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第八章 不毛なる戦いの記録
第46話 仁義なき戦いは続く
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「退屈だねえ。アメリアの魔法少女で決まりか……グロイ神前の女装姿を見せられるのか……なんだかうんざりだな。かえでの男装とアンの女装は自然で似合ってるから良いんだよ。しかし、神前だろ?公害だぞそんなの。市の映画でそんな恐怖映画みたいな魔法少女モノを作っていいと思ってるのか?アメリアは」
そう言って肩をくるくるとまわすかなめにランの視線が注いがれていた。
「なら先週の山崎での道路の陥没事故の報告書あげてくれよ。転落したトレーラーを引き上げるどころか神前はしくじって一緒に落ちやがって。05式を稼働状態に持ってくのに時間いくらかかると思ってんだ?あの事件はそん時ナビしてたオメーの責任でもあんだぞ。少しは反省しろ」
ランの小言に振り向いたかなめが愛想笑いを浮かべていた。
「おい、神前。豊川東警察署から届いた調査書はお前のフォルダーに入れてあったんだよな。それを加工して報告書でっちあげるから場所を教えてくれ」
そう言いながらかなめは端末をいじった。明らかにやる気が無いのはいつものことだった。誠は仕方なく自分の端末を操作してフォルダーのセキュリティーを解除した。
「サンキュー」
言葉とは裏腹にかなめの表情は冴えないものだった。カウラのかなめに向ける視線が厳しくなっているのを見て、誠はまたいつもの低レベルな口喧嘩が始まるのかと思ってうつむいた。
「諸君!おはよう!」
妙に上機嫌にサラが扉を開いた。その後ろに続く技術部の情報将校は明らかにサラに何かの作業を頼まれたと言うような感じで口笛を吹きながら自分の席についた。
「何かいいことでもあったのか?さっきは端末のぞいたと思えば飛び出して行きやがって」
かなめは始めたばかりの仕事をサラの闖入で中断させられて明らかに不機嫌そうにそう言った。
「アメリアに続いてオメエ等まで馬鹿なこと始めたんじゃねえだろうな?」
五分も経たずに書類作成に飽きたかなめがカウラに目を向けた。そんなかなめを見つめるカウラの視線がさらに厳しいものになるのを見て誠はどうやれば二人の喧嘩に巻き込まれずに済むかということを考え始めた。
そんな中、乱暴に部屋の扉が開かれた。
駆け込んできたのはアメリアだった。自慢の紺色の長い髪が乱れているが、そんなことは気にせずつかつかとサラのところまで進んできて思い切りその机を叩いた。
「どういうこと!サラ!勝てばいいって考えるのもいい加減にしなさいよ!そんな勝利至上主義のどこが楽しいの?」
アメリアのサラに向けるすさまじい剣幕に口げんかの準備をしていたかなめが目を向けた。その様子を見たサラはにんまりと笑みを浮かべた。
「何で在遼州アメリカ軍からサラ支持の大量の投票があったかって聞いてるの!なんで仮想敵まで投票に巻き込んでるのよ!非常識にもほどがあるでしょ!こっちが手加減して同盟機構と東和国内の軍と警察だけに対象を絞って手加減してあげたのに、そんなに宇宙を舞台にして戦いを繰り広げたいわけ?」
アメリアの言葉に部屋は沈黙に包まれた。かなめはサラと島田のあまりの暴挙に呆れ果てた。在遼州アメリカ軍は遼州同盟にとっては仮想敵国である。島田の手段を選ばない選挙方針に誠は呆れ果てた。カウラは馬鹿馬鹿しいと言うように自分の仕事に集中した。ランは頭を抱え、サラはにんまりと笑みを浮かべていた。
「別に……あっそうだ。うちはいつでもアメリカさんの仮想敵だからな。きっと東和の新兵器開発については関心があるんじゃないかしら?きっとそうよ!だからついでに合体ロボを東和が開発しているかもしれないと言うことで投票してくれたのよ。うん、そう。だから別に宇宙を巻き込んだ大戦争にまで発展する危険性は無いから安心して」
表情も変えずにそう言うサラに隣に立っていた技術部の情報将校の大尉が大きく頷いた。その余裕の姿に腹を立てたのか、再びアメリアが机を叩いた。部屋の奥のかえでと渡辺が何をしているのかと心配するように視線をアメリアに向けた。
「そんなに怒ることじゃねえだろうが。ったく……たかだか自主映画の作品テーマがどう決まるかって言うだけの話だろ?米帝も冗談半分で投票したに決まってるんだ」
そこまで言ったかなめだが珍しく真剣な表情のアメリアが顔を近づけてくると、あわてたように机に伏せた。
「よくって?この豊川に基地を置く以上は皆さんに愛される司法局になる必要があるのよ!だからこうして真剣に市からの要請にこたえているんじゃないの!当然愛される……」
アメリアはなんとか心の平静を保つと同時に対抗策を考えるべく演説を始めようとした。
「こいつを女装させると市役所から褒められるのか?そんな話は聞いたことが無いぞ。少なくとも私は神前の女装は見たくない」
カウラが誠を指さしながらつぶやいた。何気ない一言だが、こういうことに口を出すことの少ないカウラの言葉だけにアメリアは一歩引いてカウラの顔を見つめながら乱れていた紺色の長い髪を整えた。
「そうだ!マニアックなのは駄目なんだ!かえでの変態を否定しておいて神前を女装させるなんて矛盾してる!」
かなめは誠の女装は見たくない派なので思わずそう言っていた。
「かなめちゃんに言われたくないわよ!姉妹で調教ごっこなんて近親相姦を同性で繰り広げてる変態に!」
アメリアの後ろでふんぞり返っているサラに誠はなんで矛先が向かないのか不思議に思いながらこの光景を眺めていた。
「オメー等!いい加減にしろ!ここは職場だ!幼稚園じゃねえ!餓鬼じゃねーんだからそんくれーのことは分かれ!それとも身体で教えねーと分からねーのか!」
かなめと同じくらい短気なランが机を叩く。その音を聞いてようやくアメリアとサラは静かになった。
そう言って肩をくるくるとまわすかなめにランの視線が注いがれていた。
「なら先週の山崎での道路の陥没事故の報告書あげてくれよ。転落したトレーラーを引き上げるどころか神前はしくじって一緒に落ちやがって。05式を稼働状態に持ってくのに時間いくらかかると思ってんだ?あの事件はそん時ナビしてたオメーの責任でもあんだぞ。少しは反省しろ」
ランの小言に振り向いたかなめが愛想笑いを浮かべていた。
「おい、神前。豊川東警察署から届いた調査書はお前のフォルダーに入れてあったんだよな。それを加工して報告書でっちあげるから場所を教えてくれ」
そう言いながらかなめは端末をいじった。明らかにやる気が無いのはいつものことだった。誠は仕方なく自分の端末を操作してフォルダーのセキュリティーを解除した。
「サンキュー」
言葉とは裏腹にかなめの表情は冴えないものだった。カウラのかなめに向ける視線が厳しくなっているのを見て、誠はまたいつもの低レベルな口喧嘩が始まるのかと思ってうつむいた。
「諸君!おはよう!」
妙に上機嫌にサラが扉を開いた。その後ろに続く技術部の情報将校は明らかにサラに何かの作業を頼まれたと言うような感じで口笛を吹きながら自分の席についた。
「何かいいことでもあったのか?さっきは端末のぞいたと思えば飛び出して行きやがって」
かなめは始めたばかりの仕事をサラの闖入で中断させられて明らかに不機嫌そうにそう言った。
「アメリアに続いてオメエ等まで馬鹿なこと始めたんじゃねえだろうな?」
五分も経たずに書類作成に飽きたかなめがカウラに目を向けた。そんなかなめを見つめるカウラの視線がさらに厳しいものになるのを見て誠はどうやれば二人の喧嘩に巻き込まれずに済むかということを考え始めた。
そんな中、乱暴に部屋の扉が開かれた。
駆け込んできたのはアメリアだった。自慢の紺色の長い髪が乱れているが、そんなことは気にせずつかつかとサラのところまで進んできて思い切りその机を叩いた。
「どういうこと!サラ!勝てばいいって考えるのもいい加減にしなさいよ!そんな勝利至上主義のどこが楽しいの?」
アメリアのサラに向けるすさまじい剣幕に口げんかの準備をしていたかなめが目を向けた。その様子を見たサラはにんまりと笑みを浮かべた。
「何で在遼州アメリカ軍からサラ支持の大量の投票があったかって聞いてるの!なんで仮想敵まで投票に巻き込んでるのよ!非常識にもほどがあるでしょ!こっちが手加減して同盟機構と東和国内の軍と警察だけに対象を絞って手加減してあげたのに、そんなに宇宙を舞台にして戦いを繰り広げたいわけ?」
アメリアの言葉に部屋は沈黙に包まれた。かなめはサラと島田のあまりの暴挙に呆れ果てた。在遼州アメリカ軍は遼州同盟にとっては仮想敵国である。島田の手段を選ばない選挙方針に誠は呆れ果てた。カウラは馬鹿馬鹿しいと言うように自分の仕事に集中した。ランは頭を抱え、サラはにんまりと笑みを浮かべていた。
「別に……あっそうだ。うちはいつでもアメリカさんの仮想敵だからな。きっと東和の新兵器開発については関心があるんじゃないかしら?きっとそうよ!だからついでに合体ロボを東和が開発しているかもしれないと言うことで投票してくれたのよ。うん、そう。だから別に宇宙を巻き込んだ大戦争にまで発展する危険性は無いから安心して」
表情も変えずにそう言うサラに隣に立っていた技術部の情報将校の大尉が大きく頷いた。その余裕の姿に腹を立てたのか、再びアメリアが机を叩いた。部屋の奥のかえでと渡辺が何をしているのかと心配するように視線をアメリアに向けた。
「そんなに怒ることじゃねえだろうが。ったく……たかだか自主映画の作品テーマがどう決まるかって言うだけの話だろ?米帝も冗談半分で投票したに決まってるんだ」
そこまで言ったかなめだが珍しく真剣な表情のアメリアが顔を近づけてくると、あわてたように机に伏せた。
「よくって?この豊川に基地を置く以上は皆さんに愛される司法局になる必要があるのよ!だからこうして真剣に市からの要請にこたえているんじゃないの!当然愛される……」
アメリアはなんとか心の平静を保つと同時に対抗策を考えるべく演説を始めようとした。
「こいつを女装させると市役所から褒められるのか?そんな話は聞いたことが無いぞ。少なくとも私は神前の女装は見たくない」
カウラが誠を指さしながらつぶやいた。何気ない一言だが、こういうことに口を出すことの少ないカウラの言葉だけにアメリアは一歩引いてカウラの顔を見つめながら乱れていた紺色の長い髪を整えた。
「そうだ!マニアックなのは駄目なんだ!かえでの変態を否定しておいて神前を女装させるなんて矛盾してる!」
かなめは誠の女装は見たくない派なので思わずそう言っていた。
「かなめちゃんに言われたくないわよ!姉妹で調教ごっこなんて近親相姦を同性で繰り広げてる変態に!」
アメリアの後ろでふんぞり返っているサラに誠はなんで矛先が向かないのか不思議に思いながらこの光景を眺めていた。
「オメー等!いい加減にしろ!ここは職場だ!幼稚園じゃねえ!餓鬼じゃねーんだからそんくれーのことは分かれ!それとも身体で教えねーと分からねーのか!」
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