レジェンド・オブ・ダーク 遼州司法局異聞

橋本 直

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第5章 本配属になる幼女

盛り上がる飲み会

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「ちょっと神前君、手伝ってくれるかしら?」 

 顔を出した春子。最近では誠はほとんど従業員のように使われている。あまさき屋には他にも源さんと言う板前がいるが、もう60を過ぎた体に無理はさせられない。いつものようにちょっとした集まりでもビール一ケースを軽く空ける司法局の飲み方では必然的に誠のような雑用係が必要になる。以前は同じ役回りをシャムがしていたらしいが、今ではそれは誠の仕事になっていた。誠は立ち上がるとそのまま階段を降りて、小夏が抱えているビールのケースを受け取る。

「ああ、間に合ったみたいね」 

 そう言って店に入ってきたのはアイシャとパーラだった。

 それを見たアイシャの反応は早かった。素早く誠の手からビール瓶を奪い取り、春子の盆からグラスを取り上げると真っ直ぐにランの前に座った。

「では、中佐殿お注ぎしますね」 

 満面の笑みを浮かべて、口元が引きつっているランのグラスにビールを注ぎ始める。

「おっ、おう。ありがとーな」 

 なみなみと注がれたビールをランは微妙な表情で眺める。気付けば茜やシャムがビールを注いで回っている。

「オメエも気がつけよ」 

 そう言うとかなめは誠にグラスを向ける。気付いた誠は素早くかなめのボトルからラム酒を注ぐ。

「おう、じゃあなんだ。とにかく新体制の基盤ができたことに乾杯!」 

 挨拶は短く済ます主義の嵯峨の言葉で宴席が始まる。

「さあ、皆さん。こちらをどうぞ!」 

 階段を上がってきた春子と小夏が次々とテーブルにお好み焼きの素を置いていく。

「豚玉!」 

「はい、師匠は三つですよね」 

 叫ぶシャムに小夏が三つの豚玉の小鉢を渡す。

「そう言えば豚玉は飽きたな」 

「じゃあ、えび玉はどう?」 

 ランに春子がえび玉を渡す。気の早いマリアは明華と一緒にイカ玉と格闘を始めた。

「ラン、地球はどうだったの?」

 明華の言葉でランが地球の会議に出席していたことを皆が思い出した。

「ああ、なんだか……人が多かったな。まあ東都と変わらないぐらいだが……人口が遼州の三倍だ。まあ結構疲れたよ」

「へえ……」

 感心しているようにそう言うとかなめは誠のグラスになみなみとラム酒を注いで誠の前に置いた。

「これ、飲まないと駄目なんですよね」 

 誠は沈んだ声を吐き出した。かなめと明華、そしてランの視線が誠に集まる。

「許大佐。ちょっと神前を苛めるのはやめた方がいいですよ」 

 カウラはそう言って烏龍茶を口に含む。彼女の焼く鉄板の上の野菜玉が香ばしい匂いを放っている。

「ドサクサ紛れに早速焼きやがって」 

 その様子を見たかなめが対抗してイカ玉を鉄板に拡げた。

「あの、西園寺さん。どうしてもこれを飲まなければいけないんですか?」 

 さすがにこれから教導に来てくれる教官を前に無作法をするわけにはいかないと、誠はすがるような気持ちでかなめに尋ねる。

「ああ、じゃあ隣の下戸と一緒に烏龍茶でも飲んでろ」 

 そう言うとかなめは自分のイカ玉を小手で馴らした。
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