法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

文字の大きさ
93 / 201
第二十章 大人になれば分かること

第93話 大人の秘めたる思い

しおりを挟む
「叔父貴の奥さん役ってのが良いんじゃねえの?あのおっさんのどこが良いのかはしらねえけどさ。まあ、春子さんにとって正義派を気取っていた弁護士として輝いて見えてたのはもう昔の話さ。今は誰から見ても駄目人間だろ?でも忘れられねえのかねえ……それとも叔父貴は女慣れしてるからアレが上手いのかも」 

 カウラと誠はかなめの言葉に顔を見合わせた。

「それは無いんじゃないかな?確か二人の付き合いは『東都戦争』のころからって聞いてるけど、見ていてなにも感じないが。確かに隊長に女将が悪い男から自分を救ってくれた隊長に恩を感じているのは事実かも知れないが、それはそれ、これはこれだ。それに二人とも遼州人だ。遼州人は愛を知らない人種だ。そんな甘い思いで動いているとは考えられない」 

 カウラは嵯峨と現時点においてほとんど嵯峨との接点の無い春子の事を思って自然とそう言っていた。

「鈍いねえ小隊長殿は。叔父貴は一度女将さんを地獄から救ってるんだぜ。恩を感じねえのは人としてどうかってところだろ?それにああ見えて叔父貴は不死人だから若い。若いツバメの一人も欲しいのが熟女の願望なんじゃねえかな?しかも、叔父貴は実は9歳で童貞を捨ててるくらい女性経験豊富なんだぜ。当然女の喜ばせ方も知り尽くしてる。しかも最初は客として本番アリの違法風俗店の嬢だった女将さんと会ってるんだ。そこで何もなかったなんて考えられねえだろうが。そん時の叔父貴の味が忘れられねえとかあるんじゃねえの?」 

 首をひねる純情なカウラをかなめは下品な笑みを浮かべながら笑い飛ばした。

「一度、男に懲りた人間が再び人を好きになることはあるのだろうか?私には理解できない。それに遼州人はそもそも人を好きになることが少ない。隊長も春子さんも遼州人だ。そんな二人が結ばれたがってるとは私には到底思えない。しかも隊長の女に見境の無いことは誰もが知るところだ。前の男のようになるのは目に見えてる。ただ隊長を客として立てているだけだろう。客と女将の関係。それ以上のものでは無いと思うぞ」

 カウラはかなめの推測に断固として抵抗した。

「それを言うならあの恋愛体質のかえでの半分も遼州人の血だぜ?それでもアタシや『許婚』である神前にはぞっこんだ。遼州人だからって恋をしねえわけじゃねえ。実際統計学的にも遼州人の結婚の0.001%は恋愛結婚だと言うぞ。ゼロじゃ無いんだ。それにうちにも『純情硬派』な島田がサラと付き合っていると言う身近な例がある。だから男を知らねえ処女は話にならねえんだ」

 かなめはそう言って恋に無頓着なまるで遼州人そのもののようなカウラの考え方を否定して見せた。

「すると貴様も遼州人と地球人のハーフだな……ああ、そうか。東都戦争の時に男が居たとか言ってたな。確かに、遼州人の遺伝子は劣性遺伝子で遼州人の要素は地球人と混血するとほぼ無くなると言う。つまり、貴様も遼州人とは違って恋をするということか?それで神前に突っかかっていくわけか?良く分かった。ただし神前には日野少佐と言う『許婚』が居る。そして日野少佐は貴様の妹で貴様を慕っている。それを裏切って神前を奪うような真似はしてくれるなよ。隊の士気に関わる」

 挑発的なカウラの言葉にかなめは明らかに激しい怒りに囚われたと言う表情をした。

「お二人とも冷静に……女将さんが隊長をどう思っていても良いじゃないですか。二人とも子供もいる立派な大人です。僕達がどうこうできる話じゃありません」

 誠はかなめとカウラの間に入ってそう仲裁した。二人の視線が誠に突き刺さった。

「なんですか……その目。二人とも僕は何かまずいことを言いました?それに僕は日野少佐を『許婚』として認めて無いって何度も行ってるじゃないですか!僕は迷っている一遼州人の青年に過ぎないんです!答えを出すのはまだまだ先です!」

 かなめとカウラの反応に誠は怯えを感じた。だが、そんな時かなめの表情が不意に険しくなった。

「神前。オメエは典型的な遼州人だな。恋をまったくしない。恋心とか全然わからねえだろ?性欲だけは旺盛なくせに。正直に言えよ、あんな動画を見せられて結婚とかは別としてかえでとやりてえんだろ?ついでにリンと使用人を自由にしてえんだろ?『許婚』が嫌だってのはかえでが変態すぎて手に負えないのとかえでが男には手を出さねえが女とみると見境なく手を出すところが有るからそれが気になってるんだろ?正直に言ってみろ。本音で行こうや」

 かなめはそう言って誠に詰め寄った。

「そんな……僕なんかがかえでさんを好きになって言い訳無いじゃないですか!あの人あんなに美人なんですよ!それに四大公家の貴族。つりあいませんよ。それの他に僕の事を好きになる人なんて居るわけが無いじゃないですか!だから恋をしようにもできないんです!西園寺さんも同僚として付き合ってくれてるんでしょ?それくらい僕だってわかりますよ」

 誠は典型的な遼州人の思考でそう答えた。

「しかし、日野少佐は貴様を『許婚』だと言って結婚する気でいるぞ?嫌いな人間にあそこまで迫るなどと言うことはあの日野少佐の性格からして有り得ない。少なくとも日野少佐には貴様は愛されている。貴様が下手なこだわりを捨てる事さえすれば貴様は日野少佐と言う美女を手に入れることが出来る境遇にある」

 カウラは冷静を装ってそう静かに言い切った。ただし、カウラのその目はどこかしら諦めを含んだように泳いでいた。

「え?僕がこだわりを捨てれば日野少佐が僕を好きになる?」

 カウラに指摘されて誠は驚いた。遼州人である誠にとってかえでの誠への態度はかえでの変態行為の一環だとしか認識していなかった。それが愛だという発想は誠には無かった。

「またまた、カウラさん。冗談ばっかり。成り行きですよ成り行き。僕を好きになる人なんて現れるわけが有りません!断言します!」

 誠は遼州人として自信を持ってそう答えた。


 そんな二人の会話を笑って見守っていたかなめの表情に緊張が走った。

「オメエ等、黙ってろ。非常事態だ」 

 そう言うとかなめは忍び足で外に暖簾のはためくガラスの引き戸へ向かった。

「かなめ、何やってるの?」 

 着替えてきた小夏に静かにするようにかなめは人差し指を立てた。そしてそのまま扉に手をかけた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

忘却の艦隊

KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。 大型輸送艦は工作艦を兼ねた。 総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。 残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。 輸送任務の最先任士官は大佐。 新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。 本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。    他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。 公安に近い監査だった。 しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。 そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。 機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。 完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。 意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。 恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。 なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。 しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。 艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。 そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。 果たして彼らは帰還できるのか? 帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

処理中です...