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第三十八章 すべての恋はフィクションです
第158話 夢の初デートはバーチャルで
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「それじゃあ、今日も張り切ってはじめるわよ。カウラ、誠ちゃん。準備お願い!なんと言っても恋とは無縁の遼州人の観客を意識したデートの場面ですもの。遼州人はデートなんて見合いの間にしかしないものね。あんなにデートと言うものに憧れているのに一切デートをしないのが不思議に思えるのはラスト・バタリオンである私に流れる地球人の血がそう思わせるのかしら?」
アメリアはそう言って目の前のカプセルを指差した。その隣で小夏とランがニヤニヤ笑っていた。ここがこの物語の役でいう所のヒロインの南條小夏の腹違いの姉、南條カウラと神前寺誠二のデートの場面である。確かに、恋愛結婚率が0.01パーセントにも満たない遼州人にとってデートは憧れではあるが、敷居の高い自分には縁のない世界の話だった。
「ちょっと待って、アメリアさん。誠君、凄く顔色悪いじゃないの?二日酔いなのはいつもの事として……誠君。なにかもの凄いショックを受けるようなことでも誰かに言われたんじゃない?違う?」
春子のその一言は非常に助かるものだった。誠は天使を見るように春子を見つめた。先ほどかえでに自分がリンによって強制的に夢精させられた上にその精液をかえでがおもちゃにしている事実を知らされた時のショックから誠はまだ立ち直れないでいた。だが、春子は手にしていた袋から一つのオレンジ色のものを誠に差し出した。
「あのーこれは?」
春子が手渡したのは誠の好物の一つの食べ物だった。
「干し柿よ。二日酔いには効くんだから。アメリアさんもさっき食べてたわよ。ショックを受けていることについては忘れなさい。もしよければ今日はカウラさんと二人でうちに来て悩みを聞いてあげるって言うのはどうかしら?カウラさんも職場の人間関係で色々悩んでるって以前言っていたし、ちょうどいい機会よ」
「春子さん。その話はしない約束ですよ!私にもプライバシーが有るんです!」
春子の提案に慌てたようにカウラは顔を赤らめながらそう言った。誠はそのカウラの様子と春子の提案がなぜカウラと誠の組み合わせなのかを不思議に思っていた。
そんな疑問は別にして、誠は手にした干し柿に誠はため息をついた。遼州人にとっては無縁なデートのシーンがこれから誠を待っている。遼州人らしく恋愛と言う感覚に恥の意識を持っている誠はそのシーンの撮影から逃げられない以上、多少は時間を稼ごうとゆっくりと手にした柿を口に運んだ。
干し柿は二日酔いには効果が有った。ただ、先ほどのかえでの爆弾発言から、かえでから誠に送られてくる動画に出て来る白い液体の正体を知ってしまった誠は別の意味で具合が悪くなっていた。
「はい、誠ちゃん!ちゃっちゃと食べる!それと春子さんと……」
アメリアの声に押されて誠は仕方なくカプセルに入った。かぶったバイザーの中には大きな川の堤防の上、見晴らしの良い光景が広がっていた。
風にエメラルドグリーンのポニーテールをなびかせるカウラ。誠はその姿を見て胸が熱くなるのを感じた。
『初デートなんだ……以前、アメリアさんと一緒に行ったあれはデートと言うよりただ遊んでただけだもんな。今回は設定も『デート』ってことになってる。しかもこの『特殊な部隊』で一番まともなカウラさんが相手……悪くないかも……でも僕は遼州人だからな。リアルなデートとは一生無縁に過ごすことになるんだろうな。そう思うとかなり憂鬱になるような……』
誠は不埒なことを考えることによってかえでから与えられたトラウマをなんとか忘れようとした。
『誠ちゃん、元気そうね。しかも顔がにやけてるわよ。カウラが相手だとそんなにうれしいんだ。私とデートした時はそんな顔しなかったのに』
明らかに嫉妬に満ちた調子でアメリアが誠に語り掛けてきた。
「そんなこと無いですよ!二日酔いも良くなりましたし!そのせいです。それに秋にアメリアさんと車で出かけたのはデートと言うよりただ単に有給を消化しただけですよ!あれはデートとは呼びません!」
『私はデートだと思ってるんだけどな……まあ良いけど……じゃあ、続きをお願いね』
アメリアの指示が出たので誠はカウラのか細く冷たい手を握ってデートらしさを演出することにした。
アメリアはそう言って目の前のカプセルを指差した。その隣で小夏とランがニヤニヤ笑っていた。ここがこの物語の役でいう所のヒロインの南條小夏の腹違いの姉、南條カウラと神前寺誠二のデートの場面である。確かに、恋愛結婚率が0.01パーセントにも満たない遼州人にとってデートは憧れではあるが、敷居の高い自分には縁のない世界の話だった。
「ちょっと待って、アメリアさん。誠君、凄く顔色悪いじゃないの?二日酔いなのはいつもの事として……誠君。なにかもの凄いショックを受けるようなことでも誰かに言われたんじゃない?違う?」
春子のその一言は非常に助かるものだった。誠は天使を見るように春子を見つめた。先ほどかえでに自分がリンによって強制的に夢精させられた上にその精液をかえでがおもちゃにしている事実を知らされた時のショックから誠はまだ立ち直れないでいた。だが、春子は手にしていた袋から一つのオレンジ色のものを誠に差し出した。
「あのーこれは?」
春子が手渡したのは誠の好物の一つの食べ物だった。
「干し柿よ。二日酔いには効くんだから。アメリアさんもさっき食べてたわよ。ショックを受けていることについては忘れなさい。もしよければ今日はカウラさんと二人でうちに来て悩みを聞いてあげるって言うのはどうかしら?カウラさんも職場の人間関係で色々悩んでるって以前言っていたし、ちょうどいい機会よ」
「春子さん。その話はしない約束ですよ!私にもプライバシーが有るんです!」
春子の提案に慌てたようにカウラは顔を赤らめながらそう言った。誠はそのカウラの様子と春子の提案がなぜカウラと誠の組み合わせなのかを不思議に思っていた。
そんな疑問は別にして、誠は手にした干し柿に誠はため息をついた。遼州人にとっては無縁なデートのシーンがこれから誠を待っている。遼州人らしく恋愛と言う感覚に恥の意識を持っている誠はそのシーンの撮影から逃げられない以上、多少は時間を稼ごうとゆっくりと手にした柿を口に運んだ。
干し柿は二日酔いには効果が有った。ただ、先ほどのかえでの爆弾発言から、かえでから誠に送られてくる動画に出て来る白い液体の正体を知ってしまった誠は別の意味で具合が悪くなっていた。
「はい、誠ちゃん!ちゃっちゃと食べる!それと春子さんと……」
アメリアの声に押されて誠は仕方なくカプセルに入った。かぶったバイザーの中には大きな川の堤防の上、見晴らしの良い光景が広がっていた。
風にエメラルドグリーンのポニーテールをなびかせるカウラ。誠はその姿を見て胸が熱くなるのを感じた。
『初デートなんだ……以前、アメリアさんと一緒に行ったあれはデートと言うよりただ遊んでただけだもんな。今回は設定も『デート』ってことになってる。しかもこの『特殊な部隊』で一番まともなカウラさんが相手……悪くないかも……でも僕は遼州人だからな。リアルなデートとは一生無縁に過ごすことになるんだろうな。そう思うとかなり憂鬱になるような……』
誠は不埒なことを考えることによってかえでから与えられたトラウマをなんとか忘れようとした。
『誠ちゃん、元気そうね。しかも顔がにやけてるわよ。カウラが相手だとそんなにうれしいんだ。私とデートした時はそんな顔しなかったのに』
明らかに嫉妬に満ちた調子でアメリアが誠に語り掛けてきた。
「そんなこと無いですよ!二日酔いも良くなりましたし!そのせいです。それに秋にアメリアさんと車で出かけたのはデートと言うよりただ単に有給を消化しただけですよ!あれはデートとは呼びません!」
『私はデートだと思ってるんだけどな……まあ良いけど……じゃあ、続きをお願いね』
アメリアの指示が出たので誠はカウラのか細く冷たい手を握ってデートらしさを演出することにした。
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