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第163話 悪党成敗
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意気揚々の出陣する悪党たち。
そんな彼らの進行方向に立ちふさがり、これ以上の前進を阻止しようとする俺たち。
当然、悪党どもは突然現れた俺たちに動揺を見せる――も、それは最初のうちだけ。
こちらが男ひとりに女性三人という構成と知ると、途端に表情は余裕のあるものへと変わっていき、態度も大きくなる。
「おいおい、どいてくれねぇかなぁ」
「まさかとは思うが、俺たちを止めようっていうのかい?」
「怪我しねぇうちにとっとと失せな」
「いや、待て……連れているのはなかなかいい女じゃねぇか」
「本当だ! あんな冴えない男にはもったいねぇ上物が三人もいやがる!」
「冴えない男……?」
最後の発言に怒りの反応を示すノエリー。
他のふたりは言葉にこそしないが、どちらもかなりお怒りの様子。
やれやれ……下手なことを言わなければ、もうちょっと穏便に――いや、やっぱり済みそうにないな。
「そこのおっさん! 命が惜しかったら女どもを置いて消えな!」
「できない相談だな」
あっさり断ると、男たちから怒号が飛んでくる。
沸点が低いなぁと思いつつ、俺たちは控えさせていたそれぞれの魔獣を呼び出した。
「「「「「えっ……?」」」」」
先ほどまでの勢いはどこへやら。
ヤツらからすれば、何の前触れもなく現れた魔獣たち――その大きさと迫力にポカンと口が半開きとなり、目は豆粒のように小さくなっている。
「悪いが、あんたらをリゾート地へ行かせるわけにはいかないんでね。ここで食い止めさせてもらうよ」
「うっ……」
先頭にいた斧使いの男と、俺のパートナー魔獣であるクロスの目が合う。
「あんた、斧使いのようだが、手入れを疎かにしているみたいだな。そいつはちゃんと俺の硬い鱗に傷をつけられるのかねぇ」
「ま、魔獣が喋った!?」
あっ、そこからか。
なんだか懐かしいリアクションだな。
王都の人たちも、シロンやクロスが話すことにすっかり慣れて談笑しているところとかよく見かけるんで忘れていたよ。
「で、どうする? ――やるかい?」
「ひっ!?」
クロスが目を細めて迫ると、斧使いの男は一歩後退。
それに続くように他の男たちも下がっていった。
……あとちょっとだな。
どうやらクロスも同じように感じたらしく、トドメとばかりに叫ぶ。
「言っておくが、この魔獣たちの中で俺が一番弱いぞ! 俺とまともにやり合って勝てる自信がねぇヤツはとっととお家へ帰んな!」
「「「「「っ!?」」」」」
これがよほど効いたのか、男たちは一斉にその場から逃げ出す。
とりあえず、こっちの方は一件落着とみてよさそうだが――もちろん、このまま連中を逃がすわけがない。
彼らは貴重な情報源。
しっかりと吐き出してもらわないとな。
そんな彼らの進行方向に立ちふさがり、これ以上の前進を阻止しようとする俺たち。
当然、悪党どもは突然現れた俺たちに動揺を見せる――も、それは最初のうちだけ。
こちらが男ひとりに女性三人という構成と知ると、途端に表情は余裕のあるものへと変わっていき、態度も大きくなる。
「おいおい、どいてくれねぇかなぁ」
「まさかとは思うが、俺たちを止めようっていうのかい?」
「怪我しねぇうちにとっとと失せな」
「いや、待て……連れているのはなかなかいい女じゃねぇか」
「本当だ! あんな冴えない男にはもったいねぇ上物が三人もいやがる!」
「冴えない男……?」
最後の発言に怒りの反応を示すノエリー。
他のふたりは言葉にこそしないが、どちらもかなりお怒りの様子。
やれやれ……下手なことを言わなければ、もうちょっと穏便に――いや、やっぱり済みそうにないな。
「そこのおっさん! 命が惜しかったら女どもを置いて消えな!」
「できない相談だな」
あっさり断ると、男たちから怒号が飛んでくる。
沸点が低いなぁと思いつつ、俺たちは控えさせていたそれぞれの魔獣を呼び出した。
「「「「「えっ……?」」」」」
先ほどまでの勢いはどこへやら。
ヤツらからすれば、何の前触れもなく現れた魔獣たち――その大きさと迫力にポカンと口が半開きとなり、目は豆粒のように小さくなっている。
「悪いが、あんたらをリゾート地へ行かせるわけにはいかないんでね。ここで食い止めさせてもらうよ」
「うっ……」
先頭にいた斧使いの男と、俺のパートナー魔獣であるクロスの目が合う。
「あんた、斧使いのようだが、手入れを疎かにしているみたいだな。そいつはちゃんと俺の硬い鱗に傷をつけられるのかねぇ」
「ま、魔獣が喋った!?」
あっ、そこからか。
なんだか懐かしいリアクションだな。
王都の人たちも、シロンやクロスが話すことにすっかり慣れて談笑しているところとかよく見かけるんで忘れていたよ。
「で、どうする? ――やるかい?」
「ひっ!?」
クロスが目を細めて迫ると、斧使いの男は一歩後退。
それに続くように他の男たちも下がっていった。
……あとちょっとだな。
どうやらクロスも同じように感じたらしく、トドメとばかりに叫ぶ。
「言っておくが、この魔獣たちの中で俺が一番弱いぞ! 俺とまともにやり合って勝てる自信がねぇヤツはとっととお家へ帰んな!」
「「「「「っ!?」」」」」
これがよほど効いたのか、男たちは一斉にその場から逃げ出す。
とりあえず、こっちの方は一件落着とみてよさそうだが――もちろん、このまま連中を逃がすわけがない。
彼らは貴重な情報源。
しっかりと吐き出してもらわないとな。
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