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「待っていたよ、正道。私のメッセージが伝わったんだね」
昔と随分容姿が変わったといえども、その雰囲気は今も櫻井の記憶の中の姉であった。
櫻井は、歯を食いしばった。
いろいろなことを言わねばならないのに、いざ前にするとうまく言葉が紡げなかった。
感情ばかりが溢れ出て、どうしようもなくなる。
櫻井は、俯いて片手で顔を覆い、荒く息を吐き出した。
今にも涙が溢れ出てきそうだった。あまりにも強い哀しみに支配されて。
「なぜだ、姉さん・・・」
櫻井は、雨の滴に濡れる顔を姉に向けた。
「どうして多くの人々を傷つけるようなことをしたんだ?! 俺への、復讐なのか。そうなのか? 俺が、あんなことをしたから・・・。俺が家族を壊したから。そうなんだろ、姉さん!」
北原正実は、顔を曇らせて見せた。
傷ついた顔をして見せたといえばいいだろうか。
「お前に復讐しようだなんて・・・。私はいつもお前のことを思っていた。お前とまたこうして会える日を願ってきたんだ。だけどお前は、私よりずっと遠いところにいて、たくさんの汚れた手がお前を穢そうとしていた。お前に、私の存在を思い起こしてもらいたかった」
櫻井は、首を横に振る。
「何を言ってるんだ、姉さん! 俺は一日たりとも姉さんのことを忘れたことなんてなかった。昔の罪を抱えて、必死に生きてきた。誰が汚れてるって? 汚れてるのは俺自身だ! それなのに、それなのに、あんなこと・・・」
櫻井の脳裏に、真っ赤に染まった赤ん坊が浮かんだ。
この腕に抱いた、生まれてくるはずだった命。
まだ温かくて、でも完全に抜け落ちた小さな命・・・。
櫻井は、赤ん坊を抱いた時のように、自分の両の手のひらを見つめた。
あの時のように真っ赤に染まっているように見えた。
その手のひらが、ふいにぐにゃりと歪む。
手のひらに、熱い涙がポタリポタリと落ちた。
櫻井は、ギュッと手のひらを握り締める。
「姉さんは、間違ってる・・・」
櫻井は、涙に歪む顔で『姉』を見つめた。
「姉さんがこれまで辛い目にあってきたことは知ってる。姉さんの身体のことも、富樫先生から聞いた。父さんが、それを知った上で姉さんを傷つけたことも、母さんがそのことで姉さんを責め立てたことも、酷いことだと思う。だけどね、姉さん。だからといって、人を傷つけるのか? 命を奪ってもいいと?!」
「お前はそうしたじゃないか!」
間髪いれず、正実が叫ぶ。
櫻井は目を見開いた。
正実は、懐かしそうに自分の傍らにあるベッドの残骸の縁を撫で、櫻井を見た。
「この部屋で。私の目前で。そうだろう、正道。お前は、そうした。私は、心底嬉しかった。それがお前の、私に対する純粋で汚れのない愛情だと思ったからだ」
櫻井は、激しく首を横に振る。
「違う、違う・・・!! 俺の行いは、間違っていたんだ。そこにどんな思いがあったとしても、ああいう方法は取るべきじゃなかった。人を容易く傷つけちゃいけない。失われやすいからこそ、大切にしなきゃいけない。俺はずっと後悔を抱えて生きてきた。この罪が償えるならと、そう思い続けて生きてきた。だから姉さん、汚れているのは俺達なんだよ。許されない罪を抱えているのは、俺達の方なんだ・・・」
正実が足を踏みならす。
「何を言う! 正道、私達は選ばれた人間なんだよ。お前もわかるだろう、その感覚を。人の考えていることが手に取るようにわかる瞬間が。どうだ、正道。金や色欲に染まりきった人間の脳味噌を押しつけられる感覚。あの不快感。この世の奴らは、自分の欲望を満たすことしか考えていない。自分のことを最優先で、そこにあるのは偽善と傲慢の渦だ。私は何もしていない。ただあいつらの心の声を聞いたまでのこと。あいつらの柵を解放してやったに過ぎない」
「吉岡さんや、公安部の刑事、そして・・・この人まで!! この人までそうだというのか?!」
櫻井は、微動だにしない香倉に手を差し出して言った。
「触るな!!」
正実が怒鳴る。
「そいつらは! お前を汚そうとした。そして私がお前にさしのべる手を阻もうとした。特に ── 特に、こいつは!」
正実が、背後から香倉を睨み付ける。
「こいつはお前の心までも奪おうとした。そんな資格はないというのに、己の許されざる業があるというのに、あろうことかお前を・・・愛しているだなんて・・・。こんな奴など、死んでしまえばいい!!」
香倉が、初めて櫻井を見た。
カッと目を見開いたまま、表情のない顔で櫻井を見つめる。
「 ── 香倉さん・・・?」
ふいに背筋が寒くなった。
次の瞬間、香倉が、安部を撃ち抜いたばかりの銃口を己のこめかみに押しつける。
「香倉さん!!」
櫻井が、香倉の腕に取り縋った。
香倉の手から拳銃を取り上げようとするが、櫻井の腕力を持ってしても、香倉の手を開くことはできない。
「・・・か、香倉さん・・・ダメだ・・・、ダメだ・・・」
櫻井は、歯を食いしばって、引き金に掛かった香倉の指を押さえる。
そして間近に香倉の目を捕らえた。
何の光も宿さない瞳。
そこから感じるのは、香倉の感情なのだろうか。
深くて重い、後悔の念・・・。
櫻井は己の額を香倉の額に押しつけた。
全身全霊をかけて、香倉に語りかけた。
この声が、閉ざされた香倉の心に届くようにと、必死になって。
「すまないなんて・・・。すまないなんて、思わないでください・・・」
香倉のぎょろりとした瞳が、櫻井を映した。
「 ── もう怖がらない。愛することも愛されることも。もう、怖がりません。俺は香倉さんを愛しています。あなたが手を差し伸べてくれた瞬間から、俺は既に救われていた・・・」
櫻井は顔を離して、今一度香倉を見つめる。
「今度は、俺があなたを守る番だ。安心して。俺は、つぶれたりしない。あなたが今まで愛してきた人達とは違う。今、そう思っているんでしょう? 俺もまた、つぶれてしまうと。そう思っているんですよね? 俺はつぶれない。あなたに愛されることを知って、俺は強くなる。本当の強さを知るんです・・・」
ふいに香倉の表情のない瞳から、ポロリと涙がこぼれた。
ガタガタと香倉の身体が震え、歯を食いしばった口から、嗚咽が漏れた。
「愛してください、香倉さん。生きて、生き抜いて、もっと俺を愛してほしい・・・」
香倉の瞳が瞬きを繰り返す。
「・・・サクライ・・・」
うわごとのように酷く掠れた声が、櫻井の名前を呟く。
ゴトリと、拳銃が床に転がった。
香倉の身体がぐらりと揺れ、床に跪いた。
櫻井は、香倉の身体をぎゅっと抱き締めると、自分の身体の後ろに香倉の身体を押しやった。
目の前には、香倉が手放した筈の拳銃の銃口があった。その先にあるのは、酷く傷ついた正実の、白くて美しい顔。
「お前は姉さんのことをかわいそうだと思わないの? 姉さんはずっとひとりぼっちだった。理不尽に身体を求められ、傷ついたのよ、心も体も。それをあなた、助けてくれるっていったじゃない」
正実の目から、涙の滴がポロポロとこぼれる。もはやその声は、男のそれではなく、櫻井の思いの中のか弱い女性そのものだった。世間から受けた酷い仕打ちに深く傷ついた、守るべき人・・・。
「姉さん・・・」
櫻井は唇を噛みしめ、姉を見上げた。
「あなたの言葉を信じて生きてきたのよ。純粋な愛情をくれるのは、この世でお前一人だった。それなのにお前は、姉さんを見捨てるというの?」
櫻井は、涙で濡れる姉の瞳を見つめた。
吸い込まれそうになる。
心が痛い。
かわいそうな姉。いわれのない耐え難い暴力にずっと晒されてきたのだ。
自分が傍に居れなかったばかりに・・・。
「今からでも遅くないわ。私は、お前のことだけを想って生きてきたの。私に、お前の一番の気持ちを頂戴。私をかわいそうだと思うなら、私だけを見て頂戴、正道・・・」
「姉さん・・・」
櫻井の心の中の痛みが、極限まで達した。
その瞬間。
櫻井の脳裏に、溢れ出た感覚は。
高らかに笑う幼い姉。
涙に暮れながら奉仕するのは、むしろ男達の方だ。
愚かな男達。
愚かな欲望。
この世は愚か者で溢れている。
人間の欲望を操ることは、容易い。
男達が私の肌を辿るこの感覚。
本当は奪われたくなかった。
終わりになんかしたくなかった。
いつまでも父さんの身体が欲しかった。
でも、いずれは年老いて醜くなっていくものね。
だからそうなる前に、父さんを殺した。
正道の小さな手を使って、殺してやった。
そしてやっと、心底憎かった母さんも殺してやったわ。
ああ。
早く、純粋で本物の愛情を注いでくれる者を探さなくちゃ。
美しく若々しい身体。
ビロードのような触覚。
── あっ、あぁ・・・。ん・・・・。
闇の中で身を捩るのは、まさしく櫻井自身だった。
その身体を撫で上げるのは、自分自身が醜い欲望にまみれ、歪んだ顔をした正実。
大人になった顔をした正実が、高らかに笑う。
お前を犯して、イカせて、最高の快楽を与えて上げる。
支配者はこの私だ。いつの時も。
櫻井は、カッと目を見開いた。
他人の脳髄を鷲掴みにする感覚。
これか、このことか、と櫻井は思った。
この不可思議な能力は、己自身にも備わっていたものだったのだ。
ことあるごとに鋭く働く刑事としての勘。そうとばかり思っていた。
姉の脳髄を己の肌で感じ取った“触覚”。
この人の本心は、見間違えのないような欲望の渦で満たされていた。
目の前の美しいと思っていた姉の顔が、歪んで見えた。
「・・・櫻井・・・?」
ゴホゴホと咳き込みながら、正気に戻った香倉が、床に蹲ったまま櫻井を見た。
櫻井は香倉の肩に手を置くと、「大丈夫ですか?」と訊く。
香倉は頷いた。
櫻井は懐から携帯を取り出す。
どしゃぶりの雨にやられ、壊れている。
櫻井は、目の前の北原正実から視線を外さず、香倉に言った。
「この家を出て左に行ったタバコ屋に公衆電話があります。そこから通報してください。安部さんを早く病院へ。まだ助かるかもしれない・・・」
香倉は、背後で横たわる安部を見た。
そして再度、櫻井と北原正実を見比べる。
「しっ、しかし・・・」
「お願いです。早く」
櫻井のしっかりした声が香倉の言葉を遮った。その声は、勇敢に職務を全うする刑事そのものだった。
「わかった・・・。気をつけろよ」
心底心配げな香倉を見て、櫻井は頷く。
「大丈夫です。俺はこの人に惑わされることはない」
櫻井は立ち上がって、姉を睨み付けた。
「俺だけは、この人に支配されることはないんだ」
正実の顔が、驚きに震えた。
「わからないと思っていたのか、姉さん。俺達は、『選ばれた血』なんだろ? 俺達だけに備わった感覚なんだろ? やっとわかった。人の脳味噌に、直に触れる感覚。不快な感情を押し付けられる嫌悪感・・・。今俺は、姉さんの心の中を見たよ。その汚れきった欲望を」
正実がヒッと短い悲鳴を上げる。
「姉さんの言ったことはすべて嘘だった。姉さんの心の中にあるのは、幼い頃に傷つけられた少女でも、己の身体の業のために涙した人間でもない。そこにあるのは、自分の欲望をただ満足させるためには手段を選ばない浅はかな感情だけ。・・・姉さん。本当の愛情って、求めているだけじゃわかんないんだよ。自ら与えようと思った時、初めて得られるものなんだ。俺はね、たくさんの人から、そのことを教わったよ。そして、香倉さんが答えを出してくれた。 ── どんな種類の愛情だったにしろ、俺はずっと姉さんを思い続けていたのに。どうしてそれがわからなかったの? あんなに人の心が読めるはずなのに、どうしてとっくの昔に俺の愛情が手に入れられていたことをわからなかったの? 悲しいね、姉さん。今、俺の中の優しかった姉さんは死んだ。そして俺の姉さんに対する愛情も死んだ。目の前に立っているのは、この世で一番汚れきった哀れな人間ただ一人だ」
「キャァー!!」
正実がガラスを割るような叫び声を上げた。
再度銃口を櫻井に向け、激鉄に指をかける。
「櫻井!!」
部屋を出かけた香倉が、振り返る。
櫻井は倒れ込んだ安部の手から拳銃を取り上げると、振り返り様、北原正実に銃口を向けた。
それはまさに、永遠に近い一瞬。
次の瞬間、二発の銃声が辺りに轟いた。
「櫻井!!」
香倉が、櫻井の身体に駆け寄る・・・。
| 終わりに |
コンコン。
ドアがノックされる音。
「はい、どうぞ」
ベッドの向こう側で身支度をしていた吉岡は、顔を上げた。
ドアの向こうから姿を現したのは、ベージュのパンツスーツに身を包んだ井手靜だった。
「今日退院だって?」
「はい。お世話になりました」
吉岡は照れくさそうに頭を下げると、井手に丸い椅子をすすめた。自分はベッドのヘリに腰掛ける。
「予定より早まったそうじゃない。おめでとう」
「ま、元々身体の怪我の方は大したことありませんでしたから」
包帯の巻かれた指を見せて、吉岡が言う。
「それで? 小夜子さんとはどうなの? 昨日病室に来てくれていたっていってたわよ、看護師さんが」
「はぁ・・・」
吉岡の顔が赤らむ。
「かみさんは・・・もう一度やり直そうって言ってくれました。今回のことを忘れることはできないけれど、俺と一緒にその傷を心に抱いて、あの子の分まで、精一杯生きていきたいって・・・。そんなことを・・・言ってくれました」
吉岡の鼻がズズッと音を立てる。
井手は、優しく微笑んだ。
「そう・・・。よかったじゃない」
はいと、吉岡は頷く。
「本当に・・・よかったです」
吉岡が泣き笑いのような複雑な笑みを浮かべた。その微笑みに全ての吉岡の感情が込められているような気がした。
「でも・・・心残りがひとつあって・・・」
「心残り?」
井手が吉岡を見上げると、吉岡は井手の視線を避け、ベッドサイドに置かれてある数日前の新聞を見つめた。
新聞の一面に、『謎多き殺人事件の黒幕とおぼしき人物の逮捕に尽力した刑事が殉職』とあり、まだ警官に成り立ての頃の、初々しい櫻井の制服写真が掲載されている。
「俺達がやり直すことを、櫻井に伝えたかった。 ── 今でも、信じられません。あいつが、死んだなんて・・・」
吉岡が言葉を詰まらせる。
井手は立ち上がって、窓際に身体を凭れかけさせた。
ぼんやりと外を見る。
やがて井手は、ぽつりと呟いた。
「寂しく・・・なるわね・・・」
北原正実は、銃声を聞いたという“民間人”の通報を受けた神奈川県警の機動捜査隊によって、搬送された先の救急病院にて緊急逮捕された。
容疑は、潮が丘署の強行犯係刑事・櫻井正道巡査部長に対する殺人未遂容疑と、銃刀法違反、公務執行妨害等によるものだった。
右肩を撃ち抜かれていた北原であったが、急所を外されていたため、命に別状はなかった。
北原の身柄はその後、警視庁管内で発生していた謎多き殺人事件に深く関わっていたとして、警視庁の監視下に置かれることとなった。本人の体力回復を待った形で、既に数十回にも渡る取調べが病院内で行われている。
精神科医が立ち会う形で行われている取調べの詳細については、外部に洩れてこなかったが、近々検察庁が告訴する方向で動いているという情報が、非公式ながらも流された。つまりそれは、刑法39条には当てはめずに裁判を行うということを現していた。
同時に現場で深い傷を負った櫻井刑事は、通報者である民間人によって応急処置をされていたものの状態は悪く、緊急手術の後、集中治療室に移された。一週間の後、更に高度な処置を施すため都内の病院に移送されたが、最期まで決して面会謝絶の扉が開くことはなかった。これによって、北原正実の罪状は、殺人未遂から殺人罪へと切り替えられることになる。
櫻井刑事は、自分の属する課の課長、高橋警部に辞表を提出していたが、高橋警部が正式に受理をしていなかったので、殉職扱いとなった。
だが、元々身寄りのない男であったために家族に対する慰霊金も支払われることはなかった。
階級は殉職扱いになったことにより二階級上がり、『警部』という形で署葬が行われた。
マスコミは以前世間を騒がせた誘拐事件を解決した刑事の殉職ともあって、大々的に報道合戦を繰り広げようとしたが、どういう訳かマスコミ各社のトップからの圧力により、大きく取り上げられることはなかった。噂では、警察の上層部が櫻井刑事の周辺の者達に配慮して、それなりのところに掛け合った結果だと囁かれた。結局、署葬は、関係者のみでひっそりと行われたという。
一方、神奈川県警に事情聴取をされていた通報者・香倉裕人は、北原の使用した拳銃に指紋がついていたことにより、共謀者として一時期容疑がかけられた。しかし、『貿易会社の営業マン』だという彼の身元は完璧で、北原との接点は皆無だった。
事件発生当時、近くの知り合いの家での葬儀に参列した後 ── こちらもアリバイが取れた ── 、帰宅する途中で銃声を聞いたとの証言だった。
神奈川県警の捜査員が現着した時に現場にいた人物は、北原正実と櫻井正道、そしてその通報者の三名で他に人影はなく、事件は北原と北原が関わっていると目される殺人事件を独自で捜査していた櫻井刑事の間でのみ発生したものと報告された。
その後、神奈川県警内を含む広範囲の停電事故が発生し、新規記録データ一週間分が消滅して大騒ぎになったが、幸運なことにその時は既に、警視庁に捜査の権限が移されていたため、神奈川県警の関係者は揃って胸を撫で下ろした。
何せ、あの雨の夜のことは、通報者の証言も名前も証拠も、その存在自体が“消えて”なくなってしまったからだ。
やがて、関係者の頭の中からも、第一通報者『香倉裕人』の名前は、消えてなくなっていった・・・。
男は制帽を被り、髪を整えると、白い手袋が填められた手でぴっちりととめられた制服のボタンをすっと撫でた。
ロッカーのドアを閉め、制服姿の他の職員に混じって、更衣室を出る。
廊下には、警察の正装に身を包んだ者達で溢れ返っていたが、廊下に無造作に置かれた数々の機械や部品の段ボール箱と見比べると、この光景には違和感が漂っていた。
ここは、都心から遠く離れた工場地帯の一角。
警視庁が秘密裏に管理している工場のビルだった。
ここで今日は、年に一度トップシークレット扱いで行われる公安部の辞令式が行われることになっていた。窓には全てしっかりとブラインドが下ろされ、完全外部と隔離された状態で行われる。
警視庁の人間も、ほとんどの者はこんな建物の存在を知らないし、ここでこのようなことが行われていることも知らない。
大会議室に入ると、男は部屋の中ほどにいた中年男に声をかけた。
「安部さん、お久しぶりです。その節はどうも」
トレードマークの無精ひげを剃り落とし、さっぱりとした顔をした安部が、男を見たなり、顔を顰めた。
「お前~。・・・久しぶりもくそもあるか。先月会ったばかりだろう。もっとも、互いに正気では会えなかった訳だが」
そんな皮肉を聞いて、男 ── 香倉は、苦笑いを浮かべる。
防弾チョッキを着ていた安部の心臓に向かって銃弾を撃ち込んだ香倉はもちろん正気ではなく、香倉が正気に戻った時には既に、安部は銃弾を間近に受けた衝撃で気を失っていた。
「危うく、かぁちゃんとガキを路頭に迷わすところだったんだぞ。今度カツ丼奢れ」
それを聞いて、香倉は笑った。
「公安の特務捜査員が、他の職員に食事をご馳走する訳にはいかないでしょう」
ま、それもそうだ、と安部が笑う。
だがふいに、安部の顔から表情がなくなった。
「それでお前、あいつの葬式は終わったのか」
香倉は、安部から少し視線を外した。
「ええ・・・。そのようです」
「そうか・・・。公安の特務捜査員が、他の警官の葬式に出る訳にはいかないもんな。辛いなぁ、お前も」
香倉は、苦笑を浮かべる。
それは酷く寂しげで、苦しげな笑みだった。
「整列!!」
号令が掛かった。
香倉は、一番前の列の左端に並んだ。
「只今より、今年度の警視庁公安部辞令式を行う」
前に構えられた演台のマイクを通じて、榊警視正のだみ声が響き渡る。
「年々、我々を取り巻く社会は複雑化しており、我々の予想もつかない犯罪が発生してきている。皆も承知のように、つい先頃も、我が公安部の貴重な人命が失われたばかりだ。その死は決して表沙汰にされないが、彼らもまた、警察官の使命の元、職務を全うして命を散らした者達である。まずは黙祷を捧げたい。 ── 黙祷」
香倉は目を閉じた。
今回の事件のことを思い返す。
数々の人々が負った、深い傷を。
神奈川県警に身柄を拘束された香倉だったが、警視庁公安部の強い圧力により、香倉は解放された。といっても、その身柄はすぐに警視庁公安部によって拘束される身となったのだが。
榊の命令により、念のため公安部の息の掛かった病院にてセラピーを受けながら、香倉は、今回の事件の事情聴取を受けることになった。
公安部としては、職員二人が殉職した経緯をはっきりさせなければならなかったからだ。
結局、香倉が櫻井に再び会うことはなく、約一ヶ月後、櫻井の死が新聞で報道されたのだった・・・・。
香倉は、ぼんやりと目を開いた。
黙祷を終えた榊が、次々と新たな辞令を発表していく。だが、どれも耳を通り過ぎて消えていった。
いつになったら、この心の空虚感がなくなるというのだろう。
いや、二度となくなる筈がない。
自分は、また救うことができなかった。
そして掛け替えのないものを再び失ってしまったのだから・・・。
香倉の思いを余所に、榊の声が殊更大きく響き渡った。
「職員が二名殉職したことに伴い、新たに二名補充をすることになった。上村君と高橋君だ。入り給え」
「は!」
若くはつらつとした声が室内に入ってくる。
まさかと思った。
「本日付けで警視庁公安部に配属になりました、上村四郎です。よろしくお願いいたします!」
「同じく、本日づけで警視庁公安部に配属になりました、高橋秀尋です。よろしくお願いいたします」
新規配属になった新人が演台の隣に整列し、制帽を取って挨拶をする。
真っ黒く癖のない髪、切れ長の瞳。 ── そして、目尻の泣き黒子・・・。
香倉は、驚きを隠せない目で『高橋秀尋』と名乗った青年を見、そして榊を見た。
榊は、ニヤニヤと何ともいえない笑みを浮かべている。
── あのクソ親父・・・。
香倉は、ギシリと奥歯を噛みしめた。
「末列に整列したまえ」
「は!」
香倉の左側に『高橋秀尋』が肩を並べる。
「なるほど・・・。一度死んだ人間だから、公安職員として使うのは好都合って訳だ」
前を向いたまま、香倉が呟く。
「・・・その名前、誰が考えた」
「名字は、高橋警部からいただきました。病院に見舞いに来てくれた時に、俺の息子になれと」
その台詞を聞いて、ふっと香倉の表情が柔らかくなる。
「あの人らしいな・・・」
「はい」
櫻井は、一時危険な状態であったが、的確な応急処置がよかったせいか一命を取り留め、都内の病院に移送される頃には意識も回復していた。
だが、警視庁の要請により、病院側は面会謝絶として櫻井の容態を一切表に公表しなかった。当初の表向きは、マスコミ対策としての処置だったが、やがてその扱いも意味合いが変わってくる。
だが、正直なところ、櫻井が緊急手術により命を取り留めてから二日後には、櫻井の公安部配属が、裏人事によって決定されていた。
そこには、警視庁の榊警視正と捜査一課長・米澤、そして潮ヶ丘署の刑事課長・高橋と警視庁管内では密かに最も影響力のある男と表されている伝説の人物、河瀬刑事の意向が含まれていたのである。
櫻井は、病院で高橋が言ってくれたことを思い起こす。
都内の病院に移送され、ベッドの上に身体を起せる状態にまで回復した頃、面会謝絶にされたはずの病室を高橋が訪れた。そして櫻井は、高橋の口から己の運命を知らされることになるのである。
一度警察を去ろうと心に決めた人間であるはずの自分が ── ましてや、自分の背負う過去が公安職員として相応しいとは思えないと戸惑いを見せた櫻井に、高橋はこう言った。
櫻井。
人間はな、7年間で全身、新しい細胞に生まれ変わる。
お前も今年28だ。
お前の身体も心も、新しく生まれ変るんだ。
今までのことを、忘れろとは言わん。
だが、お前の新しい7年は、もう未来に向かって進み始めている・・・・。
櫻井は、制服の下で未だ包帯に覆われている胸元が、少しじんわりとするのを感じた。
今回の事件で、失ったものはたくさんあった。傷つくこともたくさんあった。
でも、同時に得るものものたくさんあったのだ。
人の優しさ。
その可能性。
新しい自分。
本当の強さ。
そして・・・・・
「下の名前の意味は・・・」
櫻井がそう呟くと、間髪入れず香倉が遮った。
「言わなくてもいい。意味は・・・わかる」
櫻井は、少し微笑む。
「 ── そうですか。よかった」
香倉が、横目で自分を見ているのがわかる。
櫻井も、その目を見つめ返した。
ふいに号令がかかる。
「以上、辞令式を終わる。礼!!」
二人は同時に姿勢を正すと、淀みない動きで敬礼をしたのだった。
触覚 end.
── 重たく辛い展開の多かったこの『触覚』を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。感謝感謝。(国沢)
昔と随分容姿が変わったといえども、その雰囲気は今も櫻井の記憶の中の姉であった。
櫻井は、歯を食いしばった。
いろいろなことを言わねばならないのに、いざ前にするとうまく言葉が紡げなかった。
感情ばかりが溢れ出て、どうしようもなくなる。
櫻井は、俯いて片手で顔を覆い、荒く息を吐き出した。
今にも涙が溢れ出てきそうだった。あまりにも強い哀しみに支配されて。
「なぜだ、姉さん・・・」
櫻井は、雨の滴に濡れる顔を姉に向けた。
「どうして多くの人々を傷つけるようなことをしたんだ?! 俺への、復讐なのか。そうなのか? 俺が、あんなことをしたから・・・。俺が家族を壊したから。そうなんだろ、姉さん!」
北原正実は、顔を曇らせて見せた。
傷ついた顔をして見せたといえばいいだろうか。
「お前に復讐しようだなんて・・・。私はいつもお前のことを思っていた。お前とまたこうして会える日を願ってきたんだ。だけどお前は、私よりずっと遠いところにいて、たくさんの汚れた手がお前を穢そうとしていた。お前に、私の存在を思い起こしてもらいたかった」
櫻井は、首を横に振る。
「何を言ってるんだ、姉さん! 俺は一日たりとも姉さんのことを忘れたことなんてなかった。昔の罪を抱えて、必死に生きてきた。誰が汚れてるって? 汚れてるのは俺自身だ! それなのに、それなのに、あんなこと・・・」
櫻井の脳裏に、真っ赤に染まった赤ん坊が浮かんだ。
この腕に抱いた、生まれてくるはずだった命。
まだ温かくて、でも完全に抜け落ちた小さな命・・・。
櫻井は、赤ん坊を抱いた時のように、自分の両の手のひらを見つめた。
あの時のように真っ赤に染まっているように見えた。
その手のひらが、ふいにぐにゃりと歪む。
手のひらに、熱い涙がポタリポタリと落ちた。
櫻井は、ギュッと手のひらを握り締める。
「姉さんは、間違ってる・・・」
櫻井は、涙に歪む顔で『姉』を見つめた。
「姉さんがこれまで辛い目にあってきたことは知ってる。姉さんの身体のことも、富樫先生から聞いた。父さんが、それを知った上で姉さんを傷つけたことも、母さんがそのことで姉さんを責め立てたことも、酷いことだと思う。だけどね、姉さん。だからといって、人を傷つけるのか? 命を奪ってもいいと?!」
「お前はそうしたじゃないか!」
間髪いれず、正実が叫ぶ。
櫻井は目を見開いた。
正実は、懐かしそうに自分の傍らにあるベッドの残骸の縁を撫で、櫻井を見た。
「この部屋で。私の目前で。そうだろう、正道。お前は、そうした。私は、心底嬉しかった。それがお前の、私に対する純粋で汚れのない愛情だと思ったからだ」
櫻井は、激しく首を横に振る。
「違う、違う・・・!! 俺の行いは、間違っていたんだ。そこにどんな思いがあったとしても、ああいう方法は取るべきじゃなかった。人を容易く傷つけちゃいけない。失われやすいからこそ、大切にしなきゃいけない。俺はずっと後悔を抱えて生きてきた。この罪が償えるならと、そう思い続けて生きてきた。だから姉さん、汚れているのは俺達なんだよ。許されない罪を抱えているのは、俺達の方なんだ・・・」
正実が足を踏みならす。
「何を言う! 正道、私達は選ばれた人間なんだよ。お前もわかるだろう、その感覚を。人の考えていることが手に取るようにわかる瞬間が。どうだ、正道。金や色欲に染まりきった人間の脳味噌を押しつけられる感覚。あの不快感。この世の奴らは、自分の欲望を満たすことしか考えていない。自分のことを最優先で、そこにあるのは偽善と傲慢の渦だ。私は何もしていない。ただあいつらの心の声を聞いたまでのこと。あいつらの柵を解放してやったに過ぎない」
「吉岡さんや、公安部の刑事、そして・・・この人まで!! この人までそうだというのか?!」
櫻井は、微動だにしない香倉に手を差し出して言った。
「触るな!!」
正実が怒鳴る。
「そいつらは! お前を汚そうとした。そして私がお前にさしのべる手を阻もうとした。特に ── 特に、こいつは!」
正実が、背後から香倉を睨み付ける。
「こいつはお前の心までも奪おうとした。そんな資格はないというのに、己の許されざる業があるというのに、あろうことかお前を・・・愛しているだなんて・・・。こんな奴など、死んでしまえばいい!!」
香倉が、初めて櫻井を見た。
カッと目を見開いたまま、表情のない顔で櫻井を見つめる。
「 ── 香倉さん・・・?」
ふいに背筋が寒くなった。
次の瞬間、香倉が、安部を撃ち抜いたばかりの銃口を己のこめかみに押しつける。
「香倉さん!!」
櫻井が、香倉の腕に取り縋った。
香倉の手から拳銃を取り上げようとするが、櫻井の腕力を持ってしても、香倉の手を開くことはできない。
「・・・か、香倉さん・・・ダメだ・・・、ダメだ・・・」
櫻井は、歯を食いしばって、引き金に掛かった香倉の指を押さえる。
そして間近に香倉の目を捕らえた。
何の光も宿さない瞳。
そこから感じるのは、香倉の感情なのだろうか。
深くて重い、後悔の念・・・。
櫻井は己の額を香倉の額に押しつけた。
全身全霊をかけて、香倉に語りかけた。
この声が、閉ざされた香倉の心に届くようにと、必死になって。
「すまないなんて・・・。すまないなんて、思わないでください・・・」
香倉のぎょろりとした瞳が、櫻井を映した。
「 ── もう怖がらない。愛することも愛されることも。もう、怖がりません。俺は香倉さんを愛しています。あなたが手を差し伸べてくれた瞬間から、俺は既に救われていた・・・」
櫻井は顔を離して、今一度香倉を見つめる。
「今度は、俺があなたを守る番だ。安心して。俺は、つぶれたりしない。あなたが今まで愛してきた人達とは違う。今、そう思っているんでしょう? 俺もまた、つぶれてしまうと。そう思っているんですよね? 俺はつぶれない。あなたに愛されることを知って、俺は強くなる。本当の強さを知るんです・・・」
ふいに香倉の表情のない瞳から、ポロリと涙がこぼれた。
ガタガタと香倉の身体が震え、歯を食いしばった口から、嗚咽が漏れた。
「愛してください、香倉さん。生きて、生き抜いて、もっと俺を愛してほしい・・・」
香倉の瞳が瞬きを繰り返す。
「・・・サクライ・・・」
うわごとのように酷く掠れた声が、櫻井の名前を呟く。
ゴトリと、拳銃が床に転がった。
香倉の身体がぐらりと揺れ、床に跪いた。
櫻井は、香倉の身体をぎゅっと抱き締めると、自分の身体の後ろに香倉の身体を押しやった。
目の前には、香倉が手放した筈の拳銃の銃口があった。その先にあるのは、酷く傷ついた正実の、白くて美しい顔。
「お前は姉さんのことをかわいそうだと思わないの? 姉さんはずっとひとりぼっちだった。理不尽に身体を求められ、傷ついたのよ、心も体も。それをあなた、助けてくれるっていったじゃない」
正実の目から、涙の滴がポロポロとこぼれる。もはやその声は、男のそれではなく、櫻井の思いの中のか弱い女性そのものだった。世間から受けた酷い仕打ちに深く傷ついた、守るべき人・・・。
「姉さん・・・」
櫻井は唇を噛みしめ、姉を見上げた。
「あなたの言葉を信じて生きてきたのよ。純粋な愛情をくれるのは、この世でお前一人だった。それなのにお前は、姉さんを見捨てるというの?」
櫻井は、涙で濡れる姉の瞳を見つめた。
吸い込まれそうになる。
心が痛い。
かわいそうな姉。いわれのない耐え難い暴力にずっと晒されてきたのだ。
自分が傍に居れなかったばかりに・・・。
「今からでも遅くないわ。私は、お前のことだけを想って生きてきたの。私に、お前の一番の気持ちを頂戴。私をかわいそうだと思うなら、私だけを見て頂戴、正道・・・」
「姉さん・・・」
櫻井の心の中の痛みが、極限まで達した。
その瞬間。
櫻井の脳裏に、溢れ出た感覚は。
高らかに笑う幼い姉。
涙に暮れながら奉仕するのは、むしろ男達の方だ。
愚かな男達。
愚かな欲望。
この世は愚か者で溢れている。
人間の欲望を操ることは、容易い。
男達が私の肌を辿るこの感覚。
本当は奪われたくなかった。
終わりになんかしたくなかった。
いつまでも父さんの身体が欲しかった。
でも、いずれは年老いて醜くなっていくものね。
だからそうなる前に、父さんを殺した。
正道の小さな手を使って、殺してやった。
そしてやっと、心底憎かった母さんも殺してやったわ。
ああ。
早く、純粋で本物の愛情を注いでくれる者を探さなくちゃ。
美しく若々しい身体。
ビロードのような触覚。
── あっ、あぁ・・・。ん・・・・。
闇の中で身を捩るのは、まさしく櫻井自身だった。
その身体を撫で上げるのは、自分自身が醜い欲望にまみれ、歪んだ顔をした正実。
大人になった顔をした正実が、高らかに笑う。
お前を犯して、イカせて、最高の快楽を与えて上げる。
支配者はこの私だ。いつの時も。
櫻井は、カッと目を見開いた。
他人の脳髄を鷲掴みにする感覚。
これか、このことか、と櫻井は思った。
この不可思議な能力は、己自身にも備わっていたものだったのだ。
ことあるごとに鋭く働く刑事としての勘。そうとばかり思っていた。
姉の脳髄を己の肌で感じ取った“触覚”。
この人の本心は、見間違えのないような欲望の渦で満たされていた。
目の前の美しいと思っていた姉の顔が、歪んで見えた。
「・・・櫻井・・・?」
ゴホゴホと咳き込みながら、正気に戻った香倉が、床に蹲ったまま櫻井を見た。
櫻井は香倉の肩に手を置くと、「大丈夫ですか?」と訊く。
香倉は頷いた。
櫻井は懐から携帯を取り出す。
どしゃぶりの雨にやられ、壊れている。
櫻井は、目の前の北原正実から視線を外さず、香倉に言った。
「この家を出て左に行ったタバコ屋に公衆電話があります。そこから通報してください。安部さんを早く病院へ。まだ助かるかもしれない・・・」
香倉は、背後で横たわる安部を見た。
そして再度、櫻井と北原正実を見比べる。
「しっ、しかし・・・」
「お願いです。早く」
櫻井のしっかりした声が香倉の言葉を遮った。その声は、勇敢に職務を全うする刑事そのものだった。
「わかった・・・。気をつけろよ」
心底心配げな香倉を見て、櫻井は頷く。
「大丈夫です。俺はこの人に惑わされることはない」
櫻井は立ち上がって、姉を睨み付けた。
「俺だけは、この人に支配されることはないんだ」
正実の顔が、驚きに震えた。
「わからないと思っていたのか、姉さん。俺達は、『選ばれた血』なんだろ? 俺達だけに備わった感覚なんだろ? やっとわかった。人の脳味噌に、直に触れる感覚。不快な感情を押し付けられる嫌悪感・・・。今俺は、姉さんの心の中を見たよ。その汚れきった欲望を」
正実がヒッと短い悲鳴を上げる。
「姉さんの言ったことはすべて嘘だった。姉さんの心の中にあるのは、幼い頃に傷つけられた少女でも、己の身体の業のために涙した人間でもない。そこにあるのは、自分の欲望をただ満足させるためには手段を選ばない浅はかな感情だけ。・・・姉さん。本当の愛情って、求めているだけじゃわかんないんだよ。自ら与えようと思った時、初めて得られるものなんだ。俺はね、たくさんの人から、そのことを教わったよ。そして、香倉さんが答えを出してくれた。 ── どんな種類の愛情だったにしろ、俺はずっと姉さんを思い続けていたのに。どうしてそれがわからなかったの? あんなに人の心が読めるはずなのに、どうしてとっくの昔に俺の愛情が手に入れられていたことをわからなかったの? 悲しいね、姉さん。今、俺の中の優しかった姉さんは死んだ。そして俺の姉さんに対する愛情も死んだ。目の前に立っているのは、この世で一番汚れきった哀れな人間ただ一人だ」
「キャァー!!」
正実がガラスを割るような叫び声を上げた。
再度銃口を櫻井に向け、激鉄に指をかける。
「櫻井!!」
部屋を出かけた香倉が、振り返る。
櫻井は倒れ込んだ安部の手から拳銃を取り上げると、振り返り様、北原正実に銃口を向けた。
それはまさに、永遠に近い一瞬。
次の瞬間、二発の銃声が辺りに轟いた。
「櫻井!!」
香倉が、櫻井の身体に駆け寄る・・・。
| 終わりに |
コンコン。
ドアがノックされる音。
「はい、どうぞ」
ベッドの向こう側で身支度をしていた吉岡は、顔を上げた。
ドアの向こうから姿を現したのは、ベージュのパンツスーツに身を包んだ井手靜だった。
「今日退院だって?」
「はい。お世話になりました」
吉岡は照れくさそうに頭を下げると、井手に丸い椅子をすすめた。自分はベッドのヘリに腰掛ける。
「予定より早まったそうじゃない。おめでとう」
「ま、元々身体の怪我の方は大したことありませんでしたから」
包帯の巻かれた指を見せて、吉岡が言う。
「それで? 小夜子さんとはどうなの? 昨日病室に来てくれていたっていってたわよ、看護師さんが」
「はぁ・・・」
吉岡の顔が赤らむ。
「かみさんは・・・もう一度やり直そうって言ってくれました。今回のことを忘れることはできないけれど、俺と一緒にその傷を心に抱いて、あの子の分まで、精一杯生きていきたいって・・・。そんなことを・・・言ってくれました」
吉岡の鼻がズズッと音を立てる。
井手は、優しく微笑んだ。
「そう・・・。よかったじゃない」
はいと、吉岡は頷く。
「本当に・・・よかったです」
吉岡が泣き笑いのような複雑な笑みを浮かべた。その微笑みに全ての吉岡の感情が込められているような気がした。
「でも・・・心残りがひとつあって・・・」
「心残り?」
井手が吉岡を見上げると、吉岡は井手の視線を避け、ベッドサイドに置かれてある数日前の新聞を見つめた。
新聞の一面に、『謎多き殺人事件の黒幕とおぼしき人物の逮捕に尽力した刑事が殉職』とあり、まだ警官に成り立ての頃の、初々しい櫻井の制服写真が掲載されている。
「俺達がやり直すことを、櫻井に伝えたかった。 ── 今でも、信じられません。あいつが、死んだなんて・・・」
吉岡が言葉を詰まらせる。
井手は立ち上がって、窓際に身体を凭れかけさせた。
ぼんやりと外を見る。
やがて井手は、ぽつりと呟いた。
「寂しく・・・なるわね・・・」
北原正実は、銃声を聞いたという“民間人”の通報を受けた神奈川県警の機動捜査隊によって、搬送された先の救急病院にて緊急逮捕された。
容疑は、潮が丘署の強行犯係刑事・櫻井正道巡査部長に対する殺人未遂容疑と、銃刀法違反、公務執行妨害等によるものだった。
右肩を撃ち抜かれていた北原であったが、急所を外されていたため、命に別状はなかった。
北原の身柄はその後、警視庁管内で発生していた謎多き殺人事件に深く関わっていたとして、警視庁の監視下に置かれることとなった。本人の体力回復を待った形で、既に数十回にも渡る取調べが病院内で行われている。
精神科医が立ち会う形で行われている取調べの詳細については、外部に洩れてこなかったが、近々検察庁が告訴する方向で動いているという情報が、非公式ながらも流された。つまりそれは、刑法39条には当てはめずに裁判を行うということを現していた。
同時に現場で深い傷を負った櫻井刑事は、通報者である民間人によって応急処置をされていたものの状態は悪く、緊急手術の後、集中治療室に移された。一週間の後、更に高度な処置を施すため都内の病院に移送されたが、最期まで決して面会謝絶の扉が開くことはなかった。これによって、北原正実の罪状は、殺人未遂から殺人罪へと切り替えられることになる。
櫻井刑事は、自分の属する課の課長、高橋警部に辞表を提出していたが、高橋警部が正式に受理をしていなかったので、殉職扱いとなった。
だが、元々身寄りのない男であったために家族に対する慰霊金も支払われることはなかった。
階級は殉職扱いになったことにより二階級上がり、『警部』という形で署葬が行われた。
マスコミは以前世間を騒がせた誘拐事件を解決した刑事の殉職ともあって、大々的に報道合戦を繰り広げようとしたが、どういう訳かマスコミ各社のトップからの圧力により、大きく取り上げられることはなかった。噂では、警察の上層部が櫻井刑事の周辺の者達に配慮して、それなりのところに掛け合った結果だと囁かれた。結局、署葬は、関係者のみでひっそりと行われたという。
一方、神奈川県警に事情聴取をされていた通報者・香倉裕人は、北原の使用した拳銃に指紋がついていたことにより、共謀者として一時期容疑がかけられた。しかし、『貿易会社の営業マン』だという彼の身元は完璧で、北原との接点は皆無だった。
事件発生当時、近くの知り合いの家での葬儀に参列した後 ── こちらもアリバイが取れた ── 、帰宅する途中で銃声を聞いたとの証言だった。
神奈川県警の捜査員が現着した時に現場にいた人物は、北原正実と櫻井正道、そしてその通報者の三名で他に人影はなく、事件は北原と北原が関わっていると目される殺人事件を独自で捜査していた櫻井刑事の間でのみ発生したものと報告された。
その後、神奈川県警内を含む広範囲の停電事故が発生し、新規記録データ一週間分が消滅して大騒ぎになったが、幸運なことにその時は既に、警視庁に捜査の権限が移されていたため、神奈川県警の関係者は揃って胸を撫で下ろした。
何せ、あの雨の夜のことは、通報者の証言も名前も証拠も、その存在自体が“消えて”なくなってしまったからだ。
やがて、関係者の頭の中からも、第一通報者『香倉裕人』の名前は、消えてなくなっていった・・・。
男は制帽を被り、髪を整えると、白い手袋が填められた手でぴっちりととめられた制服のボタンをすっと撫でた。
ロッカーのドアを閉め、制服姿の他の職員に混じって、更衣室を出る。
廊下には、警察の正装に身を包んだ者達で溢れ返っていたが、廊下に無造作に置かれた数々の機械や部品の段ボール箱と見比べると、この光景には違和感が漂っていた。
ここは、都心から遠く離れた工場地帯の一角。
警視庁が秘密裏に管理している工場のビルだった。
ここで今日は、年に一度トップシークレット扱いで行われる公安部の辞令式が行われることになっていた。窓には全てしっかりとブラインドが下ろされ、完全外部と隔離された状態で行われる。
警視庁の人間も、ほとんどの者はこんな建物の存在を知らないし、ここでこのようなことが行われていることも知らない。
大会議室に入ると、男は部屋の中ほどにいた中年男に声をかけた。
「安部さん、お久しぶりです。その節はどうも」
トレードマークの無精ひげを剃り落とし、さっぱりとした顔をした安部が、男を見たなり、顔を顰めた。
「お前~。・・・久しぶりもくそもあるか。先月会ったばかりだろう。もっとも、互いに正気では会えなかった訳だが」
そんな皮肉を聞いて、男 ── 香倉は、苦笑いを浮かべる。
防弾チョッキを着ていた安部の心臓に向かって銃弾を撃ち込んだ香倉はもちろん正気ではなく、香倉が正気に戻った時には既に、安部は銃弾を間近に受けた衝撃で気を失っていた。
「危うく、かぁちゃんとガキを路頭に迷わすところだったんだぞ。今度カツ丼奢れ」
それを聞いて、香倉は笑った。
「公安の特務捜査員が、他の職員に食事をご馳走する訳にはいかないでしょう」
ま、それもそうだ、と安部が笑う。
だがふいに、安部の顔から表情がなくなった。
「それでお前、あいつの葬式は終わったのか」
香倉は、安部から少し視線を外した。
「ええ・・・。そのようです」
「そうか・・・。公安の特務捜査員が、他の警官の葬式に出る訳にはいかないもんな。辛いなぁ、お前も」
香倉は、苦笑を浮かべる。
それは酷く寂しげで、苦しげな笑みだった。
「整列!!」
号令が掛かった。
香倉は、一番前の列の左端に並んだ。
「只今より、今年度の警視庁公安部辞令式を行う」
前に構えられた演台のマイクを通じて、榊警視正のだみ声が響き渡る。
「年々、我々を取り巻く社会は複雑化しており、我々の予想もつかない犯罪が発生してきている。皆も承知のように、つい先頃も、我が公安部の貴重な人命が失われたばかりだ。その死は決して表沙汰にされないが、彼らもまた、警察官の使命の元、職務を全うして命を散らした者達である。まずは黙祷を捧げたい。 ── 黙祷」
香倉は目を閉じた。
今回の事件のことを思い返す。
数々の人々が負った、深い傷を。
神奈川県警に身柄を拘束された香倉だったが、警視庁公安部の強い圧力により、香倉は解放された。といっても、その身柄はすぐに警視庁公安部によって拘束される身となったのだが。
榊の命令により、念のため公安部の息の掛かった病院にてセラピーを受けながら、香倉は、今回の事件の事情聴取を受けることになった。
公安部としては、職員二人が殉職した経緯をはっきりさせなければならなかったからだ。
結局、香倉が櫻井に再び会うことはなく、約一ヶ月後、櫻井の死が新聞で報道されたのだった・・・・。
香倉は、ぼんやりと目を開いた。
黙祷を終えた榊が、次々と新たな辞令を発表していく。だが、どれも耳を通り過ぎて消えていった。
いつになったら、この心の空虚感がなくなるというのだろう。
いや、二度となくなる筈がない。
自分は、また救うことができなかった。
そして掛け替えのないものを再び失ってしまったのだから・・・。
香倉の思いを余所に、榊の声が殊更大きく響き渡った。
「職員が二名殉職したことに伴い、新たに二名補充をすることになった。上村君と高橋君だ。入り給え」
「は!」
若くはつらつとした声が室内に入ってくる。
まさかと思った。
「本日付けで警視庁公安部に配属になりました、上村四郎です。よろしくお願いいたします!」
「同じく、本日づけで警視庁公安部に配属になりました、高橋秀尋です。よろしくお願いいたします」
新規配属になった新人が演台の隣に整列し、制帽を取って挨拶をする。
真っ黒く癖のない髪、切れ長の瞳。 ── そして、目尻の泣き黒子・・・。
香倉は、驚きを隠せない目で『高橋秀尋』と名乗った青年を見、そして榊を見た。
榊は、ニヤニヤと何ともいえない笑みを浮かべている。
── あのクソ親父・・・。
香倉は、ギシリと奥歯を噛みしめた。
「末列に整列したまえ」
「は!」
香倉の左側に『高橋秀尋』が肩を並べる。
「なるほど・・・。一度死んだ人間だから、公安職員として使うのは好都合って訳だ」
前を向いたまま、香倉が呟く。
「・・・その名前、誰が考えた」
「名字は、高橋警部からいただきました。病院に見舞いに来てくれた時に、俺の息子になれと」
その台詞を聞いて、ふっと香倉の表情が柔らかくなる。
「あの人らしいな・・・」
「はい」
櫻井は、一時危険な状態であったが、的確な応急処置がよかったせいか一命を取り留め、都内の病院に移送される頃には意識も回復していた。
だが、警視庁の要請により、病院側は面会謝絶として櫻井の容態を一切表に公表しなかった。当初の表向きは、マスコミ対策としての処置だったが、やがてその扱いも意味合いが変わってくる。
だが、正直なところ、櫻井が緊急手術により命を取り留めてから二日後には、櫻井の公安部配属が、裏人事によって決定されていた。
そこには、警視庁の榊警視正と捜査一課長・米澤、そして潮ヶ丘署の刑事課長・高橋と警視庁管内では密かに最も影響力のある男と表されている伝説の人物、河瀬刑事の意向が含まれていたのである。
櫻井は、病院で高橋が言ってくれたことを思い起こす。
都内の病院に移送され、ベッドの上に身体を起せる状態にまで回復した頃、面会謝絶にされたはずの病室を高橋が訪れた。そして櫻井は、高橋の口から己の運命を知らされることになるのである。
一度警察を去ろうと心に決めた人間であるはずの自分が ── ましてや、自分の背負う過去が公安職員として相応しいとは思えないと戸惑いを見せた櫻井に、高橋はこう言った。
櫻井。
人間はな、7年間で全身、新しい細胞に生まれ変わる。
お前も今年28だ。
お前の身体も心も、新しく生まれ変るんだ。
今までのことを、忘れろとは言わん。
だが、お前の新しい7年は、もう未来に向かって進み始めている・・・・。
櫻井は、制服の下で未だ包帯に覆われている胸元が、少しじんわりとするのを感じた。
今回の事件で、失ったものはたくさんあった。傷つくこともたくさんあった。
でも、同時に得るものものたくさんあったのだ。
人の優しさ。
その可能性。
新しい自分。
本当の強さ。
そして・・・・・
「下の名前の意味は・・・」
櫻井がそう呟くと、間髪入れず香倉が遮った。
「言わなくてもいい。意味は・・・わかる」
櫻井は、少し微笑む。
「 ── そうですか。よかった」
香倉が、横目で自分を見ているのがわかる。
櫻井も、その目を見つめ返した。
ふいに号令がかかる。
「以上、辞令式を終わる。礼!!」
二人は同時に姿勢を正すと、淀みない動きで敬礼をしたのだった。
触覚 end.
── 重たく辛い展開の多かったこの『触覚』を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。感謝感謝。(国沢)
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国沢さんの作品はどれも大好きですが、やっぱりこれが一番好きな気がします。
話覚えているのに何度読み返しても面白いです。
いやぁしかしペコメ入れたいですねw
多分再度読むときはエブ…で読むと思われます…。
これからも楽しみにしています。
まだ新作読んでいないのありますが。ボソッ
ほんっと休みの日の朝からぶっ通しで読みたくなりますw
長編なのもありますが、やっぱり国沢さんの作品は面白いので途中で止めるのが勿体無くなりますw
コメント、ありがとうございます。
アルファはオマケ的なイメージでアップ作業をしています。
作風的にアルファ向けではないようなので、投稿ポイントぐらいしかつかないんですけど(笑)。
国沢的にも、メインはエブと思っているので、そちらでまたお会いできればと思います!
途中、バッドエンドかとハラハラドキドキしましたが、ホッと出来るラストで良かったです。ありがとうございました。
感想コメント、ありがとうございました!
また、なかなかハードな内容だったと思いますが、最後までお読み頂き、嬉しいです。
ありがとうございました。