするような気がして首を傾げた。
どうせそうはいっても話しかけてくるだろう。あんなに図々しい子が大人しくしていられるわけがないのだ。
ルイは釈然としないまま自室に戻った。
25
あなたにおすすめの小説
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
久しぶりの発情期に大好きな番と一緒にいるΩ
いち
BL
Ωの丞(たすく)は、自分の番であるαの かじとのことが大好き。
いつものように晩御飯を作りながら、かじとを待っていたある日、丞にヒートの症状が…周期をかじとに把握されているため、万全の用意をされるが恥ずかしさから否定的にな。しかし丞の症状は止まらなくなってしまう。Ωがよしよしされる短編です。
※pixivにも同様の作品を掲載しています
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる