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第二十九章 飢えたる人々の群れ
第128話 間食禁止令の出ている技術部
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「島田と言えば、おはぎがあれだけ有るんだから技術部の連中にも分けてやれば良いのに。なにもアメリアがそんな無理して食べなくてもあの食欲魔人の巣窟に分け与えればあっという間になくなるぞ」
モニター越しにカウラがそう言って苦笑いを浮かべた。そんな彼女にアメリアは首を振った。
「だめよ、島田君が許すわけないじゃないの。大野君の減量月間が発動してからは技術部は勤務時間中の間食禁止令が出ているじゃない。当然おはぎも規制対象よ。弁当以外の食べ物の持ち込みは一切禁止。まあ、島田君自身は隠れてプリンを食べてるのは知ってるけど。彼はヤンキーだから自分で作った規則でも平気で破るから」
先日の健康診断で技術部一の巨漢の大野以下三人の血糖値異常の結果が届いた。それを見た島田は技術部の勤務中の間食の禁止を指示していた。彼らは実働部隊や管理部の面々がスナック菓子を頬張るのを指をくわえてみているだけだった。
「ああ、島田は……一度決めたら結構そう言うところは締めるからな。まあ、自分に甘いのがいかにもヤンキーらしい思考とは言えるな」
そう言いながらカウラは明らかに無理そうな顔をしながらおはぎを飲み下した。
「それにしてもいつここまで仕上げたんですか、台本。以前渡された内容とはだいぶ違うような気がするんですけど……余計変な方向に向かってません?」
誠は渡されていた台本とかなり違う台詞や演技を思い出してアメリアを見つめた。
「ああ、昨日の晩に新藤さんと煮詰めたから。まあ小夏ちゃんは注文つけるだけつけたらとっとと寝ちゃったけどね。それとかえでちゃんとリンちゃんの演技はアレはあの二人のアドリブだから。アタシがああしろって台本に描いたわけじゃ無いわよ。それとかなめちゃんが目覚めちゃったのは不可抗力と言うことで。かえでちゃんもこれまで責められてばかりだったからたまには責めてみるのも良いんじゃないかしら?」
そう言いながら笑っているアメリアに疲労の色は見えなかった。
元々戦闘用に遺伝子を操作して作られたアメリア達の体力は普通の人間のそれとは明らかに違った。事実スポーツ選手で活躍している彼女達の同胞は男女の区別のないカテゴリーのスポーツで記録を次々と書き換えていた。
「お待たせしました!ご注文のうどんです!」
西とひよこが再び入ってきた。二人はそのままビニール袋をアンに差し出した。
「ご苦労様です」
そう言ってアンは西が持ってきたぶっかけうどんに手を伸ばした。
「アン君よく食べるわね。うちのところじゃ小夏ちゃんだけよ、弁当頼んだの」
そう言いながらアメリアはうどんのふたを開けて中から汁を取り出しているアンを驚いたように見つめていた。
「食べるものは食べられるうちに食べるのが戦場での鉄則です。無理をしてでも食べないと次に食料にありつけるのはいつのことになるか分からないですから……クラウゼ中佐も食べますか?」
アンは素早く割り箸を口でくわえて割り、そのまま汁と麺をなじませていた。
「えーと、まあなんと言うか……遠慮しとくわ」
愛想笑いを浮かべながらアメリアは答えた。誠もカウラもそれに付き合うように湯飲みやカップに手を伸ばした。
「しかし、さっきはあのおはぎが全部なくなるとは思わなかったんですが……」
西が感心したように三段の重箱のすべてに詰まっていたおはぎを食べつくした人々見つめていた。
「ほとんど明石中佐が食べたんだ。あの人の胃袋はブラックホールにでも繋がってるのかな?」
誠は自分では大食漢のつもりでいたが、明石の食べっぷりにはただひたすら頭を下げるしかなかった。
「そうですか。確かに僕が配属された時はまだクバルカ中佐じゃなくて明石中佐が機動部隊の隊長をしていて……その時も凄い量を食べてましたから。まあ、そうじゃなきゃあの身体は維持できないんでしょうね」
西はそう言って笑いかけてきた。誠も身長だけでなくその鋼の筋肉に覆われた明石の巨漢ならどんなフードファイターにも立ち向かえるだろうと想像がついた。
モニター越しにカウラがそう言って苦笑いを浮かべた。そんな彼女にアメリアは首を振った。
「だめよ、島田君が許すわけないじゃないの。大野君の減量月間が発動してからは技術部は勤務時間中の間食禁止令が出ているじゃない。当然おはぎも規制対象よ。弁当以外の食べ物の持ち込みは一切禁止。まあ、島田君自身は隠れてプリンを食べてるのは知ってるけど。彼はヤンキーだから自分で作った規則でも平気で破るから」
先日の健康診断で技術部一の巨漢の大野以下三人の血糖値異常の結果が届いた。それを見た島田は技術部の勤務中の間食の禁止を指示していた。彼らは実働部隊や管理部の面々がスナック菓子を頬張るのを指をくわえてみているだけだった。
「ああ、島田は……一度決めたら結構そう言うところは締めるからな。まあ、自分に甘いのがいかにもヤンキーらしい思考とは言えるな」
そう言いながらカウラは明らかに無理そうな顔をしながらおはぎを飲み下した。
「それにしてもいつここまで仕上げたんですか、台本。以前渡された内容とはだいぶ違うような気がするんですけど……余計変な方向に向かってません?」
誠は渡されていた台本とかなり違う台詞や演技を思い出してアメリアを見つめた。
「ああ、昨日の晩に新藤さんと煮詰めたから。まあ小夏ちゃんは注文つけるだけつけたらとっとと寝ちゃったけどね。それとかえでちゃんとリンちゃんの演技はアレはあの二人のアドリブだから。アタシがああしろって台本に描いたわけじゃ無いわよ。それとかなめちゃんが目覚めちゃったのは不可抗力と言うことで。かえでちゃんもこれまで責められてばかりだったからたまには責めてみるのも良いんじゃないかしら?」
そう言いながら笑っているアメリアに疲労の色は見えなかった。
元々戦闘用に遺伝子を操作して作られたアメリア達の体力は普通の人間のそれとは明らかに違った。事実スポーツ選手で活躍している彼女達の同胞は男女の区別のないカテゴリーのスポーツで記録を次々と書き換えていた。
「お待たせしました!ご注文のうどんです!」
西とひよこが再び入ってきた。二人はそのままビニール袋をアンに差し出した。
「ご苦労様です」
そう言ってアンは西が持ってきたぶっかけうどんに手を伸ばした。
「アン君よく食べるわね。うちのところじゃ小夏ちゃんだけよ、弁当頼んだの」
そう言いながらアメリアはうどんのふたを開けて中から汁を取り出しているアンを驚いたように見つめていた。
「食べるものは食べられるうちに食べるのが戦場での鉄則です。無理をしてでも食べないと次に食料にありつけるのはいつのことになるか分からないですから……クラウゼ中佐も食べますか?」
アンは素早く割り箸を口でくわえて割り、そのまま汁と麺をなじませていた。
「えーと、まあなんと言うか……遠慮しとくわ」
愛想笑いを浮かべながらアメリアは答えた。誠もカウラもそれに付き合うように湯飲みやカップに手を伸ばした。
「しかし、さっきはあのおはぎが全部なくなるとは思わなかったんですが……」
西が感心したように三段の重箱のすべてに詰まっていたおはぎを食べつくした人々見つめていた。
「ほとんど明石中佐が食べたんだ。あの人の胃袋はブラックホールにでも繋がってるのかな?」
誠は自分では大食漢のつもりでいたが、明石の食べっぷりにはただひたすら頭を下げるしかなかった。
「そうですか。確かに僕が配属された時はまだクバルカ中佐じゃなくて明石中佐が機動部隊の隊長をしていて……その時も凄い量を食べてましたから。まあ、そうじゃなきゃあの身体は維持できないんでしょうね」
西はそう言って笑いかけてきた。誠も身長だけでなくその鋼の筋肉に覆われた明石の巨漢ならどんなフードファイターにも立ち向かえるだろうと想像がついた。
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