法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

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第十七章 作業は快調に進むものの

第85話 出来上がってしまった台本

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「すいませんさっきは……」 

 実働部隊の詰め所のドアを開けた誠はそこまで言って口を閉ざした。目の前に立って金色の飾りの付いた杖を振り回しているのは誠達のたまり場の焼鳥屋『月島屋』の看板娘家村小夏である。彼女が着ている白とピンクの鮮やかな服をデザインしたのが誠だけに、それが目の前にあるとなると急に気恥ずかしさが襲ってきた。

「おい、神前。アタシはこれでいいのか?デザインで見るのと実際来てみるのじゃ偉く違うんだな」 

 黒っぽいその小さな肩を覆うような上着とスカートの間から肌が見える服を着込んでいる少女に声をかけられてさらに誠は驚いた。その少女、クバルカ・ラン中佐は気恥ずかしそうに視線を落とすとそのまま自分の実働部隊長席に戻っていった。

「作ったんですか?あの人達。器用と言うかなんと言うか……確かにゲリラライブのコントの衣装とかいつも自作してますからね。慣れてるんでしょうけど」 

 誠は運行部の人々の勤勉さにあきれ果てた。そして誠の机に置かれたラーメンを見つめた。

「あ、もう昼なんですね」 

 そう言う誠に白い目を向けるのは彼の正面に座っているかなめだった。

「もう過ぎてるよ。伸びてるんじゃないのか?」 

 かなめの言葉に誠はそのままラップをはずしてラーメンを食べ始めた。汁を吸いすぎた麺がぐにぐにと口の中でつぶれるのがわかった。

「伸びてますね、おいしくないですよ」 

「それだけじゃないだろうな、一水軒か。あそこ。……味が落ちたな」 

 そう言いながらじっとかなめは誠を見つめていた。隣の席のカウラも誠に付いていたために冷えたチャーハンを口に運んでいた。

「おい、神前。なんとかならねーのかよ!実際来てみると恥ずかしさ倍増だぞ!着てれば着てるほど恥ずかしくなってきた!」 

「アメリアさんの指示です!僕の責任じゃありません!」 

 麺を啜りながら顔を向ける誠にもともと目つきの悪いランの顔が明らかに敵意を含んで誠をにらみつけていた。誠はひたすら全責任を負うと言ったアメリアに責任のすべてを押し付けた。

「えー!ランの姐御!とってもキュートですよ!」 

「そうだ!かわいいぞ!」 

 いつもは犬猿の仲の小夏とかなめがはやし立てた。それを一瞥した後、ランのさらに凄みを増した視線が誠を射抜いた。

「でも、このくらい派手じゃないと……ほら、子供に夢を与えるのが今回の映画の趣旨ですから」 

 誠は自分がデザインした以上、その程度のフォローは入れないとと思い必死の思いでそう言った。

「まあ、演じている二人はどう見ても自分が子供だからな」 

 かなめのつぶやきにあわせてランが手にした杖を思い切りかなめの頭に振り下ろした。先端のどくろのような飾りがかなめのチタンの頭蓋骨に砕かれた。

「ああ、この杖強度が足りねーな。交換するか」 

 ランは平然とそう言うと砕けた杖の飾りを撫でた。

「おい!糞餓鬼!何しやがんだ!」 

 真っ赤になって迫るかなめを落ち着いた視線でランは見つめた。二人がじりじりと間合いを詰めようとしたとき、詰め所のドアが開いた。

「はーい!こんどは完全版の台本できました!」 

 アメリアの軽やかな声が響く。全員が彼女のほうを向いた。

「ちょっと待て、いくらなんでも早すぎるだろ?それにアタシ等の意見もだな……」

 ランは暴走するアメリアをなんとか押しとどめようとそう言ってアメリアの前に立ちはだかった。 

「釣り部の新藤さんが協力的だったから。やっぱりあの人こういうこと慣れてるわね。さすがプロは違うわ。今回は誠ちゃんが嫌がったプロットを組み合わせたら結構面白く出来たから。それじゃあ配りますよ!」 

 そう言ってサラとパーラが手にした冊子を次々と配っていった。

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