法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

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第十八章 サイボーグの嫉妬

第89話 女は強いもの

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「おい!置いてくぞ」 

 ぼんやりとかなめの手の動きを目で追っていた誠にかなめが声を掛けた。残った拳銃弾を保管庫に入れて鍵をかけると声をかけたかなめが呆れたように立ち上がった。そして誠の目を見ようとせずに、そのまま先に隊舎に向かうかなめに続いて歩き始めた。見ているとどこか消えてしまいそうな細い背中。いつもなら張り飛ばされる恐怖で緊張しながら歩く誠に彼女を支えてあげたいと言うような衝動が目覚めていた。

「西園寺さん」 

 しかし、今目の前にいるかなめが誠にとってのかなめのすべてだ。そう思って誠は声をかけた。

「なんだよ、意見でもする気か?神前、テメエは何様のつもりだ?オメエにゃあ変態のかえでと言う『許婚』が居るだろ?一緒に変態行為にふけってればいい」 

 歩みを止めることもなくかなめは歩き続けた。誠も早足でその後ろに続いた。

「日野少佐は日野少佐です。でも、西園寺さんは西園寺さんでしょ?」 

 その誠の言葉にかなめは足を止めた。振り向いたかなめは何か言いたげに誠をにらみつけてきた。

「なんだ、気になる口調だな。文句でもあるのか?」 

 かなめは今度は確実に誠の目を見つめてじりじりと誠に近づいてきた。そのまま誠の息のかかるところまで近づいた彼女はそのまま豊かな胸の前に腕組みして挑戦的な視線を誠に投げてきた。

「良いじゃないですか、西園寺さんは西園寺さんで。僕はそう思いますよ。そんな西園寺さんが僕は好きです」

 誠は自分の気持ちを正直に言葉にしたつもりだった。しかし、かなめは相変わらず不機嫌そうな顔で誠をにらみつけてきた。 

「なんだ?ずいぶん達観した物言いじゃねえか。確かにアタシはオメエみてえな日向を歩いてきた兵隊さんとは違うからな。素直になれって言っても無駄だぜ。そんな生き方はアタシには出来ねえ」

 かなめは完全にひねくれてそう言った。 

「別に僕はそんなつもりで言ったわけでは無いんですけど」 

 重苦しい空気が漂った。再びかなめは視線を落として制服のポケットからタバコとライターを取り出した。

 一瞬だけタレ目のかなめが誠に向けた視線がいつものかなめの不遜なそれに戻っているのを見て誠は安心して微笑んだ。

「ああ、わあったよ!あいつ等とお友達ごっこをやればいいんだろ?ハイハイ!」 

 そう言いながらかなめはタバコをくわえて肩のラインで切りそろえられた黒い髪を掻き揚げる。ようやくいつもの調子に戻った彼女に安堵しながら落ちていた石をグラウンドに蹴り上げるかなめの後姿を見つめていた。

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