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第3章 仲間達
家柄
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「そう言えば第三小隊の話はどうなったんだ?」
かなめは窓の外が見慣れた光景になったのに飽きたというように目を反らしてアイシャに尋ねた。振り向くアイシャの顔が待っていたと言うような表情で向かってくる。
「ああ、かえでお嬢様の件ね。何でも今月の末に胡州の『殿上会《でんじょうえ》』に出るとか……それ以前にかなめちゃん。妹のことじゃないの、かえでちゃんがどうなるかなんて、かなめちゃんの方が詳しいんじゃないの?」
「言うなそれは」
かなめは明らかに何かを嫌悪しているというように吐き捨てるように言った。
「でんじょうえ?」
初めて聞く言葉に誠は胡州の一番の名門貴族西園寺家の出身であるかなめの顔を見た。聞き飽きたとでも言うようにかなめはそのまま頭の後ろで手を組むと、シートに体を投げ出した。
「胡州の最高意思決定機関……と言うとわかりやすいよな?四大公家と一代公爵。それに枢密院の在任期間二十年以上の侯爵家の出の議員さんが一同に会する儀式だ。親父が言うには形だけでつまらない会合らしいぜ」
めんどくさそうにかなめが答える。だが、誠にはその前の席から身を乗り出して、目を輝かせながらかなめを見ているアイシャの姿が気になった。
「あれでしょ?会議では平安絵巻のコスプレするんでしょ?出るんだったらかなめちゃんはどっち着るの?水干直垂《すいかんひたたれ》?それとも十二単?」
アイシャの言葉で誠は小学校の社会科の授業を思い出した。胡州帝国の懐古趣味を象徴するような会議の写真が教科書に載っていた。平安時代のように黒い神主の衣装のようなものを着た人々が胡州の神社かなにかで会議をする為に歩いている姿が珍しくて、頭の隅に引っかかったように残っている。
「アタシが六年前に引っ張り出された時は武家の水干直垂で出たぞ。ああ、そう言えば響子の奴は十二単で出てたような気がするな……」
胸のタバコに手を伸ばそうとしてカウラに目で威嚇されながらかなめが答える。
「響子?烏丸大公家の響子様?もしかして……あのかえでお嬢様と熱愛中の噂が流れた……」
「アイシャよ。何でもただれた関係に持って行きたがるのはやめた方がいいぞ。命が惜しければな」
アイシャの妄想に火が付く前にかなめが突っ込む。アイシャの妄想はいつものこととして誠は話題に出た人物について考えていた。確かに四大公筆頭の次期当主のかなめから見ればそんな人物が話題に出てくるのは普通のことだが、誠にしてみれば四大公家の西園寺、大河内、嵯峨、烏丸の家のうちの三家の当主が話しに出ていることに正直驚いていた。
嵯峨惟基が当主を務める嵯峨家以外どれも現当主や次期当主は女性だった。先の『官派の乱』と呼ばれた胡州を二つに分けた内戦に敗れた当主烏丸頼盛の自決で分家から家督を継いだ烏丸響子女公爵と、当主大河内吉元の一人娘麗子を頂く大河内家、そして普通選挙法の施行以降の爵位返上をちらつかせている父からの家督相続の話がひっきりなしに出る西園寺家の長女西園寺かなめ。
さらに誠がニュースとして知っていたのは、嵯峨が娘の茜が東和共和国に亡命という形で移住して胡州帝国国籍を失ったため、姪でありかなめの妹にあたる西園寺かえでを養女に迎えて家督を譲るという話も聞いていた。
外を見ると風景は見慣れた豊川市近郊のものになり始めていた。いつものような大型車の渋滞をすり抜けて、カウラは菱川重工豊川工場の通用門を抜けて車を進めた。
かなめは窓の外が見慣れた光景になったのに飽きたというように目を反らしてアイシャに尋ねた。振り向くアイシャの顔が待っていたと言うような表情で向かってくる。
「ああ、かえでお嬢様の件ね。何でも今月の末に胡州の『殿上会《でんじょうえ》』に出るとか……それ以前にかなめちゃん。妹のことじゃないの、かえでちゃんがどうなるかなんて、かなめちゃんの方が詳しいんじゃないの?」
「言うなそれは」
かなめは明らかに何かを嫌悪しているというように吐き捨てるように言った。
「でんじょうえ?」
初めて聞く言葉に誠は胡州の一番の名門貴族西園寺家の出身であるかなめの顔を見た。聞き飽きたとでも言うようにかなめはそのまま頭の後ろで手を組むと、シートに体を投げ出した。
「胡州の最高意思決定機関……と言うとわかりやすいよな?四大公家と一代公爵。それに枢密院の在任期間二十年以上の侯爵家の出の議員さんが一同に会する儀式だ。親父が言うには形だけでつまらない会合らしいぜ」
めんどくさそうにかなめが答える。だが、誠にはその前の席から身を乗り出して、目を輝かせながらかなめを見ているアイシャの姿が気になった。
「あれでしょ?会議では平安絵巻のコスプレするんでしょ?出るんだったらかなめちゃんはどっち着るの?水干直垂《すいかんひたたれ》?それとも十二単?」
アイシャの言葉で誠は小学校の社会科の授業を思い出した。胡州帝国の懐古趣味を象徴するような会議の写真が教科書に載っていた。平安時代のように黒い神主の衣装のようなものを着た人々が胡州の神社かなにかで会議をする為に歩いている姿が珍しくて、頭の隅に引っかかったように残っている。
「アタシが六年前に引っ張り出された時は武家の水干直垂で出たぞ。ああ、そう言えば響子の奴は十二単で出てたような気がするな……」
胸のタバコに手を伸ばそうとしてカウラに目で威嚇されながらかなめが答える。
「響子?烏丸大公家の響子様?もしかして……あのかえでお嬢様と熱愛中の噂が流れた……」
「アイシャよ。何でもただれた関係に持って行きたがるのはやめた方がいいぞ。命が惜しければな」
アイシャの妄想に火が付く前にかなめが突っ込む。アイシャの妄想はいつものこととして誠は話題に出た人物について考えていた。確かに四大公筆頭の次期当主のかなめから見ればそんな人物が話題に出てくるのは普通のことだが、誠にしてみれば四大公家の西園寺、大河内、嵯峨、烏丸の家のうちの三家の当主が話しに出ていることに正直驚いていた。
嵯峨惟基が当主を務める嵯峨家以外どれも現当主や次期当主は女性だった。先の『官派の乱』と呼ばれた胡州を二つに分けた内戦に敗れた当主烏丸頼盛の自決で分家から家督を継いだ烏丸響子女公爵と、当主大河内吉元の一人娘麗子を頂く大河内家、そして普通選挙法の施行以降の爵位返上をちらつかせている父からの家督相続の話がひっきりなしに出る西園寺家の長女西園寺かなめ。
さらに誠がニュースとして知っていたのは、嵯峨が娘の茜が東和共和国に亡命という形で移住して胡州帝国国籍を失ったため、姪でありかなめの妹にあたる西園寺かえでを養女に迎えて家督を譲るという話も聞いていた。
外を見ると風景は見慣れた豊川市近郊のものになり始めていた。いつものような大型車の渋滞をすり抜けて、カウラは菱川重工豊川工場の通用門を抜けて車を進めた。
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