195 / 201
第四十五章 物語の結末
第195話 失脚した脚本家
しおりを挟む
「とりあえず……台詞……」
「どうせ私の出番は無いわよ!一端役よ!眼鏡教師よ!悪かったわね!脚本家と監督の地位を取り上げられたらただの人よ……もう完全に傍観者を気取っちゃうから!」
誠が声をかけるが無視するアメリアは頬を膨らまして部屋の隅に向かった。
「あ、いじけた」
「しょうがないわよ。アメリアはこの映画にかなり力を入れていたもの」
サラとパーラもいつものようにはかばってくれないと知ってアメリアはさらに部屋の隅に座っていた椅子を寄せた。
「そう言えば西園寺は?一緒じゃないのか?」
そんな何気ないカウラの一言にアメリアが反応した。彼女はそのまま立ち上がるとパーラとサラの手をつかんで引っ張った。
「何すんの!」
サラが暴れているが寄せた耳にアメリアが一言二言。すぐにサラの目が輝いてきた。
「あのー?」
「ああ、誠ちゃんは聞いちゃ駄目!」
手を振るサラ。パーラも自然とアメリアのつぶやきに耳を貸した。
「なにがしたいんだか」
カウラはそう言うと一人カプセルの中に体を沈めた。誠もアメリア達の奇妙な行動の意味を詮索するのが無理だと悟ってカプセルに体を横たえた。
「あ!そう言えば小夏ちゃんはどうするの?」
サラの言葉に誠は新藤を見た。相変わらず目の前のモニターを凝視していた。
「アイツのボイスサンプルは十分取れたからな。俺が編集で何とかするよ」
新藤はそう言うと目の前の機械をいじっていくつかの小夏のサンプルボイスを再生して見せた。
「だったら全員のでやってくれれば良かったんじゃないか?サンプルボイスだけならすぐに取れる。あとはアメリアが勝手にやれば良い。あんなに恥ずかしい思いをするのはもうこりごりだ」
カウラが愚痴った。誠も苦笑いを浮かべながら一度ヘルメットをしたもののそれを外して起き上がった。
「そう言えば西園寺さんは……」
誠は戻る気配の無いかなめを思い出した。その言葉にアメリアとサラとパーラがいかにもうれしそうな顔で誠を見た。
「……どうしたんですか?」
明らかに変な妄想をはじめた時のアメリア達の瞳が輝いている、誠は自然と背筋が寒くなった。
「そうだな、西園寺がいないとはじめられないな。アメリア、呼んで来たらどうだ」
こちらも上半身をカプセルから持ち上げているカウラの声。今度はアメリア達の視線はカウラに向いた。
三人に浮かぶ明らかに何かをたくらんでいる笑いがそこにあった。
「……気味が悪いな。西園寺が何かやってるのか?」
「大丈夫。もうそろそろ来ると思うぞ。アイツも日野と一緒でムラムラする時が有るんだろう」
突然そう言ったのは新藤だった。アメリアが特別うれしそうな顔をした。
「新藤さん!もしかして覗いてたの?一階の北側の女子トイレの奥から二番目」
パーラはかえでとリンが配属になってから事実上二人専用になっている北側の女子トイレのことを口にした。誠が聞く限り、二人が一緒にトイレに入るとなんだか変な声がするということで運航部の女子隊員もそのトイレは使用しないのが普通になっていた。
「バーカ、勘だよ勘!それにしても細かい指定だな。いるところがわかるならお前等が連れて来いよ」
そう言う新藤をパーラが汚いものを見るような目で見ていた。
「なんだよ!信用ねえな!見て無いって!女子トイレには監視カメラは無いから。付けてようものなら日野少佐に斬られるよ」
新藤もかえでの変態の噂は知っているようでそう言うと苦笑いを浮かべた。
「はいはい!わかりました」
手を叩くアメリアを新藤がにらみつけた。
「本当に見てない……あっ来た」
新藤の言い訳にあわせるようにいつもよりも明らかにテンションの低いかなめが入ってきた。そしてかなめは誠を見るなりすぐに視線を落としてしまった。
「ねえ、何をしていたのかな?」
「タバコだよタバコ」
アメリア達は再びうれしそうな視線をかなめに向けた。
「あ、トイレでタバコなんて感心しないわね……こんなところに!」
そう言ってサラはかなめのスカートのすそを指差した。かなめは慌てて視線を落とした。
「なんだよ!何も付いてないだろ!」
その言葉に飛び跳ねそうな反応を示すかなめ。誠とカウラはわけも分からず見守っていた。
「あのさー。人数そろったんだからはじめろよ」
奥のカプセルからの声。ランが痺れを切らしたのは間違いなかった。
「じゃあ深くは詮索しないからそこのカプセルに……」
「詮索しないならはじめから言うんじゃねえよ」
アメリアの言葉にうろたえて見えるかなめ。彼女はなんどかちらちらと誠を見ていた。その頬が赤く染まっているのを見て、誠はいつものように酒を飲んでいたのだろうと安心してヘルメットをかぶりバイザーを下ろした。
「でも本当に何をしていたんだ?」
カウラの言葉をかなめは完全に無視した。
「どうせ私の出番は無いわよ!一端役よ!眼鏡教師よ!悪かったわね!脚本家と監督の地位を取り上げられたらただの人よ……もう完全に傍観者を気取っちゃうから!」
誠が声をかけるが無視するアメリアは頬を膨らまして部屋の隅に向かった。
「あ、いじけた」
「しょうがないわよ。アメリアはこの映画にかなり力を入れていたもの」
サラとパーラもいつものようにはかばってくれないと知ってアメリアはさらに部屋の隅に座っていた椅子を寄せた。
「そう言えば西園寺は?一緒じゃないのか?」
そんな何気ないカウラの一言にアメリアが反応した。彼女はそのまま立ち上がるとパーラとサラの手をつかんで引っ張った。
「何すんの!」
サラが暴れているが寄せた耳にアメリアが一言二言。すぐにサラの目が輝いてきた。
「あのー?」
「ああ、誠ちゃんは聞いちゃ駄目!」
手を振るサラ。パーラも自然とアメリアのつぶやきに耳を貸した。
「なにがしたいんだか」
カウラはそう言うと一人カプセルの中に体を沈めた。誠もアメリア達の奇妙な行動の意味を詮索するのが無理だと悟ってカプセルに体を横たえた。
「あ!そう言えば小夏ちゃんはどうするの?」
サラの言葉に誠は新藤を見た。相変わらず目の前のモニターを凝視していた。
「アイツのボイスサンプルは十分取れたからな。俺が編集で何とかするよ」
新藤はそう言うと目の前の機械をいじっていくつかの小夏のサンプルボイスを再生して見せた。
「だったら全員のでやってくれれば良かったんじゃないか?サンプルボイスだけならすぐに取れる。あとはアメリアが勝手にやれば良い。あんなに恥ずかしい思いをするのはもうこりごりだ」
カウラが愚痴った。誠も苦笑いを浮かべながら一度ヘルメットをしたもののそれを外して起き上がった。
「そう言えば西園寺さんは……」
誠は戻る気配の無いかなめを思い出した。その言葉にアメリアとサラとパーラがいかにもうれしそうな顔で誠を見た。
「……どうしたんですか?」
明らかに変な妄想をはじめた時のアメリア達の瞳が輝いている、誠は自然と背筋が寒くなった。
「そうだな、西園寺がいないとはじめられないな。アメリア、呼んで来たらどうだ」
こちらも上半身をカプセルから持ち上げているカウラの声。今度はアメリア達の視線はカウラに向いた。
三人に浮かぶ明らかに何かをたくらんでいる笑いがそこにあった。
「……気味が悪いな。西園寺が何かやってるのか?」
「大丈夫。もうそろそろ来ると思うぞ。アイツも日野と一緒でムラムラする時が有るんだろう」
突然そう言ったのは新藤だった。アメリアが特別うれしそうな顔をした。
「新藤さん!もしかして覗いてたの?一階の北側の女子トイレの奥から二番目」
パーラはかえでとリンが配属になってから事実上二人専用になっている北側の女子トイレのことを口にした。誠が聞く限り、二人が一緒にトイレに入るとなんだか変な声がするということで運航部の女子隊員もそのトイレは使用しないのが普通になっていた。
「バーカ、勘だよ勘!それにしても細かい指定だな。いるところがわかるならお前等が連れて来いよ」
そう言う新藤をパーラが汚いものを見るような目で見ていた。
「なんだよ!信用ねえな!見て無いって!女子トイレには監視カメラは無いから。付けてようものなら日野少佐に斬られるよ」
新藤もかえでの変態の噂は知っているようでそう言うと苦笑いを浮かべた。
「はいはい!わかりました」
手を叩くアメリアを新藤がにらみつけた。
「本当に見てない……あっ来た」
新藤の言い訳にあわせるようにいつもよりも明らかにテンションの低いかなめが入ってきた。そしてかなめは誠を見るなりすぐに視線を落としてしまった。
「ねえ、何をしていたのかな?」
「タバコだよタバコ」
アメリア達は再びうれしそうな視線をかなめに向けた。
「あ、トイレでタバコなんて感心しないわね……こんなところに!」
そう言ってサラはかなめのスカートのすそを指差した。かなめは慌てて視線を落とした。
「なんだよ!何も付いてないだろ!」
その言葉に飛び跳ねそうな反応を示すかなめ。誠とカウラはわけも分からず見守っていた。
「あのさー。人数そろったんだからはじめろよ」
奥のカプセルからの声。ランが痺れを切らしたのは間違いなかった。
「じゃあ深くは詮索しないからそこのカプセルに……」
「詮索しないならはじめから言うんじゃねえよ」
アメリアの言葉にうろたえて見えるかなめ。彼女はなんどかちらちらと誠を見ていた。その頬が赤く染まっているのを見て、誠はいつものように酒を飲んでいたのだろうと安心してヘルメットをかぶりバイザーを下ろした。
「でも本当に何をしていたんだ?」
カウラの言葉をかなめは完全に無視した。
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
蒼穹の裏方
Flight_kj
SF
日本海軍のエンジンを中心とする航空技術開発のやり直し
未来の知識を有する主人公が、海軍機の開発のメッカ、空技廠でエンジンを中心として、武装や防弾にも口出しして航空機の開発をやり直す。性能の良いエンジンができれば、必然的に航空機も優れた機体となる。加えて、日本が遅れていた電子機器も知識を生かして開発を加速してゆく。それらを利用して如何に海軍は戦ってゆくのか?未来の知識を基にして、どのような戦いが可能になるのか?航空機に関連する開発を中心とした物語。カクヨムにも投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる