48 / 137
不幸な『出会い』
第48話 すべてを失った遼州人
しおりを挟む
「肩が痛い……。誠ちゃん今度の訓練の時はストック伸ばした方がいいわよ。肩がいたくなるけど腕への負担はかなーり違うから」
本部の『運航部』の部長席に『特殊な部隊』の運行艦『ふさ』艦長が座っていた。
アメリア・クラウゼ少佐は肩をさすりながら腕の筋肉痛で頬を引きつらせているまことを糸目で眺めた。
誠から見ても結構、美女である。身長は180㎝を超えるほどデカイ。そして、異様に目が細かった。
「アメリアさん。それ最初に言ってください」
誠は筋肉の張りきった腕をさすりながら本心からそう思った。本部の『運航部』の大きな部屋は、彼女に言わせれば自分の『城』らしい。部屋の女子部員は隣の運航部のシミュレーションルームで訓練でもしているのか、誰一人いなかった。
「まあ、誠ちゃんはうちの草野球のエースとして秋から頑張ってもらわなきゃならないんだから……そこだけは期待しているわよ」
「そこだけってなんですか……もうちょっと期待してくれてもいいじゃないですか」
誠の反論にアメリアはあざ笑うような微笑みを浮かべる。
「期待ねえ……この東都共和国の世界を見てごらんなさいよ。世界が望んだように進むなんて幻想なんじゃない?」
アメリアの言葉で誠は我に返った。
「確かに……2600年代にガソリンエンジン車が走ってるなんて……地球の人達が知ったら卒倒するでしょうけど……そんなの石油が沢山とれるし、人口も地球よりはるかに少ないんだから当然じゃないですか?」
誠は理系脳だった。
彼の常識からしてみればSFの空を飛ぶ自動車など完全に架空のものに見えた。
第一、彼自身が普通に四輪自動車の運転すらまともにできないのである。空を飛ぶ飛行自動車の制御など選ばれたエリートしかできないのは全く持って当たり前の話なのである。
免許が出なければ、いくら重力制御装置で空を飛べる飛行自動車が実現しようが普及するはずもない。当然東和共和国には飛行自動車など販売の予定も無かった。
アメリアは完全に笑顔で細い目をさらに補足しながら突然咳払いをした。
誠の現実逃避へのぎりぎりの状態で奇妙な変化が起きた。
誠の視界の中でアメリアの表情が急にまともな人間に見えた。そして、彼女の糸目が少し開かれ、紺色の瞳が見えた。
『目の錯覚かな……』
誠がそう思った次の瞬間、アメリアは語り始めた。
「まあ、ふざけるのはこれくらいにして……誠ちゃんもうちの隊員なんだから」
急にアメリアの纏っていた雰囲気が変わっていた。そこには少し悲しげにほほ笑む美女の姿があった。
「私が知っていることを話すわね。一応、『部長』だから、知ってるわけなの。内容が誠ちゃんには、理解できるかどうか分からないけど」
そう言うアメリアは先程までの『芸人』とは別の顔で話し始めた。
「すべては『悲しい出会い』から始まったの。地球人の調査隊の持っていた『銃』と、『リャオ』を自称していたここ植民第24番星系、第三惑星『遼州』の『遼州人』が出会ったこと。その大地の下に『良質の金鉱脈』が埋まっていたことがすべての始まり」
誠はそこで地球人による『リャオ』への一方的『人間狩り』が行われたことを思い出した。
「遼州人はすべてを地球の文明人達の『欲望』によって奪われた。言語は失われ、文字を持たない遼州人は『未開人教化』と言う名のもとに地球圏に『管理』された。地球圏の人は……おそらくそんな私達から見た『真実』なんて知らないわよ。自分達は遼州人に良いことばかりしたと思ってる。『未開人』に『文明』を教えたと威張ってるんじゃない?」
アメリアの言葉に誠は違和感を感じた。遼州に地球人が到達してから『遼帝国』独立までの20年の歴史は誠の知識の中では、完全に『空白』になっていた。
本部の『運航部』の部長席に『特殊な部隊』の運行艦『ふさ』艦長が座っていた。
アメリア・クラウゼ少佐は肩をさすりながら腕の筋肉痛で頬を引きつらせているまことを糸目で眺めた。
誠から見ても結構、美女である。身長は180㎝を超えるほどデカイ。そして、異様に目が細かった。
「アメリアさん。それ最初に言ってください」
誠は筋肉の張りきった腕をさすりながら本心からそう思った。本部の『運航部』の大きな部屋は、彼女に言わせれば自分の『城』らしい。部屋の女子部員は隣の運航部のシミュレーションルームで訓練でもしているのか、誰一人いなかった。
「まあ、誠ちゃんはうちの草野球のエースとして秋から頑張ってもらわなきゃならないんだから……そこだけは期待しているわよ」
「そこだけってなんですか……もうちょっと期待してくれてもいいじゃないですか」
誠の反論にアメリアはあざ笑うような微笑みを浮かべる。
「期待ねえ……この東都共和国の世界を見てごらんなさいよ。世界が望んだように進むなんて幻想なんじゃない?」
アメリアの言葉で誠は我に返った。
「確かに……2600年代にガソリンエンジン車が走ってるなんて……地球の人達が知ったら卒倒するでしょうけど……そんなの石油が沢山とれるし、人口も地球よりはるかに少ないんだから当然じゃないですか?」
誠は理系脳だった。
彼の常識からしてみればSFの空を飛ぶ自動車など完全に架空のものに見えた。
第一、彼自身が普通に四輪自動車の運転すらまともにできないのである。空を飛ぶ飛行自動車の制御など選ばれたエリートしかできないのは全く持って当たり前の話なのである。
免許が出なければ、いくら重力制御装置で空を飛べる飛行自動車が実現しようが普及するはずもない。当然東和共和国には飛行自動車など販売の予定も無かった。
アメリアは完全に笑顔で細い目をさらに補足しながら突然咳払いをした。
誠の現実逃避へのぎりぎりの状態で奇妙な変化が起きた。
誠の視界の中でアメリアの表情が急にまともな人間に見えた。そして、彼女の糸目が少し開かれ、紺色の瞳が見えた。
『目の錯覚かな……』
誠がそう思った次の瞬間、アメリアは語り始めた。
「まあ、ふざけるのはこれくらいにして……誠ちゃんもうちの隊員なんだから」
急にアメリアの纏っていた雰囲気が変わっていた。そこには少し悲しげにほほ笑む美女の姿があった。
「私が知っていることを話すわね。一応、『部長』だから、知ってるわけなの。内容が誠ちゃんには、理解できるかどうか分からないけど」
そう言うアメリアは先程までの『芸人』とは別の顔で話し始めた。
「すべては『悲しい出会い』から始まったの。地球人の調査隊の持っていた『銃』と、『リャオ』を自称していたここ植民第24番星系、第三惑星『遼州』の『遼州人』が出会ったこと。その大地の下に『良質の金鉱脈』が埋まっていたことがすべての始まり」
誠はそこで地球人による『リャオ』への一方的『人間狩り』が行われたことを思い出した。
「遼州人はすべてを地球の文明人達の『欲望』によって奪われた。言語は失われ、文字を持たない遼州人は『未開人教化』と言う名のもとに地球圏に『管理』された。地球圏の人は……おそらくそんな私達から見た『真実』なんて知らないわよ。自分達は遼州人に良いことばかりしたと思ってる。『未開人』に『文明』を教えたと威張ってるんじゃない?」
アメリアの言葉に誠は違和感を感じた。遼州に地球人が到達してから『遼帝国』独立までの20年の歴史は誠の知識の中では、完全に『空白』になっていた。
0
あなたにおすすめの小説
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
サイレント・サブマリン ―虚構の海―
来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。
科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。
電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。
小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。
「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」
しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。
謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か——
そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。
記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える——
これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。
【全17話完結】
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
戦国鍛冶屋のスローライフ!?
山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。
神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。
生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。
直道、6歳。
近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。
その後、小田原へ。
北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、
たくさんのものを作った。
仕事? したくない。
でも、趣味と食欲のためなら、
人生、悪くない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる