法術装甲隊ダグフェロン 永遠に続く世紀末の国で 節分と『特殊な部隊』

橋本 直

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第二十五章 娯楽の無い『修羅の国』出身者

第113話 優しい戦う魔法少女

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『カットー!喜びすぎ!ってかそこ喜ぶところじゃない!驚くの!驚いて!』 

 跳ね回る小夏をアメリアが怒鳴りつけた。サラはと言えばそのまま疲れたというように座り込んだ。そして画面にモニターが開いてアメリアの顔が写った。

『まったく……小夏ちゃん!そこはまず驚いて、そこから戸惑いながら二人で見詰め合う場面だって言ったでしょ?はい!やり直し!』 

 アメリアはここは監督らしくあまりにシュールな小夏の喜びようを窘めた。

「馬鹿が!人を単細胞扱いしている割にこういうところが抜けてるんだよな、小夏の奴は」 

 かなめはそう言うと立ち上がった。

「どうしたんですか?」 

 いい場面で誠に質問もせずに立ち上がるかなめに不審に思って誠はそう尋ねた。

「タバコ吸ってくる。アタシにこういうバイオレンスの無い映画は刺激が足りねえんだ。バトル系とか言う割に戦いまで時間かかりすぎだろ。飽きてきたわ」 

 そう言ってかなめは手にしたタバコの箱を見せた。誠はすぐに画面に視線を戻した。

「まったく、神前はああいうのにしか興味ねえのかな。純血の遼州人の考えることは理解できねえな」 

 かなめはポツリとつぶやいて出て行った。誠がカウラを見ると、呆れたとでも言うようにため息をついていた。

『わあ、なんで?これがもしかして……』 

 画面が切り替わり撮影が再開したようだった。かなめが居なくなったのを良いことにアンはさらに顔を突き出してきた。誠は少し椅子を下げるが、下げた分だけアンはばっちりと誠の端末の画面の正面を占拠してしまった。

『そうだよ。君達は選ばれたんだ。愛と正義と平和を守る戦士に!』 

 グリンの声に小夏とサラの表情は一気に明るくなった。

『じゃあおねえちゃんがキャラットサラで私がキャラットなっちゃんね』 

『なによそれ』 

 本心から呆れたような表情でサラは小夏を見つめた。

『名前よ!無いと格好がつかないじゃん!』 

 そう言って小夏はサラの手を握り締めた。それを見つめて無言で頷いているアンに誠は明らかに違和感を感じた。

『さあ……機械帝国を倒すんだ。君達の力をもってすればアイツ等だってきっと倒すことが出来る!』 

 そう力の入らない口調で言葉をつむぐグリンを小夏は厳しい視線で見つめた。隣に立つサラはそんな小夏を不安そうに見つめる。小夏の表情にはどこかさびしげな影が見えた。そして誠は引き込まれるようにして小夏の言葉を聞くことにした。

『違うよ、それ』 

 小夏はポツリとつぶやいた。突然音楽が流れ始める。悲しげでやるせなさを感じる音楽にあわせて小夏は遠くを見つめるように空を見つめた。

「新藤さんの即興かな?」 

 彼女の涙に濡れる顔が画面に広がった。

『確かにグリン君が言う通りかもしれないけど。確かにあの魔女はグリン君の大事な魔法の森を奪ったのかもしれないけど……。でもそう言う風に自分の意見ばかり言っていても始まらないんだよ』 

『そんなことは……あいつは森の仲間を殺したんだ!そして次々と世界を侵略し……』 

 激高するグリンを手にした小夏はそのまま顔を近づけた。

『でもぶつかるだけじゃ駄目なんだよ。相手を憎むだけじゃ何も生まれないよ!』 

 小夏は優しい口調ながら力強い調子でそう言った。

「やっぱり出た!お前はいったいいくつなんだ展開!」 

 誠が手を叩くが、さすがにこの誠には付いていけないというようにアンはそんな誠を生暖かい目で見つめていた。

『理解しあわなきゃ!気持ちを伝え合えなきゃ!そうでないと……』 

『小夏!そんなのんきなことが言える相手じゃないんでしょ?世界の危機なんでしょ?』 

 そう言ってサラは武器である魔法の鎌を構えた。

『アタシは戦うよ!守るものがあるから!』 

 そう言ってサラは小柄な小夏の頭を叩く。だが、釈然としない面持ちで手のひらサイズの小熊を地面に置くと杖を構えた。

『じゃあ、誓いを立ててください。必ず悪を退けると!』 

『ええ!』 

 サラは元気に返事をして鎌をかざす。そしてそれにあわせるように小夏も杖を重ねる。

『きっと倒してみせる!邪悪な敵を!』 

『いつか必ず分かり合える日が来るから!』 

 小夏とサラの言葉で部屋が輝き始める。その展開にかえでとリンは目を輝かせる。

「小夏ちゃんのアドリブか。アメリアさんが駄目出ししなかったけど……後で台本変更があるかもしれないな」 

 誠は画面の中で変身を解いて笑う小夏とサラを眺めていた。そこに脇から突然声が聞こえた。

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