法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

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第五章 もとをただせば

第29話 歓迎されない幼女の闖入

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「煮詰まってんなアタシも混ぜろよな」 

 そう言って侵入してきたのはクバルカ・ラン中佐だった。セキュリティーを上司権限で開けて勝手に椅子を運んできて話の輪に加わろうとした。そんなランはしばらく机の上の紙切れをめくってみた後、かなめの操作しているモニターに目をやった。そして明らかに落胆したような様子でため息をいた。

「おい、どれもこれも……馬鹿じゃねーのか?」 

 かなめにランは正直な感想を漏らした。すぐにいつものその見た目とは正反対な思慮深い目でかなめがいじっている端末の画面をのぞき見た。

「で、サラが合体する巨大ロボット?そんなもん島田にでも頼んで作ってもらえよ。人型兵器で戦ってきた経験の長いアタシから言わせると合体なんて弱点が露骨に分かるようなメカなんて戦場じゃ役に立たねーぞ。カウラは剣と魔法のファンタジー?ありきたりだなあ、個性がねーよ。そんなにファンタジーが好きなら眠って夢でも見てろ。かなめが刑事モノ?ただ銃が撃ちてーだけだろ?西園寺の銃の始末書。アタシにとっては拷問に近いんだ。いい加減銃で暴れるのは止めてくれ。ベルばら?そんなの歌劇場に行けばいつだって見れるじゃねえか。あっちは毎日の稽古で鍛え上げられたプロだぜ。下手な演技が目立つだけだな」 

 ランはあっさりとすべての案をけなしていった。

「じゃあ、教導官殿のご意見をお聞かせ願いたいものですねえ」 

 そんなランにかなめが挑戦的な笑みを浮かべた。ランは先月まで東和国防軍の教導部隊の隊長を務めていた人物である。かなめもそれを知っていてわざと彼女をあおって見せた。

 そこでランの表情が変わった。明らかに予想していない話題の振り方のようで、おたおたと視線を彷徨わせた。

「なんでアタシがこんなこと考えなきゃならねーんだよ!アタシは仕事第一!仕事あっての人生だ!仕事以外は考えねーことにしている!」

 ランは明らかに動揺してそう口走った。 

「ほう、文句は言うけど案は無し。さっきの見事な評価の数々はただの気まぐれか何かなんですかねえ」 

 かなめは得意げな笑みを浮かべた。その視線の先には明らかに面子を潰されて苦々しげにかなめを見つめるランがいた。

「アタシは専門外だっつうの!オメーが仕切ればいいだろ!……義理と人情の任侠モノはこのご時世ご法度だし……じゃあ、一応、任侠モノを入れといてくれ。非道な敵の嫌がらせに耐えに耐えて最後は斬って斬って斬りまくる大衆娯楽作品だ。少年達を立派な『漢』に育てようと言うアタシからのプレゼントになるだろう」 

 ランの口を尖らせて文句を言う姿はその身なりと同様、小学校低学年のそれだった。

「クバルカ中佐。それはちょっと……血を見る映画は子供向きじゃあ無いと思うんで。じゃあ、仕切ると言うわけで。誠ちゃん」 

 そう言ってアメリアは誠を見つめた。明らかに逃げ道はふさがれた。薄ら笑いを浮かべるアメリアを見ながら誠は冷や汗が流れるのを感じていた。

「それじゃあ戦隊モノはどうですか?僕は子供のころからすべてのシリーズを欠かさず見てるんで」 

 破れかぶれでそう言ってみた。

「いいね!それやろう!」 

 サラは当然のように食いついた。

「おい、オメエのロボットの案はどうしたんだ?」 

 呆れたようにかなめが口を開いた。

「戦隊モノねえ。そうすると男性枠が増えるけど……島田、菰田も入れるか?」

 かなめは明らかにやる気が無いと言うように適当にそう言った。

「菰田がヒーロー?アイツは運動神経ゼロ!ヒーローじゃなくて怪人向き!」

 かなめの提案に島田は犬猿の仲の菰田をあっさり切って捨てた。 

 カウラのその言葉に急に表情を変えたのは意外なことにかなめだった。

「バーカ。島田の馬鹿に英雄なんて務まるわけねだろ?コイツはただのヤンキーだぜ……敵の戦闘員Aとかで十分だろ」 

 そのかなめの言葉にアメリアが珍しく頷いた。

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