188 / 201
第四十四章 法術師と言う存在
第188話 遼帝家の言い伝え
しおりを挟む
「遼南帝室にはこんな言い伝えがありますの。遼州の民の頂上に立つ人物、皇帝に即位する地位にある者が法術の素養に恵まれていれば国が乱れると。そのため当時の女帝、武帝はお父様の力を封印されたんです」
話題の重さの割に落ち着いた様子で茜はそう話した。
「まあ先日のスポーツ選手の法術発動が不公平になるとか言うことで公開された法術封印技術と言う奴だ。急にいくら地球の親切な人達がいるからってすぐに見付かる方法じゃねえのはわかるだろ?臨床心理学的方法と生理学的方法を駆使して法術の発生の元である大脳旧皮質に刺激を与えて機能を低下させると言うあれだ」
そう言って胸のポケットのタバコに手をやったかなめを茜は非難する調子で見つめた。
「そしてそのような先進技術ではありませんが、能力の発動そのものを抑えてしまう外科的技術が遼南帝室には有るんですの」
「外科的技術?」
茜の言葉にカウラが怪訝な顔をする。
「そう、脳内に何本か針を打ち込む方法です」
茜の言うことに誠は痛そうだなあと言う感想しか持てなかった。
「おい、大丈夫なのかよそんな民間療法……ってあの叔父貴がそんなもんで死ぬわけも無いか。あれは不死人だからな」
やけになったようなかなめの声。無視して茜は話を続けた。
「本来はそれにより成長過程で次第に法術の発動が阻害されて力を使えないようになるはずだったのですが……」
「普通の法術適正者だったらな。だが違った……叔父貴の力はあまりに強大過ぎた」
ポツリとかなめがつぶやいた。『普通』とは明らかに違う行動パターンの嵯峨を思い出し笑いそうになる誠だが、かなめと茜の顔には笑顔など無かった。
「ご存知ですよね、『不死人』の存在は?不老不死……例えばクバルカ中佐みたいに」
突然、茜の口から出た言葉、ランを指す言葉に誠は静かに頷いた。
「お父様は意識がある限り体細胞が再生してしまう体質なんです」
その言葉に誠は一瞬思考が止まるのを感じた。
「再生?だったら法術の封印も……」
「不完全だったんですの。それで法術の多くは封印されましたが再生能力だけが突出して発動する体質になってしまったんです」
茜の言葉が暗いことが誠に不審に思えた。
「再生能力が早いってことは便利じゃないですか。怪我をしてもすぐに直るんですよね?」
そう言った誠の言葉にかなめと茜は目を合わせた。そして少し悲しげな面持ちで茜が話を続けた。
「その能力の制御ができればと言う前提がつきますわね、再生能力が役に立つ状況であるには……まあクバルカ中佐は完全に制御できていますけど。あの人のは能力的には法術師ですが、遼州人ではありません。遼州人がこの星に定着したのは1億年前。クバルカ中佐がこの星に来たのはそのはるか以前の4億年前です。ですので、クバルカ中佐は遼州人ではありません」
そしてラーナが運んできた紅茶がテーブルに置かれた。先ほど拒否したはずだと言うのにかなめはラーナからカップを受け取った。
話題の重さの割に落ち着いた様子で茜はそう話した。
「まあ先日のスポーツ選手の法術発動が不公平になるとか言うことで公開された法術封印技術と言う奴だ。急にいくら地球の親切な人達がいるからってすぐに見付かる方法じゃねえのはわかるだろ?臨床心理学的方法と生理学的方法を駆使して法術の発生の元である大脳旧皮質に刺激を与えて機能を低下させると言うあれだ」
そう言って胸のポケットのタバコに手をやったかなめを茜は非難する調子で見つめた。
「そしてそのような先進技術ではありませんが、能力の発動そのものを抑えてしまう外科的技術が遼南帝室には有るんですの」
「外科的技術?」
茜の言葉にカウラが怪訝な顔をする。
「そう、脳内に何本か針を打ち込む方法です」
茜の言うことに誠は痛そうだなあと言う感想しか持てなかった。
「おい、大丈夫なのかよそんな民間療法……ってあの叔父貴がそんなもんで死ぬわけも無いか。あれは不死人だからな」
やけになったようなかなめの声。無視して茜は話を続けた。
「本来はそれにより成長過程で次第に法術の発動が阻害されて力を使えないようになるはずだったのですが……」
「普通の法術適正者だったらな。だが違った……叔父貴の力はあまりに強大過ぎた」
ポツリとかなめがつぶやいた。『普通』とは明らかに違う行動パターンの嵯峨を思い出し笑いそうになる誠だが、かなめと茜の顔には笑顔など無かった。
「ご存知ですよね、『不死人』の存在は?不老不死……例えばクバルカ中佐みたいに」
突然、茜の口から出た言葉、ランを指す言葉に誠は静かに頷いた。
「お父様は意識がある限り体細胞が再生してしまう体質なんです」
その言葉に誠は一瞬思考が止まるのを感じた。
「再生?だったら法術の封印も……」
「不完全だったんですの。それで法術の多くは封印されましたが再生能力だけが突出して発動する体質になってしまったんです」
茜の言葉が暗いことが誠に不審に思えた。
「再生能力が早いってことは便利じゃないですか。怪我をしてもすぐに直るんですよね?」
そう言った誠の言葉にかなめと茜は目を合わせた。そして少し悲しげな面持ちで茜が話を続けた。
「その能力の制御ができればと言う前提がつきますわね、再生能力が役に立つ状況であるには……まあクバルカ中佐は完全に制御できていますけど。あの人のは能力的には法術師ですが、遼州人ではありません。遼州人がこの星に定着したのは1億年前。クバルカ中佐がこの星に来たのはそのはるか以前の4億年前です。ですので、クバルカ中佐は遼州人ではありません」
そしてラーナが運んできた紅茶がテーブルに置かれた。先ほど拒否したはずだと言うのにかなめはラーナからカップを受け取った。
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる