64 / 74
0話。ヴィヴィアンの初恋17
しおりを挟む庭の奥の扉
庭の奥に、開かない扉がある。
触れると、過去の自分が少しだけ語りかけてくる。
「まだ終わっていないよ」
その言葉に、私は次の一歩を踏み出す。
エジンバラ侯爵の屋敷は、シェーン公爵が突撃命令を 出した後、荒れ果てた様子だった。
地下へ降りると、女性たちが下着姿で震えていた。
ヴィヴィアン、マリアンヌ、ジュリエットの三人は、
女性たちの心のケアにあたりながら、切り傷や打撲の跡の酷さに、
泣きながら消毒し、包帯を巻いていた。
一通り終えたあと、亡くなっている娘を一人見つけた。
三人はお湯を沸かし、名前も知らぬ女性の身体を清めた。
シェーン公爵には、女性が一人亡くなっていたこと、
そして、早く医師に診せなければ命が危ない女性たちがいることを報告しました。
女性たちの監禁場所から廊下を歩いて五分ほどで、
分厚く重たい扉を見つけた。
三人で開けられると思ったが、想像は甘かった。
そういえば、エジンバラ侯爵は今も行方不明のままだ。
もしかすると、この扉の向こうに隠れているのかもしれない。
シェーン公爵は、自ら蹴破る覚悟で構えた。
「十人で蹴破るぞ」
ロミオ王太子、ルーク侯爵も加わり、蹴破る練習を始める。
シェーン公爵が号令をかけた。
護衛騎士ジルベールがカウントダウンを始める。
「5、4、3、2、1——蹴り破れ!」
ドンドンドン!
扉が倒れた。ドシャ
シェーン公爵が命令した。
「中に入るぞ」
奥から叫び声が聞こえてきた。
「助けていやー」
女性のようだ。
奥にベッドと、ソファがあり女性は下着姿でした。
ソファに座る彼女は、他の女性達よりも年上だった。
エジンバラ侯爵は、床に座りこみ頭を抱え
込んでいた。
その姿に、ヴィヴィアンたちは言葉を失った。
この部屋に漂う空気が、侯爵の異常な執着を静かに物語っていた。
けれど、何かが足りない。
思いつかない。
シェーン公爵は、皆に何かあるはずだ。
探し出すぞと命令して壁を叩き始めた。
コンコン、少し進みコンコン。
この作業を続けていると。
ルーク侯爵がここの壁の音が鈍いぞと、叫んだ。
コンコン...コトン
「ここが、音違います」
兵士が叫んだ。
ギィー「おお、中に入れるぞ」
この部屋に並ぶ禁制品の数々。
金、銀、アヘン、ダイヤモンド
そして、、国からの許可のいる。
ホワイトタイガーの毛皮。
静寂が、罪の重さを語っていた。
この男、極刑。
それは、誰もが口にせずとも、空気がすでに告げていた。
監禁されていた女性達は、家族が居る者は戻り。
いない者には、銀貨10枚渡して、好きなところに
行ってもらった。
ルーク侯爵が聞いた。
「大量にある、金銀財宝をどうするんだ」
ルーク侯爵が叫んだ。
「銀行に預けたら、利息もらえるよね?」
シェーン公爵が話す。
「利息で病院や施設に学校などに、援助するのは、どうだろうか?」
ロミオ王太子が話した。
「残りは国に納めてくれよ、そうすれば道路を直したり住宅の補助金にも使えるし整備できるしな」
シェーン公爵が、2人に同意をもとめた。
「じゃあ決まりだな」
ルーク侯爵とロミオ王太子は頷き、シェーン公爵を
見ると何故か泣いていた。
ロミオ王太子がチャカした。
「スゲー、お前が泣くの、ガキの頃以来だ」
ルーク侯爵も、びっくりしている。
「お前も泣くんだな!」
「五月蝿い!」
その声に、涙がそっと隠れた。
けれど、誰もが知っていた。
この日が、心を動かしたことを。
酷いことをされたあと
言葉は沈黙になる
それでも、
誰かに届くことを願って
一言だけ、残す
16
あなたにおすすめの小説
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
彼を追いかける事に疲れたので、諦める事にしました
Karamimi
恋愛
貴族学院2年、伯爵令嬢のアンリには、大好きな人がいる。それは1学年上の侯爵令息、エディソン様だ。そんな彼に振り向いて欲しくて、必死に努力してきたけれど、一向に振り向いてくれない。
どれどころか、最近では迷惑そうにあしらわれる始末。さらに同じ侯爵令嬢、ネリア様との婚約も、近々結ぶとの噂も…
これはもうダメね、ここらが潮時なのかもしれない…
そんな思いから彼を諦める事を決意したのだが…
5万文字ちょっとの短めのお話で、テンポも早めです。
よろしくお願いしますm(__)m
何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢のアンジュは、子供の頃から大好きだった幼馴染のデイビッドに5度目の婚約を申し込むものの、断られてしまう。さすがに5度目という事もあり、父親からも諦める様言われてしまった。
自分でも分かっている、もう潮時なのだと。そんな中父親から、留学の話を持ち掛けられた。環境を変えれば、気持ちも落ち着くのではないかと。
彼のいない場所に行けば、彼を忘れられるかもしれない。でも、王都から出た事のない自分が、誰も知らない異国でうまくやっていけるのか…そんな不安から、返事をする事が出来なかった。
そんな中、侯爵令嬢のラミネスから、自分とデイビッドは愛し合っている。彼が騎士団長になる事が決まった暁には、自分と婚約をする事が決まっていると聞かされたのだ。
大きなショックを受けたアンジュは、ついに留学をする事を決意。専属メイドのカリアを連れ、1人留学の先のミラージュ王国に向かったのだが…
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた
小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。
7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。
ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。
※よくある話で設定はゆるいです。
誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。
私は彼に選ばれなかった令嬢。なら、自分の思う通りに生きますわ
みゅー
恋愛
私の名前はアレクサンドラ・デュカス。
婚約者の座は得たのに、愛されたのは別の令嬢。社交界の噂に翻弄され、命の危険にさらされ絶望の淵で私は前世の記憶を思い出した。
これは、誰かに決められた物語。ならば私は、自分の手で運命を変える。
愛も権力も裏切りも、すべて巻き込み、私は私の道を生きてみせる。
毎日20時30分に投稿
離婚した彼女は死ぬことにした
はるかわ 美穂
恋愛
事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。
もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。
今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、
「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」
返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。
それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。
神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。
大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。
【完結】愛していないと王子が言った
miniko
恋愛
王子の婚約者であるリリアナは、大好きな彼が「リリアナの事など愛していない」と言っているのを、偶然立ち聞きしてしまう。
「こんな気持ちになるならば、恋など知りたくはなかったのに・・・」
ショックを受けたリリアナは、王子と距離を置こうとするのだが、なかなか上手くいかず・・・。
※合わない場合はそっ閉じお願いします。
※感想欄、ネタバレ有りの振り分けをしていないので、本編未読の方は自己責任で閲覧お願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる