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旅の終わり(2)
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見晴らしのいい窓辺の席で外の風情ある眺めを堪能しながら朝食に舌鼓を打つ。うん。美味しい……。クロワッサンなんてほっくほくでやわらかくてたまらない。
あなたのその顔。知性的で、野性を押し隠して、わたしを愛しぬいたわたしの男。
なにごともなかったかのようにマグカップを手に取り、コーヒーを口に含むその所作ひとつをとっても美麗であり、映画の一コマのように見惚れる。わたし、確かに、あなたに恋をしている。
沈黙があっても居心地が悪くない。あなたといるとわたしは素でいられる……。
「ねえ。恋生」
「なぁに? 花」
わたしを見つめるその瞳に星のかがやきが宿っている。麗しいその瞳は、愛しさを全面に表す。
「……じゃなくて、禅雨」
「じゃなくて理生」
「恋生は、……わたしに助けられてからずっと、わたしのことを想ってくれていた……んだよね」
「そうだよ。きみがいなかったらいまの僕様はいない」
「あはは」そう、それがあなたらしい。神宮寺恋生。「……こんなわたしでも誰かの役に立てて人生を救えたんだって思えたらね。なんだか自分が誇らしくなってきて、落ち込むのが馬鹿らしくなってきたわ」
「そうだよその調子」カップを置いた恋生は、そっとそれに口づけ、「花はね。愛して、愛されるために生まれてきたんだ」
そのとき、ほろり、涙が流れた。
あなたのやさしい利き手がそれを拭ってくれる……。
「やっと、会えたんだね、わたしたち……。ごめんね。手紙のこととかいろいろと覚えていなくて」
「昔のことだからさ。それに、いまが一番大切なんだ。花とこうして、愛を育んでいけるいま、このときが」
「恋生……もう、泣かさないで」
「泣かせるし、鳴かせるし、もっともっと、天国に導いてやれる。……僕ならね」
「もう、恋生らしい……」
「ふふふ」
ぱちん、と指を鳴らすとあなたは立ち上がり、堂々とわたしを姫抱きにし、極上のスイートルームに連れ込んで、天蓋つきのベッドでたっぷりと愛を与えるの。あなたなしではもう生きられないからだになってしまった。脳がこころが本能が、全部全部あなたを欲している。
耐えきれず涙を流すとあなたの唇がそれを吸う。
「花……もっと狂って……おれのものになって……」
丁寧な腰使いを見舞いつつ手を絡ませる。しっかりと。のぼりつめるそのときもあなたはわたしを抱き締めてくれていた。狂おしいリズムのなかで純粋に、ただ、わたしだけを見つめて。感じて。
いまいっとき。このときを、永遠のものにするために。
愛とは、重なり合うもの。合わせあうもの。あなたはわたしの鏡。自分が綺麗でいられるからこそ相手も美しくなる。
しっかりと、もう、わたしを導くことに躊躇のないあなたは、わたしを追い込んで、自分自身を見えなくする。
あなたとひとつになっていると様々な景色が目の前を流れる。戸樽のガラスのいろ。海野小島の海の透明度。潮風。あなたと初めてデートをした横浜の公園の夜景。戸樽のダイヤモンドを散らしたかのようなまばゆい景色。……どれもが全部繋がってわたしを追い込んでいく。
「花……好きだ。愛している……もう離さない」
一ミリの余白も許されないほどにぴったりと重なりあったわたしたちは何度も飽くることなく愛を確かめ合う。悦びを爆発させ、衝動のままにただ求める。
*
「僕、花の感じている顔が好き……」
背骨をあなたの舌が誘う。背後から柔らかみを揉みしだき、
「……すぐこうなっちゃうこんなところも……」
「……っ」自慰などしたことがなかった。けれど、恋生と一緒になってから、快楽に目覚め、時々、どうしようもないほどに自分を慰めたくなる。
自分にこんな衝動があるなどとは知らなかった。性を知らなかった人生、いままでとはまるで別のものみたいだ。
蜜をまとった指が躊躇いもなく往復し、わたしを、あふれさせていく。
するとあなたは、もう我慢出来ないといったふうに、わたしのからだを開き、それから一番弱いところを貪る。
「――」
「……花の、あまい、声が好き」
うっとりとした声音。
「花の、すぐにこうなっちゃうところとか……可愛くてたまんない。一生、俺のものでいてよ」
「恋生、……入って」
既に猛った自身を押し込むとぎゅうっと抱き締めてくれた。腰をふるいながらあなたは、
「花、……好き。世界で一番好き。愛している……」
「わたしも……」この世に天国というものがあろうとは。あなたに出会うまでのわたしは知らなかった。
いくら導かれてもこの本能は止まることを知らず。あなたの情熱に絡まれて自分を見失っていく。感じている自分だけが確かで。鋭敏で。鮮烈な情欲に焼かれ、淫らに、狂っていく。
*
特に予定は決めていなかった。
なんとなく、このままホテルにステイして帰るのかなと思っていたら、あなたは、とっておきのサプライズを用意してくれていた。
ホテルの屋上からヘリで移動し、湖の近くの施設でお着替えをしたのちに、――ウェディングフォト。
ウェディングドレスに着替えたわたしとタキシード姿のあなたとで湖を背景に写真を何枚も撮っていただいた。まるで、お姫様気分。
「気分じゃないよ。――きみは、僕の永遠のお姫様」
そっと顎を上向けられ、口づけられたときには、この愛が永遠のものだと確信していた。
あなたのその顔。知性的で、野性を押し隠して、わたしを愛しぬいたわたしの男。
なにごともなかったかのようにマグカップを手に取り、コーヒーを口に含むその所作ひとつをとっても美麗であり、映画の一コマのように見惚れる。わたし、確かに、あなたに恋をしている。
沈黙があっても居心地が悪くない。あなたといるとわたしは素でいられる……。
「ねえ。恋生」
「なぁに? 花」
わたしを見つめるその瞳に星のかがやきが宿っている。麗しいその瞳は、愛しさを全面に表す。
「……じゃなくて、禅雨」
「じゃなくて理生」
「恋生は、……わたしに助けられてからずっと、わたしのことを想ってくれていた……んだよね」
「そうだよ。きみがいなかったらいまの僕様はいない」
「あはは」そう、それがあなたらしい。神宮寺恋生。「……こんなわたしでも誰かの役に立てて人生を救えたんだって思えたらね。なんだか自分が誇らしくなってきて、落ち込むのが馬鹿らしくなってきたわ」
「そうだよその調子」カップを置いた恋生は、そっとそれに口づけ、「花はね。愛して、愛されるために生まれてきたんだ」
そのとき、ほろり、涙が流れた。
あなたのやさしい利き手がそれを拭ってくれる……。
「やっと、会えたんだね、わたしたち……。ごめんね。手紙のこととかいろいろと覚えていなくて」
「昔のことだからさ。それに、いまが一番大切なんだ。花とこうして、愛を育んでいけるいま、このときが」
「恋生……もう、泣かさないで」
「泣かせるし、鳴かせるし、もっともっと、天国に導いてやれる。……僕ならね」
「もう、恋生らしい……」
「ふふふ」
ぱちん、と指を鳴らすとあなたは立ち上がり、堂々とわたしを姫抱きにし、極上のスイートルームに連れ込んで、天蓋つきのベッドでたっぷりと愛を与えるの。あなたなしではもう生きられないからだになってしまった。脳がこころが本能が、全部全部あなたを欲している。
耐えきれず涙を流すとあなたの唇がそれを吸う。
「花……もっと狂って……おれのものになって……」
丁寧な腰使いを見舞いつつ手を絡ませる。しっかりと。のぼりつめるそのときもあなたはわたしを抱き締めてくれていた。狂おしいリズムのなかで純粋に、ただ、わたしだけを見つめて。感じて。
いまいっとき。このときを、永遠のものにするために。
愛とは、重なり合うもの。合わせあうもの。あなたはわたしの鏡。自分が綺麗でいられるからこそ相手も美しくなる。
しっかりと、もう、わたしを導くことに躊躇のないあなたは、わたしを追い込んで、自分自身を見えなくする。
あなたとひとつになっていると様々な景色が目の前を流れる。戸樽のガラスのいろ。海野小島の海の透明度。潮風。あなたと初めてデートをした横浜の公園の夜景。戸樽のダイヤモンドを散らしたかのようなまばゆい景色。……どれもが全部繋がってわたしを追い込んでいく。
「花……好きだ。愛している……もう離さない」
一ミリの余白も許されないほどにぴったりと重なりあったわたしたちは何度も飽くることなく愛を確かめ合う。悦びを爆発させ、衝動のままにただ求める。
*
「僕、花の感じている顔が好き……」
背骨をあなたの舌が誘う。背後から柔らかみを揉みしだき、
「……すぐこうなっちゃうこんなところも……」
「……っ」自慰などしたことがなかった。けれど、恋生と一緒になってから、快楽に目覚め、時々、どうしようもないほどに自分を慰めたくなる。
自分にこんな衝動があるなどとは知らなかった。性を知らなかった人生、いままでとはまるで別のものみたいだ。
蜜をまとった指が躊躇いもなく往復し、わたしを、あふれさせていく。
するとあなたは、もう我慢出来ないといったふうに、わたしのからだを開き、それから一番弱いところを貪る。
「――」
「……花の、あまい、声が好き」
うっとりとした声音。
「花の、すぐにこうなっちゃうところとか……可愛くてたまんない。一生、俺のものでいてよ」
「恋生、……入って」
既に猛った自身を押し込むとぎゅうっと抱き締めてくれた。腰をふるいながらあなたは、
「花、……好き。世界で一番好き。愛している……」
「わたしも……」この世に天国というものがあろうとは。あなたに出会うまでのわたしは知らなかった。
いくら導かれてもこの本能は止まることを知らず。あなたの情熱に絡まれて自分を見失っていく。感じている自分だけが確かで。鋭敏で。鮮烈な情欲に焼かれ、淫らに、狂っていく。
*
特に予定は決めていなかった。
なんとなく、このままホテルにステイして帰るのかなと思っていたら、あなたは、とっておきのサプライズを用意してくれていた。
ホテルの屋上からヘリで移動し、湖の近くの施設でお着替えをしたのちに、――ウェディングフォト。
ウェディングドレスに着替えたわたしとタキシード姿のあなたとで湖を背景に写真を何枚も撮っていただいた。まるで、お姫様気分。
「気分じゃないよ。――きみは、僕の永遠のお姫様」
そっと顎を上向けられ、口づけられたときには、この愛が永遠のものだと確信していた。
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