特殊装甲隊 ダグフェロン 『廃帝と永遠の世紀末』 第四部 『魔物の街』

橋本 直

文字の大きさ
29 / 68
謹慎

第29話 若者いじり

しおりを挟む
 ランが西の端末の画面から目を離した。苦笑いを浮かべていた誠は彼女が現状を打開するような言葉を吐くのだろうと想像ができた。

「おい、西をいじめるのもいい加減にしろよ。それと神前はアタシ等があの昼行灯に言われたくらいで動かないのが納得できない顔しているけど説明するか?」 

 何度見ても幼女にしか見えないランがポップコーンを食べ終えて振り向いた。口の周りのかすがさらに彼女の萌え要素を倍増させる。

「ライラさんの部隊が任意の捜査を始めてまだ時間が経っていないからですか?僕等は東和陸軍なんかに目をつけられているから下手に動くのは得策で無いと……」 

 誠が思いついてすぐ口に出した言葉にランは満足そうにうなづいてみせる。

「なんだよ、分かってるじゃねーか。山岳レンジャーの主要任務は敵支配地域奥深くに秘密裏に浸透、そこで敵勢力の混乱のためのデマゴーグ活動や反政府勢力の煽動なんかをやることだ。捜査活動なんかはお手の物とはいえ捜査を始めてまだ一日経っていないしな。それにおやっさんの読みどおり同盟厚生局が研究を仕切っているならアタシ等じゃ数がたりねーよ。奴等も本気で反撃の準備とか研究の再開の為のタイムスケジュールの調整とか。いろいろ動いているところだろーなー。できればレンジャーとかち合ってくれれば御の字だ」 

 そう言ってかわいい天使のような笑顔を誠に向けてきて思わず誠は萌えを感じていた。

「それは良いんですけど……皆さんなんで謹慎しているんですか?」 

 コントローラーを奪い返した西がようやくアンと並んでゲームをしながらつぶやいた。アンも不思議そうに誠達を見つめてくる。一応、今回の調査は極秘事項である、問い詰められた誠は冷や汗をかきながらこう言うときには頼りになるかなめを見た。

「東都租界でドジを踏んだ。それだけだ」 

 そう言うとかなめはタバコを取り出すが、すぐにアンに白い目で見られてため息をつくとタバコをしまう。

「お前に話すと部隊全員に知れ渡るからなあ」 

「島田班長!そんなに僕の信用は無いんですか?」 

 そう言ったとたん西が画面を見つめて口をつぐむ。それを見てこの部屋を埋め尽くしている人々は皆が画面を見つめた。

『謀反!謀反じゃ!嵯峨和泉守!謀反にござりまする!』 

 非常事態を知らせる音楽に西がコントローラーを取り落とす。何度か画面の数値を確かめたあと、アメリアが忍び笑いをもらしているのに誠は気づいた。

「やっぱりあの数値じゃ駄目なのか?」 

「そうね、このゲームは忠誠度80以下だとばんばん謀反起こすから。それに隊長の義理が0だから特に謀反を起こしやすい状況だったのよ。でも凄いわね、開始4ターンで謀反て」 

 そう言うと再びアメリアが笑い始める。かなめは納得が言ったように画面を見つめる。

『神前様が嵯峨殿につきました!』 

 バックに流れるクライマックスの音楽と共に次々と西の支配から脱して嵯峨側に寝返る部隊の主要メンバーに西はただ唖然として画面を眺めていた。

「これはひどいですわね。西さんの味方は……奥さん役のひよこちゃんと義理がマックスのクバルカ中佐だけ」 

 同情するように茜がアンが見やる。いまいちゲームを理解していない民兵上りのアンは楽しそうに画面を見つめていた。

「でも兵力はこちらの方が多いから……って!城乗っ取られた!」 

 絶望的な西の言葉と共に画面の中で次々と自決する西家の家臣達。そして倒れる鎧武者と共にゲームオーバーの画面が現れた。

「ああ、楽しかったな。西いじめるの本当に面白いよな」 

「お前、やっぱり隊長の姪だってよくわかるな」 

「おい、カウラ。それはどう言う意味だ?」 

 かなめはカウラをにらみつけるがカウラは涼しい顔で目の前の惨状にうなだれる西とゲームと言うものをまだ理解していないアンを見つめていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

滝川家の人びと

卯花月影
歴史・時代
勝利のために走るのではない。 生きるために走る者は、 傷を負いながらも、歩みを止めない。 戦国という時代の只中で、 彼らは何を失い、 走り続けたのか。 滝川一益と、その郎党。 これは、勝者の物語ではない。 生き延びた者たちの記録である。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

処理中です...